医学部に合格するための具体的勉強法

study tips to pass medical school

医学部入試では、とくに単科医科大を中心として、応用レベル・発展レベルの大変な難問がたびたび出題されます。たしかに、一部の最難関校では、このような難問でもある程度までは得点できなければなりません。しかし、そのような例外を除けば、医学部入試では難問の出来で合否が決まることはありません。医学部の受験戦略としては、「難問をとる」ことではなく、「基本問題・標準問題で落とさない」ことが必要なのです。
ここでは、「医学部という進路」「学習計画と学習戦略」「もっと知りたい医学部受験」のカテゴリで述べてきた「総論」からもう一歩踏み込み、「各論」として教科・科目別の対策と、個別対策を超えたより実践的な対策に触れていきます。医学部用の受験勉強に必要なステップである「入試基礎固め」「典型問題演習」「過去問演習」「共通テスト対策」「面接対策」「小論文対策」の具体的な方法論を確認し、日々の受験勉強に落とし込んでください。

【医学部受験用 教科・科目別対策④】数学の勉強法⑴(入試基礎固め)

【医学部受験用 教科・科目別対策④】数学の勉強法⑴(入試基礎固め)

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この記事では、医学部受験数学対策として必要なプロセスである「入試基礎固め」「典型問題演習」「過去問演習」のうち、「入試基礎固め」を取り上げます。

医学部受験用学習計画の大原則

ここで、「入試基礎固め」「典型問題演習」に共通する、数学受験勉強における学習計画の大原則をお伝えします。以下のとおりです。

  • 数学をやりすぎない
  • 「薄く・広く」勉強する
  • 「先取り学習」で早く全範囲を仕上げる

これまでほかの記事で繰り返し述べているとおり、医学部入試における最重要教科は英語です。たしかに、数学は入試で得点差がつきやすい教科ですが、その分、試験本番での出来・不出来の振れ幅が大きく、得点の確実性に欠けます。医学部対策においては、数学の学習に多大なリソースを費やすことは、戦略上あまりにハイリスクなのです。受験勉強では、「数学をやりすぎない」という方針を旨とし、試験本番で大きな波乱が比較的起きにくい英語・理科の対策を重視しましょう。
受験の世界ではしばしば「難問が出やすい単元・分野・項目に絞って深く勉強しなければならない」という言説が聞かれます。ですが、こと医学部の数学入試については、この考え方は当てはまりません。
たしかに、医学部数学の入試問題には取り付く島のない難問がたびたび出ています。しかし、たとえ歴戦の強者ぞろいの医学部受験生であっても、ハイレベルな出題でいつも高得点がとれるわけではありません。難問では必ずしも差はつかないのです。「深く」勉強することよりも「『薄く・広く』勉強する」ことを優先しましょう。
数学で「『薄く・広く』勉強する」必要がある理由は、カバーしなければならない範囲の広さにあります。一部の中堅校では数学Ⅲを課さない場合もありますが、ほとんどの医学部では数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱ・数学B・数学C、そして数学Ⅲまで含んで出題されます。
前述のとおり、医学部受験においては、必ずしも「深く」勉強することは求められません。一方、必要なのは、「早く」勉強すること、すなわち、本来習うべき学年よりも繰り上げて勉強を開始することです。このようなやり方を「先取り学習」といいます。「先取り学習」は、1学年繰り上げて行いましょう。中3生なら数学Ⅰ・A、高1生なら数学Ⅱ・B、高2生なら数学Ⅲが「先取り学習」の対象です。
気をつけなければならないのは、「先取り学習」では単元・分野・項目の取りこぼしを出してはならない、という点です。つまり、1つずつの科目に含まれる全範囲を勉強する必要があります。
受験勉強は、ステップを踏んで進めよう(入試基礎固め/典型問題演習/過去問演習)」の記事で述べたとおり、入試問題の出題範囲をすべてカバーしていくという勉強法は「領域学習」と呼ばれます。「先取り学習」と「領域学習」はワンセットで進めていきましょう。
「領域学習」は、出題頻度にかかわらず進めなければなりません。たとえば、数学Ⅰの「データの分析」は、共通テストでは必ず問われる単元である一方、医学部数学の個別学力検査における出題頻度は低めです。しかし、ここで、「あまり出ていないから、勉強しなくてもいいや」と考えてはなりません。志望校の出題傾向が変わり、入試に「データの分析」から共通テストのレベルを超える問題が出てきたらたちまちお手上げとなってしまいます。特定の単元をやり残したまま試験に突入するという事態は、絶対に避けなければなりません。「領域学習」で全範囲をくまなく勉強し、試験本番に臨みましょう。
また、「先取り学習」と「領域学習」では、いま学んでいる科目だけでなく、それまでに勉強してきた科目の「復習」も織り交ぜてください。たとえば、現在勉強している科目が数学Ⅲであれば、数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱ・数学B・数学Cの「復習」も同時に進める必要があります。
このように、数学の学習計画は、系統的・体系的に構築していく必要があります。複雑で大変ですが、「先取り学習」「領域学習」「復習」をすべて並行して実行しましょう。

