おかあさんの参考書
「文化祭」から中高一貫校を考える

「文化祭」から中高一貫校を考える

鳥居りんこ

いよいよ秋本番。

各中高一貫校でも、“文化祭”シーズンの到来です。

第4回のコラム『私立の中高一貫校の「文化」を考える』の中で、私は次のようにお伝えしました。

直接、学校に出向き、そこに流れる空気を吸って来なくてはいけません。

文化祭は、中高一貫校の「文化」に触れるチャンス

「文化」は言葉にできない、「感じる」ものだからです。

そうです。いよいよ、実際に触れるチャンスが巡ってきたということです。この“文化祭”、当然ながら、学校によって雰囲気がまったく異なります。

もちろん中高生のイベントなので、学校の管理下で行われる行事ですが、それでも、生徒の自治が満載なところ、“お祭り感”で高揚しているところ、学園あげての盛り上がりが強いところなど、学校によって雰囲気も創意工夫も違うのです。

外部のお客さまが多く来訪するという前提で作り上げている行事ですので、その学校の“校風”がダイレクトに伝わってくるものでもあります。

今回はその学校によって違う“校風”を掴みに、何を見れば良いのかについてお話ししましょう。

まずは全体の印象が大切

まず、ひと通り回ってみて、その学校全体から流れて来る“気”のようなものが好印象だったか否かを、感じたままジャッジしてみてください。

そして、更に、細かく判定していきます。

「何を見て好印象と思ったか?」

「逆にこれはいただけないなと思ったポイントは何か?」

好印象だと思ったことは、あなたがお子さんに望んでいる近未来の姿、または好ましいと考える環境でしょう。

反対に、あまり良い印象を受けなかった部分は、あなたの価値観から離れているポイントである可能性があります。

これを確認することで、親が我が子をどういう環境に置きたいのか、そこに我が子を置いたとして、伸び伸びと成長してくれる場所であるのかを明確にしていけるメリットがあるのです。

一見、地味な部活動のブースを案内する学校

最も大切なことは、その学校の主人公である生徒たちの様子を見ることです。

「生徒たちは1年に一度のイベントを心から楽しんでいるか?」

これを、実際の生徒たちを観察しながら、探ってみてください。

生徒たちの態度、言葉使いも大切です。

友だち同士での会話、先生と話をしている場面、先輩・後輩間でのやり取り、そして、お客様への心使い……。

そういうシーンを数多く見ることによって、生徒の“普段の顔”が分かってきます。

以前、私は大人気の中高一貫校の取材で、文化祭にお邪魔したことがあります。

“自由闊達”の精神を大切にしている学校ですので、ご案内役の先生もさぞや私を目玉企画の場所に連れて行くのだろうと予想していたのです。

しかし、その期待は見事に裏切られました。

その先生は、私を一見「日の当たらない」と思えるような部活動のブースばかりに連れて行くのです。

そして、そのブースに立っている生徒がひと通り私の質問に答え終わるころ、その先生がやってきて、私にこう耳打ちしてくれたのです。

「今の生徒が部長です。

実は、この部は昨年、活動方針を巡り、生徒同士で揉めてしまい、一時は空中分解状態でした。

しかし、彼が中心となってとりまとめ、部員をひとつにしてきたのです。

今、この部は部員全員が燃えに燃えています。

どうですか? 素晴らしい展示内容でしょう?」

次のマイナーとも思えるような展示ブースでも同じようなことが起こりました。

先生がこうおっしゃったのです。

「今の生徒は、中学生のころは不登校でした。

しかし、この部活動が彼を変えました。

最終学年となった今、彼は皆勤です。

この部活の仲間たちが彼を支えてきたんですよ。

全員、すごい奴らです!」

たぶん、その先生は私に、一見、地味に思える活動をしている生徒であっても、それぞれにドラマを持ち、充実した学園生活を過ごしている、ということをおっしゃりたかったのだと思います。

学校は、生徒全員に等しく責任を持っておりますが、こういうことからも生徒一人ひとりにどう対応しているのかを見ることができるのだと、教えていただきました。

我が子の「未来予想図」である生徒たちに話しかけよう

この体験を皆さんにもお勧めします。

ともするとマイナーな部活動と見られがちな展示をしている教室を、見学してみてください。

そこにいる生徒に色々と質問を投げかけると、意外にも色々なことが見えてきます。

最初はその展示についての質問、それから、どこが難しかったかなどの創意工夫についての質問をしていくと、その部活動の真剣度がダイレクトに伝わってくるのです。

それから、その学校の良い所や、その生徒が気に入っているポイントなども聞けると、よりその学校が理解しやすくなると思います。

ぜひ、積極的に多くの生徒たちに話しかけてみてください。

彼らこそが、我が子の「未来予想図」だからです。

この秋は、我が子の最良な環境を見つけに、出かけてみてくださいね。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

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