学校との「ミスマッチ」を考える
「ミスマッチ」が起こると、想像以上に辛い展開が待っている
中学受験で、「起こってはならないこと」とは何かをご存じでしょうか?
「不合格?」
いいえ、違います。私はむしろ「不合格は買ってでもしろ!」派ですので……。
「不合格」となってしまった受験生には、「逆によかったね」と申し上げているくらいなのです。
その理由は別の機会にゆずりますが、今回は、親が中学受験を考えるときに、最も大切に考えなければならないことをお伝えしようと思います。
「中学受験で起こってはならないこと」。それは、学校と我が子の「ミスマッチ」です。
「ミスマッチ」が起こってしまうと、想像以上に辛い展開が待っているからです。
「ミスマッチ」、つまり学校と我が子が合わないということですが、私もこのような相談を頻繁に受けます。
例えば、次のような相談です。
「娘はとても内向的な性格だったので、少しでも社交性を身に着けさせたくて、積極的な子が多い学校に入れたのですが、その雰囲気に馴染めず不登校になってしまいました。これから、どうすればよいのでしょうか?」
原因はそれぞれ違いますが、「学校に馴染めず」→「学校生活がとても辛い」ということでは一致しています。
学校が身にまとっている“服装”だけに注目していませんか?
青春真っただ中、人生の中でも一番、弾けていられる中高時代がとても苦しいものになってしまい、悩む我が子にどうすることもできない親御さんの苦しみは、察するに余りあります。
学校側も、それをとても残念に思っているのです。
ゆえに、近年、学校説明会などで、「本校はこういう学校である」ということを分かりやすく伝えようと努力をしている学校が、本当に多くなってきました。
しかし、未だに「我が子にちょうどいい偏差値の学校だったから」「大学進学実績がよかったから」「ネームバリューがあるから」などと、学校が身にまとっている“服装”のみに注目し、その中身までを知ろうとしないご家庭も、数多く存在しているのが現状です。
見るべきポイントは、我が子と学校の“相性”なのです。
私は長年、中学受験は「結婚相手選びである」と主張してきました。
まさに、受験本番は「お見合い」なのです。
学校側は、(ウチの学校で学ぶための)学力が足りているかを判断しなければなりませんし、受験する側も、「この学校で学びたい!」という熱烈な意志を示した答案を作り上げなければならないからです。
そして、双方が「これであれば間違いなし!」ということで「結婚=入学許可」ということになります。
面接を実施する学校が少なくなり、学校選びが安易になっている
今から20年ほど前は、「面接」という名の「お見合い」を実施する学校がたくさんありました。
しかし、10年ほど前から徐々に減ってきて、今は伝統女子校を中心に、ポリシーを持っている学校だけが実施している状況です。
この「面接」。実は、受験生を落とす目的で行っている学校は皆無です。
この目的はたったひとつ、「ミスマッチ」があってはならないということに尽きます。
先述したように、ミスマッチほど、学校やご家庭にとって悲しいことはないからです。
それゆえ、面接でご家庭の考え方と学校の校風が合っているかを確認しようとしているのです。
しかしながら、面接を実施する学校が少なくなってきたために、学校選びがいっそう安易なものになっているのが現状です。
先日、ある学校でこういうことが起こりました。
「修学旅行先が気に入らないので、参加させない」という親御さんがいたのだそうです。
この学校では、今も昔も同じ場所を修学旅行先にしているので、入学前から分かっていることなのですが、それでも、実際に異議を唱えて、不参加の意思を伝えて来る親御さんがいます。
これが、そのお子さんの意思ならまだしも、親御さんが決めたことなので、学校側はその生徒や同級生の気持ちを思い、大変残念がっておられました。
また、最近では、ある学校でこういうことが起こりました。
「今時、携帯電話を禁止するなんて、何か起こったらどうするのですか? 携帯電話を解禁にしてください!」
という親御さんからの強い申し出。
当然、学校側は信念を持っての「携帯電話持ち込み禁止」ですから、ひとりの生徒だけ認めることはできず、その親御さんへの対応に苦慮しておられました。
このように、事前に調べれば簡単に分かることで、入学後にクレームとも受け取られかねない要望を出すのは、とても残念なことです。
ミスマッチを防ぐために学校を研究するのが、中学受験生の親の責務
すべての中高一貫校は、繰り返し訴えています。
「本校の教育方針に共鳴し、ご理解をいただけるご家庭のお子さんに入学していただきたい」
我が子が校風に合うのかどうか、自分の家庭の教育方針に学校が合うのかどうかを研究するのは、中学受験生の親の責務です。
入学後に、「こんなはずでは……」と嘆かないためにも、何よりも優先して、学校情報を入手し、検討するという作業を面倒がらないことが大切です。
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