


「宇宙っていつからあるの? 宇宙に果てはあるの?」と聞かれたら
6年生男子の質問
中学受験の塾の先生に聞いた話です。
ある日、塾での勉強が終わった帰り際に、一人の6年生の男子が「先生、宇宙っていつからあるの? 宇宙に終わりはあるの? それとも宇宙は永遠にあるの?」と聞いてきたそうです。
先生が「え? う~ん……」と戸惑っていると、さらに「宇宙って無限に広いの? 果てがあるの? 宇宙の外には何があるの?」と聞いてきました。
そこで、先生は思いつくままに自分の考えを話しました。
「う~ん。どうなんだろうね。時間的にも空間的にも無限なのか有限なのか……。有限だとしたら、宇宙が始まる前には何があったとか、宇宙の外には何があるかって問題が出てくるね」
子どもの疑問に付き合った先生
次に、スマートフォンで「宇宙 果て」などのキーワードで検索して、出てきたページを一緒に読んだり、先生がわかりやすく説明したりしました。
子どもは目を輝かせて聞いていたそうです。
最後に、その子は「まだよくわからないけど、不思議だよね」と言いました。
それで、先生も「先生にもよくわからないけど、ホント不思議だね」と答えました。
この先生の対応は素晴らしいですね。
別れ際に、この子は、「お母さんにも聞いてみたけど、『そんなこと分かるわけないじゃない。そんなことはどうでもいいから、勉強しなさい』って言われた」と言ったそうです。
感性こそが学問や芸術の土台
その子のお母さんとしては、宇宙に果てがあるかなど、中学受験に関係ないことはどうでもよかったのでしょう。
また、仕事と生活に疲れ切った大人にとっては、宇宙の果てのことなど考えてもしょうがないという気持ちもあったかもしれません。
しかし、これが本当にどうでもいいことなのかというと、そんなことは決してないわけです。
なぜなら、学問的な探究においても、芸術的な創造活動においても、このような根本的な疑問や驚きを感じる感性こそが土台になるからです。
感性を辞書で引くと、「物事を心に深く感じ取る働き」(デジタル大辞泉)とあります。
大人になっても豊かな感性を持ち続けることが大切です。
いろいろな体験が子どもの感性を豊かにする
感性が豊かになると、人の気持ちを感じ取ることができるので、思いやりも育ちます。
感性が豊かな人は、人が気づかないことも気づきます。
発想もユニークですし、アイデアも豊富です。
そういう人は、常に夢を持ち続けますし、自分がやりたいことを自分で見つけてがんばるエネルギーもどんどんわいてきます。
ですから、子どもの時から豊かな感性を育ててあげてほしいと思います。
子どもの時にこそ伸ばさなければならないものがあり、感性もその一つなのです。
そのためには、先ほどの先生のように、子どもの疑問や驚きを大切にしてあげることです。
同時に、子どもにいろいろな体験をさせてあげることも必要です。
自然体験を通して、自然の不思議に驚く。
圧倒的な人工物を見て、感動する。
素晴らしい芸術に触れて、心を揺さぶられる。
おもしろい物語・映画・マンガなどに触れて、わくわくする。
美しいメロディーにうっとりする。
動物と触れあって、命の尊さを実感する。
人を好きになって、どきどきする。
これらのすべてが子どもの栄養になります。
こういった体験の中で驚いたり感動したり、わくわくしたりどきどきしたりすることが、豊かな感性の土台になるのです。
受験に勝ち抜いてから感性を磨く?
「こんなものは試験に出ないからムダ」などと言っていては、豊かな感性は育ちません。
受験で勝つために、「音楽を聴くな」「アニメもマンガも禁止」「恋愛も禁止」「趣味も禁止」と押しつける親もいます。
受験は中学受験だけでなく、高校受験や大学受験もあり、そして就職の時にも試験があります。
ですから、ずっと、「禁止」が続いてしまうケースもあります。
そういう育て方をしておいて、大人になってから「さあ、大人になりました。一流大学を出て、一流の仕事に就きました。それでは、いよいよ感性を磨きましょう」などといっても遅いのです。
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