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【2020年度 中学入試総括】首都圏主要校の入試を徹底分析

【2020年度 中学入試総括】
首都圏主要校の入試を徹底分析

TOMAS入試対策本部が、2020年度中学入試を徹底分析。首都圏主要校の倍率や出題傾向、注目問題など、志望校選びに役立つ情報をお伝えします。

2020年度 中学入試概観

受験者数が定員超え
今後も続く激化傾向

 少子化が叫ばれる昨今ですが、首都圏に限っては人口流入によりそれほど少子化は進んでおらず、中学受験率は5年連続で上昇しています。そのため今年度は、過去10年で初めて、私立中学の募集定員を受験者数が上回りました(募集定員40,440名に対し、2/1の受験者数は41,308名)。
東京都だけに限定すれば、2023年度受験の学年(新小4)まで、受験学齢の子どもの数は増加することが見込まれており、こうした傾向が継続すると思われます。「今まで以上に入試が厳しくなる」ということを肝に銘じて、対策を講じていくことが求められます。

揺れる大学入試改革と
中学入試への影響

 中学入試へも大きく影響を及ぼしている2021年度の大学入試改革は、2020年初頭に大きな曲がり角を迎えました。大学入学共通テストの国語と数学で導入が予定されていた記述問題の見送りが決まり、中学入試への影響がどの程度あるのか、予断を許さない状況です。しかし、求められる力自体が過去に戻るわけではありません。本年度の入試を振り返ることで、来年度以降の入試対策の手掛かりはきっとつかめるはずです。

多様性入試の広がり
 従来の4教科入試に加え、英語や適性検査型の試験を導入する学校もかなり増え、入試はますます多様化しています。

①英語入試
 英語を(帰国生入試という形式でなく)受験科目として設定した学校は、2014年度以降、15校→33校→64校→95校→112校→125校と年を追うごとに増加しています。本年度はさらに16校増え、141校にまで達しました。1都3県の私立中学校は約300校なので、​その5割近くで英語入試が実施されていることになります。とはいえ、その多くは複数回入試を実施する中の一部日程で実施されており、募集人数もそれほど多くはありません。まだまだ入試の主流は国算社理の4科です。
 また、かなり高度な英語力を求める学校も少なくないということにも注意が必要です。昨年度から算国英の3科入試の実施を始めた慶應義塾湘南藤沢も、試験レベルは英検2級~準1級程度とのこと。帰国子女、あるいは本格的に英語を学んでいないと厳しいレベルでしょう。

②適性検査型の入試
 合教科型・総合型の問題で思考力・判断力・表現力を中心に問う、いわゆる「適性検査型」の試験を実施する学校もさらに広がりを見せ、2014年度には38校だった実施校が、2019年度には147校までに増加しています。「私立中向けの中学受験専門の対策をしなくても受験できる」とうたわれ、近年の中学入試ブームのきっかけのひとつにもなっています。
 学校独自の取り組みや差別化を図るものとしてこの形式の試験を実施する学校も多く、「スマホ持ち込み入試」など、より多様な受験の仕方が選べるようになっています。

地区別 志願者動向
 大学入試改革は当然、受験生の志望校選択にも影響を及ぼしています。エリア別に見ていきます。

【東京・男子校】
▼開成…昨年度より29名多い1188名が受験し、合格者数は昨年度より1名多い397名でした。受験者数は2%増。合格者数はほぼ変わらず、実質倍率は0.1ポイント増の3.0倍でした。合格者最低点は193点と、2017年度以前の水準に戻っています。

