キレた記録をつけるとキレなくなる
もう怒らないと決めたのに怒ってしまう。
こういった悩みを持っている人は多いと思います。
あなたも、子どものしょうもない姿を見てついキレてしまい、その後反省をする……ということを繰り返していませんか?
自分がキレて叱ったことを記録する
この状態から抜け出すために、ちょっとしたことをやってみるといいと思います。
それは、自分がキレて叱ったことを記録するということです。
例えば、次のようなことを手帳かノートに書きます。
1 日にち、曜日、時刻、天気や気圧
2 なぜキレたのか? 近因と遠因
1 日にち、曜日、時刻、天気や気圧
曜日や時刻を記録していくと、キレやすい曜日や時間帯がわかることがあります。
例えば、「日曜日の夜にキレやすい」とか、「月曜日の朝は毎回キレてしまう」などです。
これがわかると、事前に「そろそろ危ない時間帯だから気をつけよう」と気がつくことができます。
できれば、天気や気圧も記録するといいでしょう。
というのも、人間の心理状態は、天気や気圧の影響を受けやすいからです。
特に気圧は大事ですから、すぐ見られるところに気圧計を置くといいでしょう。
気圧が下がってくると、子どもはてきめんに影響を受け、ダラダラ・グズグズし始めます。
もちろん、大人も影響を受けますから、気圧計を見ながら自分に「キレ注意報」を出すといいでしょう。
2 なぜキレたのか? 近因と遠因
キレた理由を記録するのは、極めて大事です。
私のオススメは、近因(直接的な原因)と遠因(間接的な原因)を書くことです。
近因:朝起こしたとき、「あと5分」と言ったのに起きてこない。
遠因:自治会の会合に間に合わなくなるという焦り。
近因:玄関にランドセルを置いたままおやつを食べていた。
遠因:夜勤明けの旦那と口げんかしてイラついていた。
このように、近因と遠因を書いていくと、自分がどんな状況でキレやすいかわかってきます。
すると、「これは危ない状況だ」と事前にわかり、自分に「キレ注意報」を出せるようになります。
特に、遠因になりそうなことを引きずっているときは、「旦那と口げんかしたあとだから要注意だ」とか、「仕事の締め切りが迫っているので要注意だ」などとわかって、気をつけるようになります。
自分と相手の内面を分析してみる
これだけではなく、もう一歩進んで、自分の内面と相手の内面の両方を分析してみると、大きな成果が得られます。
まず、自分の内面の分析です。
例えば、「なぜ、ランドセルを玄関に置いたままおやつを食べるのを見てキレたのか?」と考えるのです。
すると、自分の中に「ランドセルを所定の場所に置いてからおやつを食べるべき」という価値観があるからだとわかります。
つまり、人が怒りを感じてキレるときは、まず自分の中に「こうあるべき」という価値観があって、それにそぐわない状況が生まれたときなのです。
でも、その価値観は、いつも絶対的に正しいとは限りません。
それは、長年にわたる自分の経験によってもたらされたものであり、相手に同じものを要求するのは無理なのです。
次に、相手の内面の分析です。
「なぜ、子どもはランドセルを玄関に置いたままおやつを食べたのか?」と考えるのです。
それは、学校で一日を過ごし、お腹が空いていたからです。
ストレスもたまっていたでしょう。
もしかしたら、5時間目に体育の授業があったのかもしれません。
おやつが楽しみで学校での一日をがんばれたのかもしれません。
考えてみれば、かわいいじゃないか……。
このように、相手の立場に立って内面を分析してみると、必ずそれなりの理由がありそうなことがわかります。
すると、「仕方がなかったのかもしれない。あんなに叱らなくてもよかったかも」と思えるようになります。
自分自身を客観的に見る「メタ認知」の能力をつけよう
記録しながら、こういった分析を続けていると、だんだんキレる前に自分と相手の内面を分析できるようになります。
キレる前に自分の内面がわかるようになると、自分に「キレ注意報」を出せるようになります。
これは、自分自身の状態を客観的に見る「メタ認知」の能力がついたということでもあります。
キレる前に相手の内面を想像できるようになると、相手を許せるようになります。
これが、「思いやり」です。
思いやりとは、相手の内面に思いをやって共感的に理解することなのです。
「仕方がないんだ」とわかることが大事です。
お互いに仕方のない人間同士なのですから、そこから許しが生まれる、というわけです。
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