叱らなくても子どもに伝わる4つの話術
親が叱るとき、ひどい言い方にならないようにするには?
前回、親のひどい叱り方や暴言を、次の6つの型に分類しました。
「○○しなきゃダメでしょ!」(否定型)
「なんで○○しないの?」(詰問型)
「○○しないと□□だ」(罰則型)
「お姉ちゃんはちゃんとできたのに」(比較型)
「本当にずるい子だね」(人格否定型)
「お前なんかいない方がよかった」(存在否定型)
では、このような言い方にならないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
今回は、その具体例を4つ紹介したいと思います。
プラスイメージの言い方
1つめは、「プラスイメージの言い方」です。
例えば、次のように「○○すると□□のよいことがあるよ」というニュアンスで伝えるのです。
「先にやっておくと後が楽だよ」
「今日のうちに準備しておくと、明日の朝ゆっくりできるね」
「使ったら元の場所に戻しておくと散らからないよ」
「テストのときに見直しをすると、5点はアップするよ」
これが面倒なときは、次のように、後の部分は割愛して、「○○するといいよ」だけでもよいでしょう。
「先にやっておくといいよ」
「今日のうちに準備しておくといいよ」
「使ったら元の場所に戻しておくいいよ」
「テストのときは見直しをするといいよ」
このように、「しなきゃダメ」を「するといいよ」にかえるだけで、言われる側の気持ちはかなり変わります。
とがめたり否定されたりしていないので、素直な気持ちで聞けるようになるのです。
ぜひ、自分の口癖を振り返ってみてください。
「しなきゃダメ」と言いそうになったら、「するといいよ」に自己翻訳して言うように心がけましょう。
取り敢えずほめる
2つめは、「取り敢えずほめる」です。
何か子どもにやってほしいことがあったとします。その場合は、すでにできているような印象を与えることが大事です。
そのためには、取り敢えずほめることです。
できていなくても、取り敢えずほめるのです。
親はみんな「ほめるのはできるようになってからだ」という無意識の思い込みに支配されています。
だから、永久にほめられません。
そうではなく、取り敢えずほめてください。
「できたらほめる」のではなく、「ほめたらできる」が正しい戦略です。
「片づけがうまくなってきたね」
「行儀よく食べられるようになってきたね」
「時間の使い方がうまくなってきた感じじゃん」
「朝の支度で無駄な動きが減ってきたね」
このように言われると、なんとなくそんな気がしてくるものです。
単純型で促す
3つめは「単純型で促す」です。
ここまで紹介した「プラスイメージ」や「取り敢えずほめる」の2つは、ぜひやってみてほしいのですが、実際にやってみると、いつもこればかりというのは無理なことです。
そういう場合は、単純型をお薦めします。
つまり、「さあ、○○しよう」「○○するよ」と単純に促すのです。
でも、実はこれも意外と難しくて、親はつい「また、あなたはいつも、ああでこうで……」と余分なことを言ってしまいます。
その余分な部分をやめて、単純型で終わるようにしましょう。
とにかく、相手をとがめたり否定したりしなければいいのです。
とがめるのをやめるだけでも、よい効果があります。
「まず共感」、その後でハードルを下げて促す
4つめは共感です。
例えば、子どもが「疲れた。宿題やりたくない」などと言ったとき、親はつい「何言ってるの! やらなきゃダメだよ!」と叱ってしまいます。
でも、これだと子どもは、ますますやる気をなくしてしまいます。
ここで大事なのは、まず子どもの正直な気持ちに共感してあげることです。
「疲れるよね。今の子どもは忙しいよね」
「疲れちゃうよね。あなたも大変だね。よくがんばってると思うよ」
このように言ってもらえると、子どもはうれしいのです。
「自分の大変さがわかってもらえた」と感じるからです。
そして、しばらくして、頃合いを見計らってから、「そうは言っても、宿題をやらないわけにはいかないから、今のうちにちょっとだけやっておこうか?」と言ってあげましょう。
「半分だけやっておこうか」「1問だけやってみる?」「手伝ってあげるから一緒にやろう」「問題読んであげるからやってみよう」「消しゴム係やってあげるから」なども効果的です。
とにかく、取りかかりのハードルを下げて、促してあげてください。
実は、子どもにも「やらなければ」という気持ちがあります。
それに、親に対して「自分の気持ちをわかってくれた。受け入れてくれた」という信頼感もあります。
ですから、素直に乗ってくる可能性が高まるのです。
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