


中学受験の時期は、子どもが身体的・精神的に成長する時期。 受験が引き出してくれる子どもの能力とは?
子どもの成長のためには、成績以外にも必要な能力がある
私たち親は、なぜ子どもに勉強させたいと思うのでしょうか。
それは、よい成績を取っていれば、子どもの将来が明るいものになるように思えるからです。
もちろん、成績がよいほうが、将来の可能性は広がるでしょう。
とはいえ、将来の可能性は、成績によってのみ広がるわけではありません。
では、日常の生活や学習の中で、子どもは成績以外にどんな能力を伸ばせばよいのかを考えてみましょう。
中学受験の時期に伸ばすことができる能力は?
最近よく言われていますが、10年後、15年後は、今とは大きく変化した社会になるでしょう。
人工知能の発達と活用によって、子どもがつく職業も今とは全く違ったものになる可能性が大きいと言えます。
将来においては、人工知能やロボットでできることは、すべてそれらがやるようになります。
人間に求められるのは、今以上に創造的で高いコミュニケーション能力の求められる仕事だと考えられます。
つまり、より高い「人間力」が求められるということです。
中学受験をするこの時期、子どもは、身体的また精神的にも、大きく成長します。
この時期に、子どもたちは生活や学習を通して、成績を上げる以上のことを学びます。
親も、おおらかな気持ちと態度で子どもの日々を見守ることができれば、親子ともに充実した時を過ごせるのではないでしょうか。
ここからは、特にこの時期に伸ばすことのできる能力「基本的生活力」「考え深める力」「やりきる力」についてお伝えしていきます。
基本的生活力
基本的生活力とは、食べること、寝ることです。
特に受験期の子どもにとって、この2つの要素は学力向上にも大きく影響します。
まず、充分な睡眠がとれるように配慮してください。
睡眠をとって脳に休息を与えることで、学習の効率も上がります。
そして、栄養を考えた食事を心がけましょう。
以前、中学受験を控えた小学6年生の女の子が心身の不調を訴え、あまりの元気のなさにうつを心配したお母さんが子どもを病院に連れて行ったところ、鉄分不足と診断されたそうです。
その後、お母さんの栄養管理の努力によって、女の子はメキメキ元気になったそうです。
大事なことは、たくさん食べさせるのではなく、かしこく食べることです。
これらのサポートは、お母さんが内助の功で黙々とやるのではなく、子どもにも睡眠や食事の重要性をちゃんと伝えることで、より効果が出ます。
「睡眠が第一」「しっかり栄養をとろうね」と聞かされているうちに、子どもも自律的に生活するようになり、基本的生活力が向上していきます。
そして、元気に受験を迎えることができます。
考え深める力
何気ない会話の中で、子どもの考え深める力を伸ばすことができます。
それは、子どもに問いかけることです。
「この算数のテスト、すっごく難しかった」と子どもに声をかけられて、「だからちゃんと復習しなさいって言ったでしょ!」と説教したり、「大丈夫だよ、がんばっているから」などと気休めの言葉で終わったりせずに、「どの問題が難しかった?」などと、一歩踏み込んで子どもの話を聞いてみましょう。
そして、もう一度、難しかった問題を一緒に取り組んでみます。
その時、子どもの間違いに気づいても、「ほらそこよ!」などと指摘せず、「ん?」と声を発するにとどめてください。
親の声に子どもは立ち止まり、考え、より深く考え、自分の間違いに気づきます。
そして、最後に「難しいって言ってたけど、できたね!」とハイタッチ。
子どもが考えるためには質問を、そしてもう一歩深めて考えるためには、指摘ではなく合図を送るようにします。
この繰り返しが、子どもの学力とやる気の向上につながります。
やりきる力
私たちの日々には多くの壁があります。
壁に出合ったときにあきらめてしまうか、やり方を考えてチャレンジするかの違いが、子どもの人生を大きく変えます。
やりきる力を引き出された子どもは、様々な困難に出合っても前進しつづけます。
この違いは、習慣の違いです。
いきなり偏差値を10上げなさいなどと言われると、最初から無理だと思ってしまいます。
ところが今日はここまでと小さな目標を決め、無理をさせずにコツコツやると、結果として大きく力を伸ばすことができます。
小さな目標を決めて、それをやりきる。
その繰り返しです。
「やりきったね」と充実感を共有すれば、次に向かう力が湧いてきます。
これらの力は、机上の学習とは違い、親との暮らしの中で学ぶことです。
ひとつひとつを意識してみてはいかがでしょう。
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