おかあさんの参考書
子供の叱り方~あなたはこんな叱り方をしていませんか?

子供の叱り方~あなたはこんな叱り方をしていませんか?

親野智可等

親のひどい叱り方を分類してみると……

親のひどい叱り方や暴言を分類すると、いくつかの型に分けられます。

あなたの言葉は、次のどれかに当てはまっていませんか?

否定型

「また○○してないじゃない! ちゃんとやらなきゃダメでしょ」のように、「ない」や「ダメなどの否定語をつかう言い方です。

例えば、「また宿題やってない! どんどんやらなきゃダメでしょ!」「今日のうちに明日の仕度をしなきゃダメでしょ! 何度言ってもできないね」「食べたら歯を磨かなきゃダメでしょ!」などです。

親の中には、こういう言い方が口癖になっていて、朝から晩までこういう言い方しかできなくなっている人もいます。

こういう言い方をされ続けていると、「どうせぼくはダメな子だ」と感じて、自分に自信がなくなります。

すると、何事においても「がんばってみよう」という気持ちになれなくなります。

また、叱ってくる相手は自分を嫌っているのではないかと感じるようになり、素直にやってみようという気がなくなります。

言われ続けると、反発心が高まって「やってやるものか!」という気持ちすら出てくることもあります。

詰問型

例えば、「なんで○○しないの?」「なんで○○するの?」「何回同じことを言わせるの?」「こんなことでどうするつもり?」「いつになったらやる気が出るの?」などです。

これは一応質問する形になっていますが、子どもからの回答を期待しているわけではありません。

その証拠に、「なんで〇〇しないの?」と言われた子どもが、「だって、○○だもん」と答えれば、親の多くは「言い訳するんじゃありません」「なんで言い訳するの!?」とさらにキレてしまいます。

子どもが仕方なく黙っていると、親は「なんで黙ってるの!?」とキレます。

「何回同じことを言わせるの?」に子どもが「5回」と答えたり、「いつになったらやる気が出るの?」に「あと2週間」と答えたりしても、親はキレます。

詰問型には、詰問することで相手を困らせて溜飲を下げようという意図が無意識のうちにあります。

その分、単純な否定型より陰湿と言えるかもしれません。

罰則型

「○○しないと□□だ」と罰で脅す言い方です。

例えば、「片づけないと捨てちゃうぞ」とか「勉強がんばらないと旅行に連れて行かないよ」などです。

罰で脅すと一時的な効果があるように見えるので、つい言ってしまう人がたくさんいます。

でも、罰がイヤでやっているだけなので、本人の成長につながることはありません。

さらに、罰則型の言葉は子どもに真似されやすいという副作用があります。

つまり、子どもも同じような言葉を身につけてしまい、きょうだいや友だちに「○○しないと遊んでやらないよ」などの言い方をするようになる可能性が高いのです。

比較型

例えば、「お姉ちゃんはちゃんとできたのに、なんであんたはできないの?」「○○君はいつも気持ちのいい挨拶をしてくれるよ。あんたも近所の人にしっかり挨拶しなきゃダメだよ」など、きょうだいや他の子と比べる言い方です。

「お母さんが子どものころは、宿題も明日の準備もやってから遊んだよ」などと、自分の子どものころと比べる親もいます。

これは、子どもが一番嫌がる言い方です。

比べて叱られた子は、比べられた相手によい感情を持てなくなり、仲が悪くなる可能性があります。

人格否定型

例えば、「お兄ちゃんのくせにまた妹を泣かして。あんた、意地悪だね」「本当にずるい子だね」「情けない奴だなあ」「お前はウソつきだ」「卑怯な子だね」「お前はいつも口ばっかりだ」「そんなこと、お前にできるはずがない」などです。

これは、その子の人格、性格、能力などを丸ごと否定する言い方です。

こういう言い方は絶対やめてください。

言われた方は深く傷つき、トラウマになって長く引きずる可能性があります。

存在否定型

人格否定と並んで、あるいはそれ以上にひどいのが「存在否定型」の言い方です。

例えば、「お前なんかいない方がよかった」「お前さえいなければ楽なのに」「お前なんかいらない」「子どもは欲しくなかったのに、できちゃったから仕方なく生んだ」「あんたなんか、うちの子じゃありません」「私はあなたが嫌いだから、寄らないで」などです。

これはその子の存在そのものを否定する言い方です。

言われた方は非常に深く傷つき、トラウマになって長く引きずる可能性が高いと言えます。

これも絶対やめてください。

特に、反抗期の子どもが生意気なことを言ってきたときは、人格否定や存在否定の言葉を使わないように気をつけてください。

というのも、子どもの言葉に親がキレて、悔しさと苛立ちのあまりに人格否定や存在否定の言葉をぶつけてしまうことがあるからです。

実際、これをやってしまった結果、反抗期が終わって普通なら親子関係がまたよくなるころになっても、子どもの心が離れたままになってしまったというケースがたくさんあります。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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