▼麻布…昨年度から27名減の971名が受験し、合格者数は7名増の383名でした。合格者最低点は110点、最高点151点はやや高めです。

▼武蔵…昨年度から11名増の580名が受験し、合格者数は2名増の188名、倍率は変わらずの3.1倍と、人気が戻った昨年の水準を維持しています。

▼筑波大附属駒場…昨年度から61名減の563名が受験し、合格者数は130名でした。合格者最低点は昨年から18点上がり340点。一昨年の水準に戻りました。

▼駒場東邦…昨年度から49名増の576名が受験し、合格者数は4名減の290名でした。実質倍率は2.0倍と0.2ポイントアップです。

 その他、難関中の動向を見てみると、2016年度から日程を新設して受験回数を増やした桐朋は、本年度2日間合計で838名が受験し、安定した人気があります。また、昨年度、2/1午後に算数単科入試を新設した巣鴨・世田谷学園は、2/1午後入試以外の日程でも多くの受験者を集め、人気校となっています。

【東京・女子校】
▼桜蔭…受験者数は昨年度の510名から532名と微増です。合格者数は283名と昨年度並み、実質倍率は0.1ポイント上がって1.9倍となっています。

▼女子学院…受験者数は昨年度743名から3名増の746名で、相変わらずの人気です。合格者数は274名でした。実質倍率は2.7倍と微増です。

▼雙葉…昨年度は399名が受験していますが、本年度は391名と8名減です。合格者数は118名、実質倍率は3.3倍と難化しています。

▼豊島岡女子…女子最難関中の一角を占め、御三家に匹敵する人気校となっている本校の受験者数は、本年度は2/2の第1回入試で986名と高水準を維持しており、3回の合計でも2067名と、非常に高い人気を誇っています。

 2/1・2/3の入試日程が定着した鷗友学園女子は、2/1の第1回入試で実質倍率が0.2ポイント減の2.0倍、2/3の第2回入試で実質倍率が0.4ポイント減の3.5倍とやや緩和されています。
 2/1入試では、昨年難化した吉祥女子、大妻が受験者をやや減らしました。

【大学附属校】
 大学附属校では、早稲田実業が男子で倍率0.6ポイント減の3.5倍、女子は0.1ポイント増の4.1倍と男女で差がつく結果になっています。早稲田高等学院も倍率0.1ポイント減の3.1倍と微減です。慶應中等部も男子で4.9倍、女子で6.1倍と高倍率ながらも、昨年よりはかなりポイント減の易化です。
 学習院、立教池袋、立教女学院などで受験者数が増加した一方、法政大、明大中野などでは受験者が減っており、大学附属校の中でも、また男女でも人気が分かれています。大学附属各校では、大学の講義を受けることができたり、大学の設備を利用した授業を実施したりと、高校・大学の一貫教育、いわるゆ「高大連携」への取り組みが進められています。入試改革を見据え、「どうなるかわからない」大学受験よりも、内部進学で有名大学へ進学できる大学附属中人気は当分続きそうです。

【埼玉】
埼玉エリアでは、志願者総数11857名と他の追随を許さない栄東が、受験者数でも1万人超えです。一方で、同じさいたま市の大宮開成が、日程によっては昨年の2倍近い受験者を集め、長年栄東と競うように受験者を集めてきた開智に迫る勢いです。埼玉女子トップの浦和明の星も高い人気を誇り、本年度第1回の受験生は昨年の2007名から46名増の2053名でした。合格者数は1061名、倍率は1.9倍と昨年同様の水準です。

【千葉】
 千葉エリアでは、千葉御三家といわれる渋谷教育学園幕張、市川、東邦大東邦が例年通り堅調でした。特に渋谷教育学園幕張は、一次試験で男女合わせて、昨年の2012名を上回る2058名の受験者を集め、人気を博しています。合格者は630名とかなり絞られ、倍率は0.6ポイントアップの3.3倍でした。千葉エリアでは多くの学校が12月に「第一志望入試(推薦入試)」を実施していますが、東邦大東邦では男子22倍、女子29倍という超高倍率に、また、昭和学院秀英でも男子4.5倍、女子8.2倍という高倍率の狭き門になっています。

