(左)副校長:浅野 忠美先生
(右)SPE講師:櫻井 英史先生
2016年に開校して以来、2年連続で生徒を東大合格に導いた四ツ谷校。近隣には名門中高一貫校が多く、東大など最難関校をめざす生徒が集まる中で、ハイレベルな戦いを突破するための真の学力を身につけさせる秘訣とは何か。そこには四ツ谷校がもつ指導のこだわりがありました。
−−去年は開校1年目にして開成の生徒を東京大(文Ⅰ)、そして今年は筑駒の生徒を東京大(理Ⅰ)に合格させました
浅野副校長:
どちらも最難関高校の生徒でしたので、もともと頭のよい生徒でした。今年合格した生徒は、昨年東大受験に失敗し、どうしても東大への夢を諦めきれない中でTOMASを知り、直前の10月に入会しました。
−−10月入会だと受験までギリギリでしたね。東大に向けての課題は何でしたか?
櫻井講師:
理系科目は万全で、英語だけが足をひっぱっていました。特に東大二次の2A・2Bの英作文問題と、4A・4Bの文法・語彙問題に強い苦手意識を持っていました。
−−英作文を苦手にしている生徒は多いと思いますが、どのような方法で克服しましたか?
櫻井講師:
東大に合格した生徒どちらも過去問を中心にしたカリキュラムを組みました。東大の英作文の過去問を30年以上解かせ、さらに私がもっている1950年からの過去問を分析し、自作した課題を出しました。最初の頃は本人の英文に遠慮が見られ「これを書いてはいけないのではないか」「こういうことを書いたら減点になるのではないか」といったことを考えながら書いていました。
浅野副校長:
最難関の生徒によく見受けられますが、完璧を求めるあまり神経質で繊細な文章を書いていましたね。
櫻井講師:
東大の英作文は格式ばった文章を書かないといけないと思われがちなのですが、実はウィットに富んだ答えを求めているのです。そのことを授業の中で伝えたことで肩の荷が下りたようで、そこからは他の人が書けないような英文を書くようになりました。
ここ最近の東大英作文は、写真を見てそこから想像して書かせるような問題が多いです。例えばカーペットに寝そべっている猫に向かって手が伸びている写真を見せて、考えるところを英語で述べよ、といった問題です。普通はオーソドックスに書こうとしますよね。奇をてらうと×になるのではないかと。でもあの二人は躊躇しませんでした。想像力が豊かなんですね。「猫に見えるのは実は怪獣だ」みたいなことも書いていましたが、それこそ東大が求めている答えなのですよ。
四ツ谷校開校時からSPE講師を務める櫻井講師。東大英語に精通し、1950年からの過去問を独自に収集し、分析した自作のデータは他の講師からも定評がある。
−−スランプはありましたか?
櫻井講師:
英作文を見ていると、生徒のいろいろな心の動きがわかります。そのときの精神状態によって英文のできに差がありました。感情豊かに出ているときもあれば、まったく違った方向に飛んでいくことも。そういう時は浅野副校長が生徒をフォローされていました。
−−英文法・語彙問題の苦手はどのように克服したのでしょうか?
櫻井講師:
入会当時はケアレスミスが多かったです。わかっているのに間違えている。知識としては身についているのに使いこなしの部分で間違ってしまうのですね。こちらが指摘すると大抵はどこが間違いなのか気づきます。
大事なのはその後です。どうして間違ったのかを本人が完全に理解できるまで、授業の中でとことん突き詰めていくのです。間違った部分だけでなく、文全体を見直すという形を取っていましたね。それがミスを撲滅できた一番の勝因だと思います。
−−東大に合格する生徒に共通点はありますか?
浅野副校長:
二人に共通していたのは、自分の意見を持っているという点です。とにかく二人とも櫻井先生には授業中いろいろ質問していました。
櫻井講師:
マンツーマンの授業では、講師が質問を投げかけて生徒が答えるというのが一つの形ではありますが、生徒に発問させるというのもやっぱり大事です。よく社会では「言葉のキャッチボール」が大事と言われますが、受験生に関してはキャッチボールではなく「ドッジボール」が大事だと考えています。生徒が投げる強いボールを受け止め、またこちらもそれに応えてやろうと強いボールを投げ返す。そうして信頼関係が生まれるのです。
優秀な生徒は適宜こちらを試してきます。昨年東大に合格した生徒が特にそうでした。最初世界史を見てほしいということで、東大で頻出の近世・近代を担当していたのですが、授業を繰り返す中で僕が英語も専門だということを見抜いたようで、英語を見てほしいと言われました。
浅野副校長:
保護者のほうが強いボールを投げてくることがあります。保護者は知識や情報を求めてTOMASに来ます。より新しくてより深い情報が欲しいとこちらに強いボールを投げるので、そういうボールを受け止めることが保護者の信頼につながります。
四ツ谷校の強みは他校に比べてベテラン講師が多いこと。「講師陣の層の厚さが自慢です。SPE講師から学生講師までニーズに応じてマッチングしています」と浅野副校長。
−−言葉のドッジボールが生徒や保護者との信頼を勝ち取るのですね。
櫻井講師:
強いボールを受け止めるには講師の力量が必要です。それだけに講師同士の情報交換は重要ですね。四ツ谷校は先生同士の横の繋がりも強いと感じます。
浅野副校長:
講師同士の繋がりは意識しています。受験は1教科ではないので、自分の教えている教科だけというわけにはいきません。講師や社員が密に連携して、チームで合格させることを目標にしています。