学習計画と学習戦略
study plans and learning strategies
ここでのテーマは、「学習計画」と「学習戦略」です。「学習計画」とは、いつまで・どこまで・どれくらい勉強すればよいかを示す指針です。一方、「学習戦略」とは、どのような方法で勉強すればよいか、あるいは学習計画どおりに勉強が進まなかった場合にどう立て直せばよいのかを示す指針です。勉強の方向性を決定づける大切な2つの考え方を身につけていきましょう。
【医学部受験に関する「学習戦略」の実現方法①】受験勉強の根幹を担う、「参考書」による学び方
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参考書は、「評判のよい本」ではなく、「自分に合っている本」を選ぶ
受験勉強に「参考書」を使わない人はいないと思います。自分と相性がピッタリ合う本は、志望校合格までの頼れるパートナーです。参考書は、以下のような観点から選んでください。
- 自分のレベルに合っているかどうか
- 解説がわかりやすいかどうか
- 読みやすいかどうか・使いやすいかどうか
- 分量的に終わりきるかどうか
「自分のレベルに合っているかどうか」は、参考書選びの大前提です。学習者の中には、周囲に薦められたというだけの理由で現在の自分の実力よりもレベルの高い参考書を使っている人がたくさんいます。実力がともなっていないのに、「成績がよい同級生と同じ本を使いたい」と見栄を張る人もよく見かけます。そのため、読み進めていくうちに難しい記述が出てきて読むのが途中でいやになって投げ出してしまう、というケースが続出しています。参考書を、評判だけで選ぶことは絶対に避けましょう。「自分のレベルに合っているかどうか」の目安は、解けそうな問題が半分程度載っているかどうかです。
「解説がわかりやすいかどうか」の基準は、苦手な分野・単元の説明がスンナリ理解できるかどうかです。書店の参考書売場で気になる本を何冊か手に取り、自分が不得意なところを説明しているそれぞれの本の記述を数ページ分読んで、わかりやすさを比較してみてください。参考書によって説明の仕方が大きく違うことに気づくはずです。その中から、自分にとって最もしっくりくる記述が載っている参考書を選びましょう。先ほど述べたとおり、参考書選びでは自分とのマッチングを優先してください。
参考書を1回読んだだけで覚えられたり理解できたりする人はごくまれです。たいていの人は、参考書を繰り返し読む必要があります。ですから、参考書選びでは、中身のよさもさることながら、「読みやすいかどうか・使いやすいかどうか」も重要です。文字がビッシリ詰まっている本、レイアウトが見づらい本などは、何度も読むという行為に耐えられません。実際に紙面を開いてみて、「これなら最後まで読めそうだ」と思える本を選びましょう。
「確実に遂行したい『学習計画』の基本方針」の記事でも述べたとおり、受験勉強では「範囲の網羅」が必要です。分野・単元のやり残しを出してはなりません。ページ数が多すぎる本、問題が不必要にたくさん載っている本などは、入試本番までに読みきれないおそれがあります。選ぶ際には、「分量的に終わりきるかどうか」も重視し、試験までに何回か繰り返し復習できる本を選びましょう。
参考書は完璧にこなす。ただし、教科書もお忘れなく
上で述べたような観点から自分にピッタリの参考書が選べたとします。では、参考書をどういう点に注意して使っていけばよいのでしょうか。その際の注意点は、以下の2つです。
- インプットだけでなく、アウトプットにも使う
- 教科書と併用する
「インプットだけでなく、アウトプットにも使う」とは、参考書を「読む」というインプット行為だけに使うのではなく、アウトプット行為として、たとえば「参考書を読んでいて気づいたこと・重要だと感じたことをノートにまとめる」「参考書の内容を、あたかも目の前にいる他人に説明するように、口に出してみる」などにもフル活用する、ということを意味します。英語の参考書の場合には、とりわけ「音読」が有効です。
「教科書と併用する」とは、参考書を教科書の補完用教材として使う、ということを意味します。
