夏休みの自由研究も完成! 自分の道を深く究めるノートの書き方
大好きな猫のことをノートに書いて、おしゃべり
子どもが好きなことや熱中していることを、ノートに書かせるようにすると効果があります。
これは大阪に住むYさんに聞いた話ですが、Yさんの長女のみっちゃん(小学5年生)は、飼い猫のポンちゃんが大好きで、よく遊んだり世話をしたりしていました。
そこで、Yさんは「ポンちゃん、ホントかわいいね。ポンちゃんの絵を描いてよ。できるだけ大きく描いて」と言って、ノートを渡しました。
すると、みっちゃんは、ノートいっぱいにポンちゃんの絵を描いてくれました。
Yさんは、その絵をほめてから、「猫の体のパーツについて教えてよ」と頼みました。
すると、みっちゃんは、「ポンちゃんの一番好きなところは、顔。かわいい顔に、立派なひげがあるのがおもしろい。肉球も大好き。これで猫パンチしてくるのがかわいい」と、いろいろ話をしてくれました。
そこで、Yさんは、「猫のひげって、何でこんなに長いのかね? 肉球って何の役に立つのかね?」と言いました。
すると、みっちゃんは、「ひげは体のバランスを取るためじゃないの? 肉球はすべり止めだと思うよ」と答えましたが、いまひとつ自信がないようでした。
Yさんは、「じゃあ、一緒に調べてみようか」と言って、スマホで調べて見せてあげました。
みっちゃんはそれを読みながら、「やっぱりね。肉球の小さなくぼみから汗が出て、それがすべり止めになってるんだって」「ああ、そうか、肉球がクッションになってて、そのおかげで足音を立てないで、忍者のように歩けるんだって」「小さな5つの肉球は“指球”(しきゅう)って名前で、一番大きいのが“掌球”(しょうきゅう)だって」と大喜びです。
せっかくだからノートに書こう
次に、Yさんは、「せっかく調べたんだから、忘れないように大事なことをノートに書いておこう」と言ってみました。
Yさんは、「乗ってくるかな?ダメかな?」と思っていたのですが、みっちゃんは「そうだね」と言うや否や、すぐにノートに書き始めました。
みっちゃんは、イラストも描きながら楽しそうに取り組みました。
そこで、Yさんは、「せっかくだから、これを夏休みの自由研究にしようか!」と言ってみました。
すると、みっちゃんも大賛成で、「それいいね。ポンちゃんのことをもっと書いて、猫でわからないことを調べて書いて、それで自由研究にしよう」ということになりました。
その後は、スマホで調べるだけでなく、図書館で猫の本を探して調べたりもしました。
猫の体のこと、猫を飼うときのコツと注意点、猫の病気、日本や世界の猫の種類、人間と猫の関係の歴史など、いろいろなことを調べて書きました。
同時に、毎日ポンちゃんと遊びながら、よく観察して気がついたことも書きました。
その結果、楽しみながら自由研究を完成させることができました。
ますます猫のことが好きになりましたし、猫についてかなり詳しくなり、「自分は猫博士」だという自信もつきました。
夏休みが終わってからも、みっちゃんは「猫ノート」にいろいろ書いて、研究を深めているそうです。
熱中していることをノートに書こう
この例のように、子どもが熱中していることをノートに書かせるようにもっていくと、いろいろな面で良い効果があります。
水泳に熱中している子なら、水泳のことを書きます。
その日練習したこと、練習中に気がついたこと、自分で考えた工夫、コーチに言われたこと、これからがんばりたいことや目標、大会の結果、反省点や改善点、ライバルの研究、泳ぎ方の種類、水泳の歴史、有名な選手のこと、などなど……。
勉強に熱中している子なら、勉強のことを書きます。
その日の勉強を振り返って、良い点と改善点、勉強への取りかかりを早くするための工夫、自分なりの時間管理術、勉強に飽きたときの気分転換の工夫、暗記の仕方の工夫、間違えた問題と答えの書写、集中力を高める工夫、ケアレスミスの傾向と対策、先生に言われたこと、直近の目標、将来の夢、試験の反省点と改善点、志望校の研究、などなど……。
アイドルグループに熱中している子なら、そのアイドルグループについて書きます。
各メンバーの特徴、誕生日、出身地、好きな食べ物、好きな教科、趣味、特技と弱点、エピソード、曲の歌詞の書写、そのイメージのイラスト、歌詞に出てくる言葉の意味を国語辞典で調べること、などなど……。
あの棋士もアスリートも、ノートをつけていた
将棋のプロ棋士・藤井聡太さんは、5歳の頃から通った「ふみもと子供将棋教室」の文本力雄塾長に「負けたときこそしっかり反省し、ノートに書くこと」と教えられ、それを忠実に守ってきたそうです。
自分で考えた詰め将棋もノートに書いてきました。
書くことで考えを深めることができ、記憶にも残るようになり、それが次に生きます。
そういうことを繰り返しながら、将棋の実力を磨いてきたのだと思います。
プロ棋士になって29連勝し、その後初めて負けたときも、対局の後でノートに書き込み、次局への糧にしたそうです。
将棋と言えば、かつての大御所、大山康晴名人が残した手書きの棋譜ノートも有名です。
このノート26冊が、倉敷の記念館に寄贈されているそうです。
サッカーの中村俊輔選手も、毎日の練習の記録、練習や試合の反省点、発見したこと、工夫したこと、目指すべき目標や夢、それを実現するための課題、自分の心境などをノートに書き続けていました。
これをまとめた『夢をかなえるサッカーノート』(文藝春秋)はベストセラーにもなっています。
中村選手が超一流のファンタジスタになれたのも、このノートのおかげと言ってもいいと思います。
大相撲の横綱・鶴竜も、自分の取り組みをVTRで見ては反省点をノートに書き出し、課題を決めて稽古に取り組んでいたそうです。
かつての横綱・初代若乃花のDVDも、「相撲への姿勢とか参考になる」ということでよく見ていたそうです。
ノートに書くことで、自分の道を深く極めることができる
熱中していることをノートに書くことで、夏休みの宿題で一番面倒な自由研究も、楽しみながらできます。
でも、何よりも良いのは、自分が好きなことを、もっと深めていくことができることです。
気がついたことを書こうとすれば、より注意深く観察するようになります。
調べて書くことで知識が増え、記憶にも残ります。
自分を振り返って、もう一度考えることで、成功も失敗も栄養になります。
ノートに書くことで、どんな分野でも、自分の道をより深く究めていくことができるのです。
最後に注意点ですが、大事なことは楽しみながらやるということです。
それで初めて、実りあるものになります。
書くことが嫌いな子には、強制しないでください。
本人が嫌がるならやめてください。
嫌々やっていては、実りがないばかりか、逆効果になるだけです。
好きだったこと自体が嫌になってしまいますから。
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