左から
副校長:平子 文崇 先生
講師:吉山 茂 先生
毎年多くの難関校合格者を輩出する成城学園校。2025年度の入試では、大学受験部門でTOMAS全校中3位、総合部門で全校舎中7位の合格実績を記録しました。今回はそんな成城学園校の合格の舞台裏を取材。平子副校長とチーフ講師である吉山先生に、指導のポイントや校舎の強みを聞きました。
「生徒が行きたい学校に合格させられる塾」をつくることが、
私たちの究極の目標です。
平子副校長
――2025年度入試では、女子学院中や東大(理Ⅰ)、医学部医学科など、多くの難関校に合格者を輩出しました。中でも東大(理Ⅰ)に合格した生徒は中学時代から成城学園校に通っていたそうですが、どのように指導されたのでしょうか。
吉山先生:
中学2年生の頃から数学を指導していました。我流で解いてしまう傾向があり、それが大きな課題でした。この傾向は数学に限らず、理系科目全般に見られるものでした。そこで、回答作成のルールや一般的な解き方を教えるのが得意な講師に指導をお願いし、半年以上かけて徐々に基本に忠実な解き方を身につけてもらいました。
最初から東大志望だったわけではなく、漠然と高いレベルをめざして勉強していたのですが、徐々に学校からも期待され始め、彼の中でも東大への思いが強くなっていきました。はっきり東大を志望校に定めたのは、高校2年生になったころだったと思います。
平子副校長:
最終的には、理系科目全般に加え、英語と国語も受講していました。ただし、国語に関しては、夏期講習でベテラン講師に指導してもらった結果、「入試直前の仕上げで十分」との判断になったため、直前期に数年分の過去問演習を行うにとどめました。どの科目をどの程度やるべきかは成績表だけでは判断できないため、実際に授業を担当した講師と密に情報を共有しながら方針を決めていきました。
生徒を「夢の志望校」に導くという決意のもと、成城学園校を牽引する平子副校長。着任して5年、講師たちと綿密なコミュニケーションを重ね、着実に合格実績を積み上げてきた。
――科目ごとの方針を決めるうえでも、授業を担当する講師との連携が欠かせないんですね。
吉山先生:
「どの講師が何を得意としているか」という点は、一定のキャリアを積んだ講師でも実にさまざまです。たとえば私自身は、スピードと思考の着想力を指導することには自信がある一方で、解答のルールを丁寧に伝えることはあまり得意ではありません。そのため生徒と講師のマッチングに関しては、「東大・京大ならこの講師」「理科・数学ならこの講師」といった単純な切り分けではなく、生徒一人ひとりが伸ばすべき課題に応じて判断してもらう必要があります。成城学園校では、そうした情報を教室全体で共有できており、これが校舎としての大きな強みになっていると感じています。
TOMAS全校の中でも常にトップクラスの合格実績を誇る吉山先生。これまでに、御三家中や東大、医学部医学科といった最難関校へ、多くの生徒を導いてきた実力派講師だ。
――単に教科の枠で分けるのではなく、生徒の課題に応じた人選ができているのは、まさに“チーム”としての強みですね。ほかにも校舎として意識していることはありますか?
吉山先生:
入試や学校に関する情報を広く共有することを意識しています。特に医学部の推薦入試などは、最新の情報が求められるケースが多いため、教室内で活発な情報交換を行っています。「あの学校には何年前にこんな生徒がこういう対策で合格していましたよね」といった具体的な事例も出しながら情報共有をし、「じゃあ、保護者にはホームページのこの部分を見ておいてもらおう」といった形で、保護者面談に向けた準備をチームで進めています。
平子副校長:
講師・教務間の連携によって、生徒・保護者にはより一般的で、納得感のある提案ができていると感じます。志望校の選定やカリキュラムの提案についても、複数の講師で意見を出し合うことで、一人で考えるよりも確実によい形にまとまっていると思います。
また、志望校は基本的に「下げない」のが校舎としての方針です。生徒が「ここに行きたい」と言ってくれたら、そこを第一志望としてめざし、必要があればむしろ引き上げていくくらいの気持ちで段取りを組んでいます。講師の先生方もこの方針を理解してくれているので、校舎全体で同じビジョンをもって生徒と向き合うことができています。
「この校舎には、各自ができないことを無理に引き受けず、できることに全力を注ぐという文化がある」と語る吉山先生。その文化が、前向きで心地よい教室の雰囲気にもつながっていると言う。
――こうした取り組みが、高い合格実績にも結びついているのですね。ちなみに、成城学園校では比較的長期間にわたって通う生徒が多いのでしょうか?
平子副校長:
直前の駆け込みというよりは、受験の数年前から通ってくれている生徒が多いですね。早い段階から通ってもらえると、基礎固めから関わることができるので、その分が成果につながっていると感じます。
吉山先生:
受験において直前の駆け込みで逆転合格すると「奇跡の合格」と言われますが、言い換えればそれは「思いもよらぬこと」という意味です。成城学園校では、そうした「思いもよらない」状況にならないよう、長期的な視点で計画を立て、堅実かつ納得のうえで進めるケースがほとんどです。たとえば先ほどお話しした東大合格者も、入会時点の成績だけを見れば奇跡的に思えるかもしれませんが、高校3年生の秋頃から見れば当然の結果だと言えます。入試直前になって思いもよらないことが起こらないようにしているのが、成城学園校の特長の一つだと思います。
――最後に、今後の抱負をお願いします。
吉山先生:
現在、成城学園校には特待生が5名ほど在籍しており、成績上位層のご家庭に選ばれていると実感しています。これは生徒が安心して上をめざせるような指導体制が形になってきた証だと思います。今後はその体制をさらに強化し、より多くの生徒が志望校合格を実現できるよう取り組んでいきたいです。
平子副校長:
「生徒が行きたい学校に合格させられる塾」をつくることが、私たちの究極の目標です。そのために、それを実現できる講師や教務スタッフをどんどん増やしていくことが、私個人の目標でもあります。
一方で、成城学園校の歴史を振り返ると、もともとは中学受験に強みを持っていた校舎でした。2025年度入試でも女子学院中や早慶附属中に合格者を出しましたが、来年以降も端から見て「すごい」と思ってもらえるような結果を出して、中学受験に強いというイメージを再び地域に根付かせたいです。
入口のカウンターには、校舎の合格実績を讃えた数々のトロフィーや表彰状が並んでいる。