【神奈川】
▼栄光…昨年大幅に伸びた反動か、本年度の受験生は65名減の780名となりました。倍率は3.2倍から3.0倍の0.2ポイント減です。

▼聖光…栄光と並び、神奈川トップの聖光は、東大進学者数で目立った影響か、本年度は79名増の697名が受験しました。倍率も一気に0.3ポイント上がって3.0倍です。

▼フェリス…昨年度は420名の受験者を集めたフェリスですが、本年度受験者数は36名減の384名で、一昨年並みに戻りました。倍率も0.1ポイント下げて2.0倍と一昨年並みです。

 神奈川エリアでは、安定していた人気を維持していた横浜雙葉が本年度大きく受験者を減らした一方、洗足学園は受験者数を大きく伸ばしています。洗足学園は今後も高い人気を保つものと思われ、来年度も目が離せません。
 大学附属の日本女子大附属、日大などは出願者数をふやしていますが、同じ附属でも中大横浜は微減です。

生きる力を問われる
難関中学入試

 新学習指導要領では、育むべき力として「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性」が掲げられており、それぞれに「実際の社会や生活で生きて働く」、「未知の状況に対応できる」、「学んだことを人生や社会に生かそうとする」という前書きがついています。今年度の難関中学入試からは、こうした力を前提とした出題が多く見られました。具体的には、消去法などテクニックの通用しない多肢選択問題、離婚や死別といった未知(初見)の状況を読解させ、状況把握や共感力を測る国語の問題、複数の表やグラフを組み合わせて結論を導かせる図表読解問題、答えのない問題に対し、意見と根拠を“相手が納得するように”説明させる問題などが出題されています。
 また、入試問題全般を通して見られる、問題本文や条件文、設問分の長文化もまた、この傾向を踏まえたものだと考えられます。「読解」力は、これらすべての前提として、受験生に求められています。

教科別傾向と対策

◆算数
 記述形式の解答を書かせる学校が増加しています。加えて、暁星中や浅野中では中学数学で扱われる証明問題のような、理由を説明させる問題も出てきました。また、作図問題を取り入れる学校も増加し、「公式を覚えて使いこなす」だけでは対応できない問題が増えています。
「計算力と受験算数の基本知識を身に着ける」「読解力を養成する」「普段の学習から、自分の考えをまとめ、他の人に説明する練習を積んでおく」という3点を念頭に置き、対策しましょう。

◆国語
 全体に本文が長文化、設問数はやや減少、記述問題が増加しています。また、知識や漢字では、本文・場面に即した使いこなしを求める形式、また「熟語作り+漢字の書き取り」など、複数知識を組み合わせる形式が増えています。
 対策としては、長文の正確な読解力、相手に伝える説明力、知識の応用力を意識して高めていく必要があるでしょう。

◆理科
 昨年度までと同様に、実験データや資料を与えた上で考察を行わせるような問題が多数見られました。加えて、会話文形式での出題が増加しています。
 応用問題は、基礎となる知識と本質的な理解がなければ太刀打ちできません。科学的対象に対する探究心をもち、日ごろから「なぜそうなるのか」と考察する習慣をつけていきましょう。

◆社会
 これまで続いてきた「時事を導入にした関連知識の出題」「身近な事柄からの発展」という傾向を踏襲しつつ、より深く考えさせる問題が見られるようになりました。
 対策の第一歩は、テキスト等で基本事項を徹底的に身につけることです。その上で、身近なものからグローバルなものまで、社会の諸問題について興味関心をもち、解決策を自分なりに考える学習態度が必要になります。

多様化する学校選び

 価値観が多様化する現代社会において、偏差値や大学進学率とは異なる価値観で志望校を選ぶ動きも出てきています。多くの学校が様々な取り組みを始めており、たとえば主体的な学びを取り入れたアクティブ・ラーニング授業の実施は、近年増加の一途をたどっています。また、多くの学校が英語教育に力を入れており、海外留学プログラムや英語でのディベート活動、模擬国連への参加など、積極的な取り組みが見られます。
 入学後の学生生活はもちろん、卒業後の進路も見据えて夢の志望校を決めましょう。


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