生活の節目を活用すれば、子どものやる気を高めることができる
親の気持ちが先走りして、空回りしていませんか?
「子どもをやる気にさせたい」というのは、親の切なる願いです。
でも、その気持ちが先走りして、「○○しなさい」「なんで○○しないの」「○○しなきゃダメでしょ」「いつになったらやる気が出るの」「あなたのために言ってるのよ」などと叱ってしまう人が、実に多いのです。
既におわかりの通り、これらの小言はすべて逆効果です。
そこで、子どものやる気を高めるひとつの工夫として、今回おすすめしたいのが、一年の中で「子どものやる気が自然と高まる時期」を活用する方法です。
大人にも言えることですが、1年の間に何度か、子どもが自然にやる気が高まる時期というものがあります。
節目のときには、子どもの気持ちが高揚している
それは節目の時期であり、子どもにとっては、進級時、お正月、夏休みや冬休みのはじめごろ、新学期のはじまりの時期などです。
特に、何年かに1度の卒業・入学の時期は、最高にやる気が高まる時期です。
こういう節目の時、子どもは普段よりも気持ちが高揚していて、子どもなりにいろいろ考えたり決意したりしているものです。
「2学期は漢字ができなかったから、冬休みにがんばって3学期には漢字博士になろう」
「4年生ではあまり勉強をがんばれなかったけど、5年生になったらもっとがんばろう」
「今年は算数の成績がよくなかったなあ。来年はもう少し成績を上げたい」
「今年はお手伝いを途中でやらなくなっちゃったから、来年は続けたい」
「小学校ではいいところがなかったから、中学校では1つくらい人に負けないものをつくろう」
節目を活かせば、子どものやる気を高められる
もちろん、このようにはっきり意識して具体的に考えている子ばかりではありませんが、どんな子でも、なんとなく「もっとがんばってみたい」という気持ちは持っているものです。
大人は、すでに同じことを何度も繰り返してきていて、それほどの高揚感を感じなくなっているかもしれません。
でも、子どもにとっては1年1年が非常に新鮮であり、生活の節目で感じる高揚感は大人よりはるかに大きいのです。
ですから、こういう節目を上手に活かせば、子どもを大いにやる気にさせることができるのです。
大切なのは、まずほめること
ただし、そのためにはちょっとしたコツがあります。
親は、つい「今年はお手伝いができなかったから、来年はもっとがんばりなさい」「2学期は算数ができなかったから3学期は……」などという言い方をしてしまいます。
でも、これでやる気の出る子はいません。
大切なのは、まず子どもをほめることです。
「今年は縄跳びをがんばったね。綾飛びも飛べるようになったし。できなかったことができるようになるって、うれしいよね」
「2学期はお手伝いの玄関掃除を毎日やってくれてありがとう。ホントに助かったよ」
「2学期は漢字の勉強をがんばったね。先生もほめてたよ」
「スケッチ会で描いた絵がすごくよかったよ。山の色がホントきれいだったね」
「秋の大会であなたの応援の声がすばらしかったって、監督がほめてたよ」
「10月にレゴブロックで作ったロボット、迫力があったね。あれは今年の最高傑作だよ」
ほめられると高揚感がさらに高まり、前向きな気持ちになれる
ほめる内容は、勉強のことでなくても構いません。
とくに、その子の思い入れの深いところをほめてあげると、子どもは喜びます。
小さなことでも当たり前と思わず、ほめてあげてください。
ただ、全体を漠然と見ていてもほめることはできないので、部分に注目してほめることです。
ほめられることで、子どもは自分のがんばりや成長を実感することができます。
そうすると、生活の節目で自然に感じていた高揚感がさらに高まり、次もがんばろうという前向きな気持ちになります。
こうなったところで、「じゃあ、来年どうしようか?」「6年生になったら、どんなことをがんばろうか?」と話を切り出します。
ちょっとしたひと手間が大切
すると、子どもの方から、「2学期は、算数はがんばったけど漢字ができなかったから、冬休みから漢字をがんばる。2学期には漢字博士を目指すぞ」などと言い出すこともあります。
自分から言い出さない時も、親の方から「今度は○○をがんばってみようか」と持ちかけたことに対して素直に耳を傾けることができます。
このように、ちょっとしたひと手間をかけて、まずほめるところから入ることが大切です。
そうすれば、子どものやる気を高めることができます。
親の気持ちだけが先走って、「2学期は漢字ができなかったから、冬休みにがんばって3学期には漢字博士を目指せ」などと言うより、よほど効果的です。
子どものやる気はジェットコースターに似ている
子どものやる気は、ジェットコースターに似ています。
ジェットコースターは、はじめに高いところまで引き上げられ、その後は位置エネルギーを利用して走り続けます。
はじめの位置が高ければ高いほど、遠くまで行けるのです。
子どものやる気も、はじめにほめることで、高いところまで引き上げることが大切です。
そうすれば、その後も長く走り続けて遠くまで行くことができます。
しかし、はじめに叱ってしまうと、いきなり低いところからスタートすることになるのです。
これでは、すぐに止まってしまいます。
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