苦手な科目はこう克服する! 歴史が苦手な女子の実例
ショック! 自分は歴史について何も知らない
私が受け持った、ある6年生の女子の話です。
彼女は、5年生まではどの科目もよくできる子で、苦手な科目はありませんでした。
ところが、6年生になってから、1つだけ苦手な科目ができてしまいました。
それは、歴史です。
もちろん、クラスの平均的なレベルよりはよくできたのですが、彼女の中では苦手意識があったようです。
その1つのきっかけは、数名の男子の存在でした。
彼らはみんな、ほかの科目はすべてイマイチでしたが、6年生になってはじめて勉強する歴史の授業で、突如大活躍しはじめたのでした。
彼らは中学年のころからたくさんの歴史漫画を読みまくっており、歴史に関してはすでに膨大な知識を持っていました。
教科書に出てくる卑弥呼、聖徳太子、小野妹子、中大兄皇子、中臣鎌足などはもとより、教科書に出てこない人物についても知っていました。
それも、人物の名前だけではなく、その生涯と事績についても詳しかったのです。
授業で大活躍する彼らを見て、彼女は「自分は歴史についてほとんど何も知らない」ということに気づいたのです。
そういうことは今までになかったので、彼女にとっては、けっこうショックなことで焦ったようです。
それで、彼女は歴史に苦手意識を持つようになったのです。
歴史漫画から入って本物体験
母親もそのことに気づきました。
それから彼女に歴史漫画を読むように薦めました。
まずは、興味を持ちそうなものからということで、紫式部や清少納言など女性を扱った歴史漫画を図書館で借りたり、書店で買ったりしました。
同時に、母親も努めて読むようにして、読んだ内容についておしゃべりしたりしました。
もともと、本や物語が好きだった彼女は、歴史漫画を読みはじめてその面白さを知り、自分からどんどん読むようになりました。
夏休みになると、彼女は郷土博物館、歴史博物館、史跡、遺跡などを10カ所も見に行きました。
ある博物館では、縄文時代の本物の火炎土器を持たせてもらったそうです。
(私はレプリカではないのかと密かに疑いましたが、本人はそう言っていました。)
すごく迫力があって感動したそうです。
弥生時代の遺跡である登呂遺跡では、火起こし体験もしました。
静岡市の宇津ノ谷峠にある御羽織屋という家では、豊臣秀吉が実際に着ていた羽織や徳川家康が贈った茶碗を見ました。
また、静岡市内のお寺では、徳川家康が子どものころ手習いをしたという部屋にも入りました。
本物体験で歴史が身近になる
2学期の歴史の授業は、秀吉や家康が活躍した時代の勉強からでした。
夏休みに秀吉や家康の残した本物に接してきた彼女にとっては、ちょうどよかったと言えます。
歴史の授業が始まると、彼女はとても積極的に取り組みました。
歴史漫画によって知識も増えましたし、本物体験によって歴史が身近になったのも大きかったと思います。
秀吉が実際に着ていた羽織や家康の贈った茶碗を目の前で見れば、秀吉や家康が一気に身近になります。
「やっぱり秀吉の羽織って豪華だなあ。秀吉がこの羽織を着ていて、この場で脱いでこの家の主人にくれたのか……」とか、「徳川家康がこの茶碗をくれたのか……。家康はこの茶碗でお茶を飲んでいたのかな?」などと想像するかも知れません。
こういうところから、生きた人間の歴史に興味が持てるようになるのです。
教科書の説明や写真で見ただけでは、なかなか身近に感じることはできませんが、本物を見ることで一気に距離が縮まるのです。
好きになることが一番大事
子どもが歴史を苦手だと気づいたとき、お母さんが「さあ、歴史の参考書を読みなさい。歴史の問題集をやりなさい」と言わなかったのがよかったと思います。
そういうやり方だと、よけい嫌いになってしまう可能性もあるからです。
このお母さんが行った方法は一見遠回りのようですが、実は近道なのです。
というのも、そもそも歴史を好きになることが一番大事であり、その方が後でぐんと伸びるからです。
彼女は、まず歴史漫画で歴史の面白さを知り、知識も増えました。
同時に、歴史に関する本物体験をたくさんすることで、昔の人たちのことが身近に感じられるようになりました。
これら2つのことを楽しみながらできたのが大きかったと思います。
もし、子どもに何か苦手なものがある場合、この例を参考にしてみてください。
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