子どもが親を困らせることを言ってきたときの対応
子どもが「疲れて宿題やりたくない」など、親を困らせることを言ってきたとき、みなさんはどのように答えていますか?
こういうときの対応は難しいですよね。
普段は子どもに共感的な対応を心がけていても、こういうときはできにくいものです。
こういう場合の対応として、以前とても印象深い話を聞いたことがあるのでご紹介します。今40代のEさんという方にうかがったお話です。
彼女は小学生のころ、ずっとピアノ教室に通っていました。
自分からピアノを習いたいと思い、お母さんに頼んで習い始めたそうです。
当然、ピアノを弾くのが大好きで、ピアノ教室でもがんばっていました。
ところがあるとき、なぜか全くやる気が出ない日があったそうです。
それで、その日はいい加減にピアノを弾いていました。
ピアノの先生の意外な対応
すると、ピアノの先生が次のように言いました。
「気の乗らない日もあるよね。先生にだってあるもの。そういうときは無理にやると嫌いになっちゃうよね」。
そして、なんと先生は羊羹を出してくれて、一緒に食べながらおしゃべりしたそうです。その日はもうレッスンをせずに帰宅しました。
羊羹も美味しかったし、そのおしゃべりも楽しかったそうで、子どものころのとてもいい思い出になっているそうです。
このことがあってから、ピアノの先生のことがますます大好きになり、ピアノ教室に通うのがさらに楽しみになりました。
Eさんは当時を振り返って、「もしあのとき、先生に叱られていたらピアノが嫌いになっていたかも知れません」と言うのです。
共感的な対応で信頼感が高まる
私はこの話を聞いて、「やはり、共感的に対応してくれた人へは、感謝や信頼の気持ちが生まれるのだな。そして、人間関係もよくなるのだな」と思いました。
ピアノ教室の先生にとって、子どもがやる気のない状態というのは、困った状況であり、不都合な状況です。
ですから、「ちゃんとやらなきゃダメだよ」くらいのことは言ってしまうのが普通だと思います。
でも、そこで子どもの気持ちを受け入れて、共感してくれたのです。
人間的な幅があるというか、器が大きいというか、とても素敵な人だと思います。
このように、子どもが大人にとって不都合なことや、困らせるようなことを言ったときに、共感できるかどうかが大事ですね。
共感の後で、取りかかりのハードルを下げて促す
冒頭のように、子どもが「疲れて宿題やりたくない」などと言ったときも、すぐ「何を言ってるの。やらなきゃダメだよ」と叱ってしまうのではなく、まずは共感してあげてほしいと思います。
例えば、「疲れちゃうよね。あなたも大変だね。よくがんばってると思うよ」というようにまず伝えるのです。
このように言ってもらえると、子どもは「自分の大変さがわかってもらえた」と感じてうれしくなります。
その後、しばらく様子を見てから、「そうは言ってもやらないわけにいかないから、今のうちにちょっとだけやっておこうか?」と言ってみてください。
または、「半分だけやっておこうか」「1問だけやってみる?」「一緒に解いてみよう」「問題を読んであげるから、やってみよう」なども効果的です。
つまり、取りかかりのハードルを下げて、促してあげるのです。
すると、「自分の気持ちをわかってくれた人の言葉だ」という信頼感があるため、案外素直に乗ってくる可能性が高まります。
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