入試問題担当の教員が問題作成時に参照する資料は教科書です。参考書だけを使っていると、入試問題として出題される範囲に「抜け漏れ」が生じるおそれがあります。たしかに、教科書の記述は簡潔に書かれていることが多く、いきなり読んでもわかりにくい場合があります。しかし、教科書から逃げてはなりません。受験勉強の開始時期・深耕時期・仕上げ時期とも教科書をメイン教材として使い、参考書はサブ教材として、教科書の記述でわからなかったところを調べたり、教科書だけでは不足する演習量をカバーしたりする補助ツールとして位置づけてください。
とくに、教科書のありがたみがわかるのは、受験勉強の仕上げ時期です。受験勉強のまとめの段階で教科書を読み返すと、あらためてたくさんの気づきが得られます。そのときに参考書の記述も併せて読むと、そこまでに身につけてきた知識と解法がさらに体系化されていきます。
英単語は、視覚以外の情報もフル活用して覚える
暗記が苦手な人が多いと思います。とくに、英単語・英熟語など、英語の語彙暗記に苦労している人がたくさんいます。英単語集・英熟語集によって語彙を暗記するために有効な方法は、以下の3つです。
- 意味は、語源を理解したうえで覚える
- 語呂合わせや音読など、耳から覚える
- 関連する内容とともに覚える
「意味は、語源を理解したうえで覚える」とは、英単語の意味を丸暗記せず、意味のもととなっている語源を経由して記憶していく、ということを意味します。たとえば、mutation「突然変異」という英単語の意味は、「変化する・変わる」という意味を表すラテン語のmutareという語源からきています。語源によって英単語がもつイメージが理解できれば、丸暗記するよりも断然忘れにくくなります。
「語呂合わせや音読など、耳から覚える」とは、英単語集を使って覚える際に、ただ字面を目で追うだけでなく、語呂合わせや音読などを活用し、音を経由して記憶していく、という意味です。たとえば、heredity「遺伝」という英単語は、発音をカタカナで表記すると「ヒレディティ」となりますが、これは、「腹出てるのは遺伝」という語呂合わせを使えばそう簡単には忘れられません。さらには、「ヒレディティ」を音読で何度も繰り返し発音すれば、視覚だけでなく聴覚によっても記憶が定着していきます。
「関連する内容とともに覚える」とは、1つの語彙を覚える際には、同義語や反意語などと併せて記憶していく、ということを意味します。たとえば、「最近」という意味を表すthese daysという熟語を覚える場合には、反意語である「当時」という意味のin those daysという熟語をいっしょに覚えれば、あらためてin those daysを覚える必要はなくなります。また、このように関連事項を併せて覚えることによって、in those daysには、these daysにはついていないinという前置詞が置かれていることも同時にわかります。このように、関連する内容をあわせておさえていくと、単独で覚える場合には気づきにくいポイントが明確になっていきます。
「書いて覚える」ことを絶対視してはならない
たとえ知識をインプットできたとしても、試験本番でその知識が思い出せなければ何の意味もありません。試験会場のその場で想起できるよう、ふだんから知識をアウトプットする訓練が必要です。
知識を引き出す訓練で気をつけるべき点は、「間隔を空けて行う」ことと「必ずしも書かない」ことです。
人間の記憶力は短期間しか持続しません。覚えたことは、そのときには記憶に残っていても、数日たてばきれいサッパリ忘れています。極端にいえば、数時間後ですら、覚えたことは頭から抜けていきます。記憶を長期間保たせるためには、集中的に覚えるのではなく、数時間や数日のインターバルを置き、繰り返し思い出す機会をつくりましょう。
学習者の多くは、「覚えるためには書かなければならない」と考えています。しかし、書いて覚えるという勉強法は必ずしも有効ではありません。理由は2つあります。
1つ目の理由は、書くこと自体が目的化してしまうことです。多くの人は、実際には身についていないのに、「書いたから覚えられた」と思い込んでしまいます。
2つ目の理由は、書くと時間をとられることです。書くことにかかる時間よりも、音読にかかる時間のほうが短くすみます。「書いて覚えなければならない」という固定観念を捨て、効率重視で覚えていきましょう。
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