おかあさんの参考書
「知的好奇心」から中学受験を考える

「知的好奇心」から中学受験を考える

鳥居りんこ

中学受験を経験させるメリットのひとつは、「知的好奇心」の“獲得”

筆者は長年の取材経験から、人生の満足度が高い人の共通点として「知的好奇心」が挙げられると思っています。

人間には、幼い頃に感じた「これは何?」「これはどうして?」ということに代表される、「知りたい!」という欲求があると思うのです。

そして、人間には、その疑問を自らの力によって「解決」できた時に大きな喜びを感じる能力があるのでしょう。

我が子に中学受験を経験させるメリットはたくさんありますが、その中のひとつに、この「知的好奇心」の“獲得”があると言えます。

受験勉強をしているうちに、保護者のみなさんも感じることでしょう。

「我が子は受験勉強を始める前よりも、何万倍もの知識を猛スピードで獲得している!」

それこそ、スポンジが水を吸収するがごとく、様々な「?」という疑問が「!」という“感嘆符”に結びつく“感動”を味わっているかのようです。

「できた!」「わかった!」「ひらめいた!」と、自分で解を見つけた時の喜び、そして「なるほど、そうだったのか!」「こうやればいいのか!」と、知らなかった事柄を知識として吸収できた“感動”は、まさに勉強の醍醐味です。

実は、この「!」という“瞬間”が、人生においてもとても大切なことなのです。

中学受験時代は、まさに「これはどういうことなんだろう?」と疑問に思い、「理解したい」と自分なりの“解”を見つけることに喜びを感じる素地を作る時代に当たります。

この時期に、この“素地”を習得できることは、「我が子へのギフト」としても素晴らしいものであると、筆者は確信しています。

誰にも奪われない知識、誰にも邪魔されない思考、そして、この知識の上に構築される“智慧”そのものが、これから先、お子さんが生きるために必要な道具となるからです。

これを人生の早い段階で“喜び”として実感していく日々は、とても贅沢なことでもあるのです。

「幸せになるコツは、誰かの何かの役に立つように生きること」

中高一貫校の校長先生方にお話を伺うと、多くの方が同じような話をしてくださることに気が付きます。

それは、「どうすれば“幸せな人生”と感じられるのか?」という筆者の問いに対する答えです。

先生方のお答えは、言い方の違いはあれ、とてもよく似ています。

「幸せになるコツは、誰かの何かの役に立つように生きること」

つまり「社会貢献に努めよ」と言っておられるのです。

そのために「勉強をして」→「その知識の上に智慧を得て」→「世の中を良くするために動きなさい」と教えているのです。

こちらは、ある学校の校長先生のお言葉ですが、とても深い内容をおっしゃっています。

「教育の9割は、環境作りです。

残りの1割は、生徒(の人生)に必要なことを教えてあげること。

教育は教えるだけではないんですね。

本人が学びたいという気持ちの「動機づけ」の部分が一番です。

最終的に自分の人生に自分で“OK!”という審判を下せる方法は何かと言えば、『打ち込める何かを持つ』ということになります」

こういう土壌があるため、私立の中高一貫校では、様々な上質の環境を用意して、世に尽くせる子どもたちを育てて行こうという意志が明確です。

この「何かに打ち込む」ことの礎になるエネルギーの素が、「知的好奇心」です。

中高一貫校は、この「知的好奇心」を満たすのに十分なカリキュラムを組んでいます。

受験勉強の時期に知的好奇心を獲得できたお子さんにとっては、それは願ってもない環境です。

入学後には、「何かに打ち込む」経験を積んでいくことでしょう。

スランプの時こそ、我が子が「!」と喜びを実感した瞬間を思い出せるように

多くの保護者の方々は、お子さんのこの時期にこそ、様々な知らないことに出合って、その知識をシャワーのように浴びながら吸収してほしいと、頭のどこかで願って、中学受験に踏み込まれたと思います。

しかし、中学受験は競争社会であるという一面も併せ持ちますので、特にこの晩夏から秋にかけては、スランプに陥る受験生が数多く出現します。

夏休みの成果がすぐに成績に反映せず、結果が目に見えてついてこないので、自信喪失になりやすいのです。

過去問にも着手しなければならない“総仕上げ”の時期なのに、知識は穴だらけで、実は理解しきれていないところも多い。

さらには、できていたはずの問題もわからなくなっていくように思えてくるので、親子で猛烈に焦り出す季節と言えるでしょう。

ほとんどの受験生が多かれ少なかれ、このような状態を経験するはずです。

これが“スランプ”の正体ではありますが、ここで親が考えなければならないことは、「人生にとって……」という「大きな命題」です。

親が我が子の中学受験を決断した背景には、必ず「我が子の幸せのために」→「この道がベターである」という判断があったと思われます。

我が子の人生のためにプレゼントしようと思った“中学受験”には、どのようなギフトがあるのかを、今一度、思い出して欲しいのです。

スランプの時こそ、我が子が「!」と喜びを実感した瞬間を思い出せるように、保護者のみなさんには、お子さんのために知恵を振り絞ってあげてほしいと思っています。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

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