おかあさんの参考書
子どもが、親にとって望ましくないことを言ってきたとき

子どもが、親にとって望ましくないことを言ってきたとき

親野智可等

「まず共感」に徹することが大事

子どもは突然、親にとって望ましくないことを言ってくることがあります。

そういうとき、どのケースでも大事なのは「まず共感」です。

逆に、親がよくやりがちなNGな対応として、次の3つがあります。

  1. 門前払いをして正論で叱る
  2. 安易な同調をする
  3. 励ましとアドバイスをする

「先生に叱られて頭にきちゃった。あの先生嫌い」に対しては……

例えば、子どもが「先生に叱られて頭にきちゃった。あの先生嫌い」と言ったときは、「そうだったんだ。嫌だったね」と、まずは共感してあげてください。

そうすれば、子どもは安心して愚痴をこぼすことができます。

たっぷり愚痴をこぼすことができれば、子どもはすっきりして、また新たな気持ちでがんばるエネルギーがわいてきます。

また、子どもの話をたっぷり聞いているうちに問題点が明らかになってくるので、自然と必要な対応方法が見えてきます。

共感と「安易な同調」は違う

「そんなこと言っちゃダメ!」「あなたがいけないんじゃないの? ちゃんと先生に謝らなきゃ」などは、1つめのNG対応「門前払いして正論で叱る」に当てはまります。

これだと、子どもはもう何も言えなくなって、ストレスをためこむことになります。

「そうだよね。あの先生って最低だよね。去年5年生を受け持ったときも、大勢の保護者があの先生はダメだって言ってたよ。本当、あの先生ダメだわ」などと、余分な情報を提供して火に油を注ぐようなことをしてしまうのもNGです。

これは、2つめのNG対応「安易な同調をする」です。

共感に似ていますが、共感を通り越してしまっています。

共感がないまま、いきなり「励ましとアドバイス」はいけない

「そんなこと、気にしない、気にしない。そういう嫌なことがあったときは、思いっきり外で遊べばすっきりするよ」などと、いきなり励ましたり、アドバイスをしたりするのは、3つめのNG対応「励ましとアドバイスをする」です。

このように、共感がないまま、いきなり励ましたり、アドバイスをしたりすると、言われたほうは、「そんな簡単なことじゃないよ。なんで私の話を聞いてくれないの?」と感じてしまいます。

さらには、「私がどんなに嫌な思いをしたか全然わかってくれない。この人に何を言ってもムダだ」となってしまう可能性もあります。

「励ましとアドバイス」をする場合は、最初に子どもの話をたっぷり共感的に聞いたあとにしましょう。

子どもの様子をよく見て、「励ましとアドバイス」を聞く心の準備ができているようなら、話してあげてください。

共感のあとなら、子どもも励ましとアドバイスを受け入れやすくなります。

しかし、子どもの様子をよく見て、まだ「励ましとアドバイス」は受け入れそうにないとわかったときは、共感だけで終わった方が無難です。

共感してから取りかかりのハードルを下げて促す

子どもが「宿題やりたくない」と言ったときも、まずは「こんなに暑いとやる気出ないよね」と共感してあげましょう。

そして、しばらく時間をおいて、頃合いを見計って、「そうは言っても、全然やらないわけにはいかないから、ちょっとだけやってみる?」と声を掛けてみてください。

この他にも、「1問だけやってみようか」「手伝ってあげるから一緒にやろう」「問題読んであげるからやってみよう」「消しゴム係やってあげるから」なども効果的です。

とにかく、取りかかりのハードルを下げて促すことです。

すると、自分の大変さをわかってくれている人が言ってくれているので、「しょうがない、やるか」となる可能性が高まります。

子どもの「宿題やりたくない」に対して、「何言ってるの! ちゃんとやらなきゃダメでしょ」と門前払いをして叱るのは、やめた方がいいのです。

これでやる気が出る子がいたら、奇跡です。

共感的にたっぷり聞くことで問題点が明らかになってくる

子どもがもう「○○をやめたい」と言ったときも、共感的に聞いてあげてください。

すると、子どもは愚痴をたくさん話せます。

それによって気持ちがすっきりすれば、「もうちょっとやってみようかな」となる場合もあります。

そうならない場合も、子どもの愚痴をたくさん聞いていると、「そうか、コーチと上手くいってないんだ」「他にやりたいことができたんだ」「体力的に無理なんだ」など、やめたい理由がわかってきます。

すると、より的確な対応が可能になります。

親がよくやりがちなのは、「何言ってるの! 約束したんだから、ちゃんと続けなさい」という「門前払い」です。

あるいは、「才能があるんだから、もったいないよ。もうちょっとがんばろうよ」という「励まし」です。

子どもが「○○が欲しい」と言ったときも、まずは共感的に聞いてあげてください。

それでも買えないときは、たっぷり聞いたあとで、「でも、この前これとこれを買ったばかりだから、ちょっと無理だよ」と言うようにしましょう。

そうすると、子どもとしても、欲しい気持ちはわかってもらえているので、「まあ、しょうがないか」となって諦めがつきやすくなります。

「この前買ったからダメ」「家を出るとき買わないって約束したよね」といきなり叱るのはNGです。

親が万事こういう対応だと、子どもは「どうせ親にはわかってもらえない。言えば叱られるだけだ。もう何も言わない方がいい」と感じてしまいます。

そして、ストレスを抱え込むことになるのです。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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