勉強しない子どもにイライラ。メタ認知で怒りをおさめよう
怒りの土台には、別の感情が隠れている
読者のみなさんは、日々、家事・子育て・仕事などで多忙な日々を送っていることと思います。
そのようなストレスが多い生活のなかで、怒りがこみ上げてきたりイライラしたりすることも多いのではないでしょうか。
この「怒り」について、心理学者のアドラーが興味深い考察をしています。
「怒りというものは二次感情だ」というのです。
つまり、怒りは二番目に出てくる感情であり、その土台には別の感情「一次感情」が隠れているということです。
隠れているのは、例えば、心配・不安・寂しさ・落ち込み・がっかり感・落胆・悲しみ・悔しさ・裏切られた気持ち・不満・期待・安心・喜びなどの感情です。
支配したい・言うことを聞かせたいという感情
もし、子どもが勉強しないで遊んでいる姿を見て怒りが湧き、イラッとするなら、その土台には次のような一次感情があると考えられます。
▼自分が何度も言っているのに聞いてもらえないというがっかり感
▼自分の言葉が軽く扱われているという不満
▼子どもの成績が下がることへの心配
▼子どもの将来への不安
まず土台にこのような一次感情があって、それが怒りに変わるわけです。
さらに、ここに挙げた4つの感情のうち、1つ目と2つ目をよく見てみると、その土台にもう1つ別の感情が隠れているのに気がつきます。
つまり、1つ目の「自分が何度も言っているのに聞いてもらえないというがっかり感」と、2つ目の「自分の言葉が軽く扱われているという不満」の土台には、相手を思い通りに支配したい、言うことを聞かせたい、自分の正しさを証明したいなどの感情が隠れているのです。
こうした感情が満たされないからこそ、がっかりしたり不満を感じたりして、その結果として怒りが出てくるのです。
自分を客観的に見る「メタ認知」で、一次感情に気づくことができる
私たちは、こうした自分の内面の動きをしっかり認識する必要があると思います。
そのためには、自分の感情や思考をもう一人の自分が客観的に見ている「メタ認知」が必要になります。
メタ認知がしっかりできるようになれば、怒りが湧いた瞬間にその土台にある自分の一次感情にも気づけるようになります。
そうなれば、怒りに飲み込まれてキレるということはなくなります。
もちろん、やろうと思ってすぐできるものではありませんが、そういうことが可能であることを知って、心がけることは大事だと思います。
主観を交えずに自分を観察する
理解しておいてほしいのは、怒りやイライラは人間にとって自然な感情だということです。
自然な感情を抑圧して、「怒ってはいけない。イラッとしてはいけない」と無理強いしていると、非常に苦しくなります。
苦しくなるだけでなく、さらには「自分はすぐイライラするダメな人間だ」と感じて、強い自己否定感を持つようにもなります。
大事なのは、怒りが湧いてイラッとしたときに「今、自分はイラッとしているな」と気づくことです。
つまり、怒りの感情をしっかりメタ認知することです。
そして、メタ認知では主観を交えずに観察することが大事です。
禅ではこれを「観照」と言います。
「怒りは悪いことだから抑えよう」と考え出すと、すでに主観が入っていることになります。
これでは感情や思考に飲み込まれてしまい、メタ認知ができなくなります。
善悪の判断をしないで、起きている状態をただメタ認知・観照することが大事です。
「ふうん、そうなんだ、自分は今怒っているんだ」という感じです。
メタ認知・観照していると、自然に怒りがおさまります。
これは、マインドフルネス瞑想や禅の目指すところでもあるのです。
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