志望校の順位という意味を考える
中学受験に臨むお子さんをお持ちの各家庭では、いっそう緊張感が増してくる日々だとご推察いたします。
さて、今回は、この時期だからこそ、母が子どものためにも自分のためにも、やっておいた方が良いと思える、ある「儀式」をご紹介します。
1月で受験が終わってしまったというご家庭でもできることですので、よろしかったら参考になさってくださいね。
テキストを積み上げてタワーをつくる!?
その「儀式」とは、これです。
「テキストのタワーを作る」
お子さんは「中学受験に挑戦してみよう!」と決意をしてから今まで、たくさんのテキストやプリント、参考書、模試の答案用紙などと格闘されてきたことでしょう。
きっと、どのご家庭にも膨大な数の中学受験関連の紙類があると思います。
それらを一度、全部、上へ上へと積み上げてみて下さい。
おそらく、「こんなに?」というほどの高さになるでしょう。
タワーを見て、がんばりを実感する
これまで、親子でいろいろな日々を重ねて来たことと思います。
時にはケンカをし、時には「もう、受験から撤退しようか」と悩み、また時には喜び合い……という日々を、親子で過ごされたのではないでしょうか。
それは、どれも「中学受験をやる!」と決意し、実行しなければ味わえなかった、今思えば、「愛しい日々」だったと思います。
この積み上げられたタワーを見た時、親子でしみじみと「こんなにがんばったんだな」と実感することでしょう。
もちろん、受験生であるお子さんの頭にこれらすべての知識が入っているわけでも、すべての問題を理解しているわけでもないことは当然です。また、その必要もありません。
しかし、考えてみて下さい。
わずか6年前、小学生になったばかりのお子さんは、九九もひらがなも完璧ではないことがむしろ普通だったはずです。
しかし、今、あなたのお子さんはややこしい四則計算を解き、長文だって読みこなす力をつけているのです。
親御さんの中には、大人でもお手上げのこんなに難しい問題を我が子は理解しているのかと、驚いた方もおられるかもしれません。
中学の入試問題は、各学校が威信をかけて「学びの楽しさ」を提示しているものとも言えます。
我が子がその問題に喰らいつき、「知の翼」を自らの力で獲得していく様を、いちばん近くで見ていられたということは、親としてはある意味、とても贅沢なことなのです。
何もしなければ、「知の翼」は手に入りません。
しかし、今、あなたのお子さんは自らの力で成長させた翼を持って、羽ばたこうとしています。
ぜひ、そういう視点で「参考書のタワー」を眺めてください。
「我が子なりにがんばって来たんだなぁ……」という感想を持つ方は多いと思います。
中学受験は「水物」
また、その時、次のような考えにも思いを巡らせてみてください。
「志望校の順位付けに意味があるか?」
多くの受験生の家庭には、志望順位が明確にあります。
受験校が第1志望、第2志望……という具合にランキングされているでしょう。
もちろん、入試ですので、第1志望を目標に努力していくことは素晴らしいことですし、その学校への合格切符を目指してがんばるのも必要なことです。
しかし、中学受験は「水物」と呼ばれるほど、そのときの条件によって変わりやすく、予想しにくい物事であることを忘れてはいけません。
一説によると、「同じメンバーで2回入試をやったら、その合格者の半数は入れ替わる」と言われるほどナーバスなものとも言えます。
つまり、合否の結果がほんのちょっとしたことで変わってしまう、というのが中学受験の特徴と言えるかもしれません。
第1志望校合格者は、3人に1人とも、5人に1人とも言われる狭き門であることも確かなので、今、まさに合否が分からない段階で、「果たして、志望校をランキングすることに、どれほどの意味があるのか?」ということに、考えを巡らせておくことが必要です。
ご縁があったところが、その子に合った最高の学校
数多ある中学校の中から、あなたは「この学校ならば我が子を託せる」と信じて、受験校のラインナップを組んだはずです。
どの学校であっても、ある程度はその教育方針に共鳴し、信頼しているからこその受験校であるはずです。
そうであるなら、後は順位をあえて付けずに「ご縁」を信じる事です。
どんなに合格切符を得ようが、体はひとつなのですから、行ける学校も1校だけです。
この“1校”というのは、多くの受験関係者(中学校や塾の先生、受験産業の方々)の話を総合すると、「ご縁があったところが、その子に合った最高の学校」という“1校”なのです。
筆者は毎日のように、「我が子と入学した中高一貫校が合わず、子どもが無気力」と嘆く親御さんたちの相談に乗っておりますが、その理由のひとつが受験直後の「親御さんのボタンのかけ違え」に端を発するものです。
つまり、親が必要以上に「ガッカリ」という態度を出してしまった結果、こういう事態を招くということです。
子どもの側から見れば、中学受験に「親のためにがんばる受験」という側面があることは否めません。
それゆえ、「親の期待に応えられなかった」という事実は、子どもの心に重くのしかかってくることを忘れないようにしてください。
しかし、もしあなたが我が子の長期にわたるがんばりを認め、心から「選んだ学校すべてが第1志望校」という心境になれたなら、この先、あなたのお子さんはどの学校に進もうとも、自らの力で獲得した「合格切符」を誇らしく思い、中学校生活に夢を馳せることでしょう。
合否が未定の受験直前だからこそ、このことを肝に銘じ、「人事を尽くして天命を待つ」という気持ちで挑んで下さい。ご武運を祈っています。
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