「学習の3要素」は「知識」「解法」「計算力」

数学における「入試基礎固め」の段階で身につける必要がある要素は、以下の3つです。

  • 知識:公式・定義・定理
  • 解法:教科書、および教科書傍用(ぼうよう)問題集などの教材に載っているような基本問題に答えるための手順
  • 計算力:計算を速く正確に行う能力

「知識」と「解法」は、重なる部分もあるものの、基本的には別の要素です。「解法」とは、実践レベルまで高められた「知識」をさします。以下は、両者の関係を示した具体例です。

  • 「相加平均」と「相乗平均」の関係を表している公式☞知識
  • 「相加平均」と「相乗平均」の公式を「不等式の証明」に使う手順☞解法

「相加平均」と「相乗平均」の公式を単に「知識」として覚えているだけでは、入試問題は解けません。この公式は、「不等式の証明」のように具体的な問題に適用できてはじめて、つまり「解法」として使いこなせてはじめて、実践の場で役立つ武器となるのです。「知識」と「解法」は、切り離さずワンセットでおさえていきましょう
しかし、たとえいくら「知識」をたくさん覚え、「解法」を身につけて問題に適用できたとしても、最終的に正解までたどり着かなければ点数はつきません。ここでいう「計算力」は、計算問題を「速く」解く能力だけでなく、ミスなく答えを「正確に」導ける能力まで含みます。「入試基礎固め」の段階では、計算の速さだけでなく、正確さも意識していきましょう。
計算の精度を上げるためには、「メジャー公式」だけでなく、「マイナー公式」まで使いこなせるようになることが必要です。例を挙げると、数学Ⅱに出てくる「点と直線の距離の公式」「加法定理」「三角関数の合成公式」などは、教科書での扱いが大きい「メジャー公式」です。一方、同じ数学Ⅱに出てくる公式でも、たとえば「2円の交点を通る図形を求める公式」「三角関数の和と積の公式」「定積分の『6分の1公式』」などは、教科書で大きく取り上げられることが少ないため、「入試基礎固め」の段階ではつい軽視されがちです。しかし、医学部の数学入試によく出てくる「計算過程がやたら煩雑な問題」では、このような「マイナー公式」を知っているかどうかが正答率を大きく左右します。計算力向上に役立つ内容は、何でもどん欲に取り入れていきましょう。

「教科書」「傍用問題集」「計算ドリル」が「三種の神器」

「知識」「解法」「計算力」の習得に努めるべき「入試基礎固め」の段階では、先に出てきた「教科書」「教科書傍用問題集」に加えて、「計算ドリル」を使いましょう。この3点は、いわば、受験勉強初期における「三種の神器」です。
数学における受験勉強の最重要教材は、みなさんが学校の授業で使っている教科書です。受験生の中には「教科書だけでは合格できないのではないか」と不安に思う人がたくさんいます。しかし、そのような心配は以下の理由から不要です。

  • 一部に例外はあるものの、入試問題の多くは教科書内容に配慮してつくられている
  • 一部の難問を除けば、入試問題の多くは教科書の章末問題レベルを超えない
  • 初めて見たときにはどうやって解くのかまったく見当がつかない「初見問題」の解法も、結局は教科書に出てきた内容にほぼすべて帰着する
  • 参考書にはそれぞれの特徴・クセがあるため、くわしく書かれている箇所や飛ばされている箇所があり、「抜け漏れ」が生じやすい。一方、教科書は、基礎的な学習事項をすべて網羅している

「教科書」は、解くためのテキストであるとともに、調べるための辞書でもあります。問題を解いてわからないところがあったら、教科書を辞書として使い、疑問点を解決しましょう。数学の入試対策では、「教科書を」勉強するのみならず、「教科書で」勉強することも必要なのです。
「教科書傍用問題集」の長所は、模試や大学の過去問などに頻出する問題パターンが網羅されている点にあります。その一方、学校専用教材であるため解答冊子が手に入らず、伴走してくれる指導者がいない限り自学自習しづらいという短所もあります。もし「教科書傍用問題集」による独学が難しい場合には、代わりに、学校の教科書に対応する「教科書ガイド」を使ってください。教科書に収録されている問題の解答が載っています。学校の授業の予習・復習用としても有用です。
「計算ドリル」は、文字どおり、計算力の養成に特化した教材です。たとえば「図形」「統計」のように計算力以外の要素が試される問題は収録されていませんが、計算力養成期である「入試基礎固め」の教材としては、これで申し分ありません。
「計算ドリル」としては、「解説はシンプルでよいので、収録問題数が少なくてすぐに終わる教材を使いたい」という人には『ドラゴン桜式 数学力ドリル』[数学Ⅰ・A/数学Ⅱ・B・C/数学Ⅲ](以上、講談社)など、「くわしい解説が載っていて、計算パターンがある程度網羅されている教材を使いたい」という人には『合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B[数列]・C[ベクトル]』(文英堂)などがオススメです。自分の好みで選びましょう。

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