(右)校長:原田修平先生
(左)講師:谷卓郎先生
神奈川県内TOMASの基幹校である横浜校。2019年度入試では、TOMASトップの高校入試合格実績を上げ、慶應義塾女子高をはじめ、東京学芸大附高、早大本庄高等学院、渋谷教育幕張高、慶應湘南藤沢高、ICU高と、最難関高校に合格者を輩出しました。今回は、原田校長、算数・数学を担当する講師の谷先生に、慶應義塾女子高合格の舞台裏のお話を伺いました。
−−2019年度入試では難関高校に多数の合格者を出しました。この理由をどう分析されていますか?
谷先生:
数学に関して言うと、集団塾とは違うことを意図してやったことが実を結んだと思います。例えば集団塾では、公式を覚えさせて、「この問題ではこの公式をここで使う」という指導をします。しかし数学の本質は、問いを把握して自ら思考をつくっていくことだと思います。ですから、「答えは○○」ではなく、「どう考えたか」を聞き、それを修正するためのヒントを与え、生徒に考えさせて答えに辿り着かせるようにしています。数学ですから、答えは1つですが、生徒それぞれ考え方は違います。その考え方に合わせて答えに向かう方向性を示せるのが、個別指導の強みだと思います。
原田校長:
国語については、志望校の出題に合わせて、文章を読んでまとめる力を伸ばす、難解な文章をたくさん読ませる、ということを心掛けました。また、蓄積してきた過去問分析の効果が出たと言えると思います。
前2019年度高校合格実績NO.1の横浜校・原田校長。早くも来年度の入試へも強い自信をのぞかせる。
−−合格者は、初めから慶應女子を目指していたのでしょうか?
原田校長:
私立中高一貫の女子高に通っている生徒で、初めは学校の内部進学対策を目的として入会しました。学校の定期試験で結果が出始めると自信がつき、外部受験を考えるようになりました。「今の学校が合わない」ということで、当初は共学の県立トップ校を目指しました。しかし、慶應女子高へ見学に行くと、雰囲気が自分に合っていると強く感じ、徐々に気持ちが移り、県立と両方の対策をしました。数学が苦手でTOMASに来たのに、最終的には数学が最も大変な慶應女子を目指すことになりました(笑)。
−−個人別カリキュラムはどのように組みましたか?
原田校長:
内部進学対策→県立対策→県立・私立トップ校対策 と、TOMASへの通塾目的が変遷していますから、毎週のようにカリキュラムを組み直していました。個別指導では当然のことですが、集団塾ではこのような対応は難しいかもしれません。最終的にカリキュラムが固まったのは中3の冬休み前でした。
−−合格者の学習状況はいかがでしたか?
原田校長:
苦手教科はありましたが、もともとの能力がとても高く、全教科、学校で先取り学習をしているのもかなり有利でした。
谷先生:
1月の模試の結果が悪く、くじけそうになりました。「力はあるので、1回の模試の結果を気にすることはない」「やってきた努力は正しいので自信をもつように」と励まし、原因分析をして対策をすると、また志望校への意欲が再燃しました。
−−難関校合格者の特徴と言えるものはありますか?
谷先生:
判断が速いことです。決めたら即実行する、やると決めたらぶれずに一途に頑張れる人が強いと思います。
原田校長:
自己管理がしっかりしていることだと思います。
−−早慶高の指導で特に注意されることはありますか?
谷先生:
例えば早慶高では、早稲田はテクニックがいるのですが、それは実は表面的なこと。秋までは基本事項をしっかりと身につけるのが大事だということは、どの学校志望者も同じです。さらに、試験中、「わからない」となったとき、自分で考えて解き方を見出せなければなりません。そのためには、たくさんの問題を解くことはもちろん大切なのですが、「自分で考えて『解き進める方向性』を見つける」という、質の高い経験を積むことが必要です。TOMASでは、解法に迷ったときに、アドバイスを与えながら自分で考えて方向性を見出すように指導します。
−−高校受験で難関校に受かるために最も重要なことは何ですか?
谷先生:
どの教科でも、中3までの内容を早く終わらせることです。中2までに終えるのがベストです。TOMASの先生は志望校の問題の傾向をよく知っているので、基礎が終わった後は、過去問の傾向に合った問題を、基礎→応用→入試レベルと徐々にレベルを上げながら出題し、力を効率的に伸ばせます。過去問ももちろん大事ですが、実力をつけるためというよりは、実力を図るためのものです。力がついた後に解いて良い点数が取れる方が、生徒の自信にもつながります。
原田校長:
英語については、私立難関校を受ける場合は、中2までに中3までの内容を終わらせて、速読や語彙に時間を使えると良いです。
谷先生:
難関県立と難関私立を受ける場合では、対策が全然違います。県立の場合は、問題の難易度は高くありませんが、「5科目をミスなく満点」を目指します。私立の場合は3科目ですが、かなり難しい内容が出て合格平均点も下がりますから、解けなくてもよい問題を見分ける目をもつこともテクニックとして必要です。
谷講師は経験22年の大ベテラン。中学受験算数から医学部数学まで指導し、高い合格実績を誇る。
−−家庭学習のご指導はどうされていますか?
谷先生:
難関校を目指すような生徒は、言われなくてもどんどんやりますから、努力が無駄にならないように、全体量を把握したうえで、優先順位をつけ、方向性を示すようにしています。
原田校長:
TOMASで受講していない科目についても進捗管理を徹底し、学習内容を指示します。
−−「夢の志望校」にこだわるTOMASの指導は、生徒にとってどのような意味(効果)がありますか?
谷先生:
「この学校!」という強い意志がある方が合格に結びつきやすいです。また、志望校を決めると将来のことも考え、「こうなりたいから今頑張ろう」と、自分を律することのできる「大人」になります。早く大人になった方が、受験にも有利です。
原田校長:
他塾でうまくいかずにTOMASに来た生徒の中には、入塾のタイミングで夢を諦めている場合もあります。本当の「夢の志望校」を引き出し、現状分析して、足りないものを補う「合格逆算カリキュラム」を組んで、やる気を引き出すようにしています。
−−保護者の方へ、勉強や受験生との関わり方のアドバイスをお願いします。
谷先生:
家庭学習の進捗を見るのは良いと思います。ただし、勉強そのものはTOMASでみていくので、親はブレーキ役に徹してください。子どもが勉強していないところを見るとイライラすると思うので、生徒に「わざとお母さんのいる前で勉強したら」とアドバイスすることもあります(笑)。
原田校長:
心配になったらTOMASに相談してください。模試の結果で一喜一憂することもあると思いますが、具体的なアドバイスと対策をお伝えし、安心していただくことを心掛けています。保護者の方がナーバスになって受験生を叱るのは双方にとって良くありません。
−−受験生へのアドバイスをお願いします。
谷先生:
「部活に燃える」のもとても良いと思います。何事も一生懸命に取り組む姿勢は、受験はもちろん、生涯の武器になると思います。また、素振りのような基礎練習の大切さを理解し、コツコツ続けられる人は、受験でも、英単語や漢字、計算を地道にやり、力をつけられると思います。
−−横浜校が目指している指導とはどんなものでしょうか?
原田校長:
生徒それぞれが「希望をもつ」こと。諦めさせないことです。安易に志望校を下げてしまうと、受験生のモチベーションが保てなかったり、自信を失ったりして、本来受かる実力がある第2志望以下でもうまくいかないことがあります。「夢の志望校」は絶対に諦めさせないよう、落ち込んだときは励まし、不安の原因を明らかにして具体的に解決策を示し、受験までともにその道を歩みます。