Profile
早稲田中学校・高等学校副校長
金子 一朗先生
かねこ・いちろう
● 早稲田大学理工学部数学科卒。1990年より早稲田中学校・高等学校数学科教諭を務め、2017年より現職。
第15回 早稲田中学校・高等学校 瀧澤 武信 校長
-2019.07.25
早稲田中学校・高等学校校長
早稲田大学政治経済学術院教授
瀧澤 武信先生
たきざわ・たけのぶ
● 1985年より早稲田大学政治経済学部で学生の指導にあたる。2015年度より早稲田中学校・高等学校で校長を務める。
早稲田中学校・高等学校副校長
金子 一朗先生
かねこ・いちろう
● 早稲田大学理工学部数学科卒。1990年より早稲田中学校・高等学校数学科教諭を務め、2017年より現職。
来年創立125周年を迎える早稲田中学校・高等学校。
他の附属・系列校と異なり早稲田大学への進学者は半数弱、東大合格者数では毎年上位に名を連ねる進学校でもある。
系属校としての側面と、進学校としての側面、両方を併せもつ早稲田中高の魅力に迫る。
※この記事はTOMAS会員誌「冊子版Schola」第9号(2019年夏号)の特集を再編集したものです。
早稲田大学の建学の精神<学問の独立>に対し、中学校・高校である本校は
<人格の独立>を重要視しています。具体的には、どのような状況でも正しく行動し、逞しく生き抜いていけるように、さまざまな分野で幅広い教養を身につけさせています。カリキュラムや部活動、学校行事などは、すべてこの
<人格の独立>を目標に組まれています。
他の中高一貫の進学校と比べると「一見無駄に思える」課程が多いかもしれません。例えば文系であっても高3まで物理、化学、数学すべて学びます。社会に出てから、理系の技術者とも仕事を進める上で、必要最低限の知識は身につけておくべきだと考えているためです。理系クラスでは、国際社会で活躍する上で欠かせない教養を身につけるために、高2で世界史と倫理を必修としています。
たとえば数学における行列などのように、学習指導要領の改訂に伴って削除・移行されたりした項目でも、将来必要であると判断した内容は文系・理系に関わらず全員が学習します。
これからの時代、いつ、どのような国・環境で働くことになるかわかりませんから、最低限自分の体調を管理し、衣食住を守る術は身につけさせています。調理実習をここまで多く行う男子校は珍しいかもしれません。和洋中から離乳食まで扱います。卒業する頃には全員が魚を三枚におろせますし、グラタンやシチューはルーを使わずに小麦粉から作れるようになっていますよ。
情報科では中1でワープロソフト・表計算ソフト・プレゼンテーションソフトなどを一通り使えるようになります。高校ではプログラミングも学びます。そのほか数学科と連携し、統計学や金利計算、住宅ローンのシミュレーションなども取り扱います。英語は中2から高2まで英会話の時間があり、1クラスを2つに分割し、それぞれにネイティブの教員がついて少人数指導を行っています。そのほか補習がかなり充実している点も特徴といえるでしょう。
本校には1学年約300名中、早稲田大学への推薦枠が169名分ありますが、すべて埋まることはまずありません。早稲田大学への進学者が130~150名程度で、残りの生徒は外部受験をして東大、東工大、一橋大、旧帝大、医学部、慶大などへ進学する者が多いですね。学力が高いからといって東大や医学部の受験を勧めるということは一切せず、本人の希望を尊重しています。そのため、早稲田大学への進学希望者が多い年度は、外部受験者が減り、東大や医学部などの合格者数も必然的に減ります。
例年春になると東大合格者数のランキングが話題になりますが、本校に限っては東大の合格者数を増やすことを意識した指導はしていないので結果は意識していません。生徒は、成績に関わらず、自分の意志で推薦制度を利用して早稲田大学に進学するか受験で他大学に進学するかを決めています。
過去5年でみると、定員が常に埋まったのは政治経済学部と法学部です。生徒の志向が年によってかなり変わるので、他の学部は年度ごとに変動します。本校では中3からキャリア教育に力を入れているため、「早稲田大学ならどこでもいい」「外部受験は大変だからしたくない」という生徒はほとんどいません。明確な志向と熱意をもって進路を決めていきます。
文系・理系のクラス分けはありますが、国公立・私立、推薦・外部受験などでクラスを分けてはいません。幅広い教養を全生徒に身につけさせるため、私立専願だからといって学ぶ内容を削るということはしません。また、推薦希望者と外部受験者間での学力差も特に見受けられません。
一日2時間程度、週4日以内という制限を設けています。部活動ばかりに夢中になり、学業が疎かにならないためのルールです。限られた時間ではありますが、運動部はかなり活発に活動しています。また、学芸部では物理部が有名ですね。学園祭展示では毎年長蛇の列ができ、1時間以上並ぶこともあります。折紙同好会も圧巻の作品を展示していますよ。3メートル四方の大きな紙を2カ月かけて織り込んで制作した恐竜を展示していました。
二日間で約2万人の方々が来校しています。昨年は雨台風のために二日目の終了時刻を早めることにが中止になってしまったのですが、実行委員たちの対応は見事なものでした。終了時刻を細かく場合分けし、複数の進行表を作成し、参加団体とも協議して非常にスムーズに対応していました。
毎年約10名の高校1・2年生が18日間、オーストラリアのメルボルン・グラマー・スクールへ交換留学プログラムに参加しています。
費用をかなりおさえられるように設定していることもあり、例年多くの応募があります。このほか留学生との交流機会として早稲田大学の留学生に協力してもらい、実践型英会話講習などもおこなっています。
今後社会に出る上で必要な教養として「本物の芸術」を鑑賞する機会を設けています。新国立劇場で行われる一流のオペラ公演を、学生服ではなく正装をして観に行きます。事前に歴史的背景、内容、マナーなどを学んでから観に行くことで理解を深めます。修学旅行ではホテルでのさまざまなマナーを学びます。紳士としての振る舞い方を実体験を通じて学ぶことが目的です。
創立125周年を迎えるにあたり、校舎および各施設を建て替えることが決まっています。2023年竣工予定で進めており、敷地面積は変わりませんが、体育館の多層化などにより運動できるスペースは大幅に増え、実験室や図書館なども更に充実したものになる予定です。体育館などは適宜早稲田大学の施設を借りることになっており、可能な限り今の環境を維持しながら建て替えられるよう計画しています。
本校で充実した6年間を送る生徒たちには一つ共通点があります。それは、本校を「好きであること」。そして保護者の方も本校のファンであることです。単に早稲田大学の推薦枠を得る目的で入学するのではなく、本校の理念に共感し、早稲田中高で学びたい!と親子ともに強く思っていることが重要であると考えています。
そして入学後には、何事にも好奇心をもってほしいと思います。興味のあることだけでなく、今は興味がないことにも積極的に関心をもち、まず取り組んでみる姿勢が大切です。
大学への推薦枠をもち、受験に特化しない指導を行っている点で系属校の魅力も備えつつ、一方で国内屈指の難関大合格実績を誇る学校は早稲田中高しかありません。今後も相当な人気を集めそうです。早稲田中学校・高等学校の学校情報と入試対策を知る
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校舎見学はいつでも大歓迎。お近くの校舎をお気軽にのぞいてみてくださいね。