医学部に合格するための具体的勉強法

study tips to pass medical school

医学部入試では、とくに単科医科大を中心として、応用レベル・発展レベルの大変な難問がたびたび出題されます。たしかに、一部の最難関校では、このような難問でもある程度までは得点できなければなりません。しかし、そのような例外を除けば、医学部入試では難問の出来で合否が決まることはありません。医学部の受験戦略としては、「難問をとる」ことではなく、「基本問題・標準問題で落とさない」ことが必要なのです。
ここでは、「医学部という進路」「学習計画と学習戦略」「もっと知りたい医学部受験」のカテゴリで述べてきた「総論」からもう一歩踏み込み、「各論」として教科・科目別の対策と、個別対策を超えたより実践的な対策に触れていきます。医学部用の受験勉強に必要なステップである「入試基礎固め」「典型問題演習」「過去問演習」「共通テスト対策」「面接対策」「小論文対策」の具体的な方法論を確認し、日々の受験勉強に落とし込んでください。

【医学部受験用 教科・科目別対策②】英語の勉強法⑴(入試基礎固め)

【医学部受験用 教科・科目別対策②】英語の勉強法⑴(入試基礎固め)

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この記事では、「入試基礎固め」として取り組むべき「語彙」「英文法」「英文和訳」の学習についてお話しします。

「語彙」の学習について

「医療テーマの英単語が必須」は誤解

「医学部に合格するためには、医療テーマの特殊な英単語をたくさん覚える必要がある」……このように思い込んでいる受験生がたくさんいます。しかし、それは大きな誤解です。医療テーマの専門的な知識が必要とされる問題を出す大学は限られているからです。
医療テーマを好んで出題するのは私立大であり、しかも中堅レベルの学校が中心です。たしかに、このような大学の対策としては、医療テーマのある程度マニアックな英単語を覚え、長文や作文などの出題に備えることが必要です。
一方、国公立大の場合、一部の単科医科大学では医療テーマの出題頻度が高めであるものの、総合大学では低めです。総合大学では医学部以外の他学部との共通問題を作成しなければならず、医療テーマに偏った問題を出せないからです。実際、国公立総合大学の医学部最難関クラスに属する東京大、京都大、大阪大、東京科学大(旧東京医科歯科大)、千葉大、横浜市立大などの英語入試では、医療テーマ以外からも幅広い出題が見られます。
以上のように、医療テーマに絞った英単語の対策は医学部受験生全員が必須である、というわけではありません。少なくとも「入試基礎固め」の段階では、そのような個別対策の優先度は低くてもかまいません。志望校の傾向に合わせたピンポイント学習は「過去問対策」から始めても遅くないのです。それよりも、まずはどの大学の入試問題にも出てくるレベルの一般的な語彙習得を優先しましょう。

語彙は2段階に分けて覚える必要あり

医学部の英語入試を突破するために覚えなければならない英単語数は最低でも約6,000語だといわれています。これだけ膨大な英単語を一気に覚えることはとうてい不可能です。また、受験勉強の序盤である「入試基礎固め」の段階では、無理にまとめて覚えようとする必要もありません。
英単語(英熟語も含む)については、「入試基礎固め」の段階から、基本レベルの語彙だけでなくハイレベルな語彙まで習得しなければなりません。次のステップである「典型問題演習」には、難度の高い英単語・英熟語まで知っていなければ取り組めないからです。つまり、語彙対策としては、基本レベルへの到達ハイレベルへの到達という2段階が必要なのです。
語彙の学習では、複数の英単語集を使用することが必要だと考えてください。入試問題を解くために必要な語彙は、1冊だけではカバーできないからです。基本レベル・ハイレベルそれぞれの語彙習得用に使うべき英単語集の例は、「中学生・高1生・高2生モデルプラン」「高3生モデルプラン(合格逆算ルート)」の記事で具体的に取り上げました。あらためて以下で述べます。
基本レベル用としては、『英単語ターゲット1200』(旺文社)、『システム英単語Basic』(駿台文庫)、『英単語ターゲット1900』(旺文社)あたりが、受験勉強初期段階において知っておくべき語彙が網羅されている点でおススメです。3冊ありますが、見出し語として重複していない英単語がいくつかありますので、できれば3冊分覚えてしまいましょう。
「中学生・高1生・高2生モデルプラン」の記事で述べたとおり、医系英語における到達レベルの基準は「高2時点における英検準1級合格」です。したがって、高2からは『英検準1級 でる順パス単』(旺文社)を加えるとともに、英検準1級対策も進めていってください。
ハイレベル用語彙対策に適する単語集の一つが『鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』(KADOKAWA)です。この本は、難度の高い語彙だけでなく、「メジャー単語の、マイナーだけれどよく出る意味」までカバーしている点に強みがあります。たとえば、disciplineという単語に「しつけ/規律」という意味があることは、医学部を受ける予定の高3生ならほとんどの人が知っているはずです。しかし、この単語集に載っているdisciplineのほかの意味である「学問分野」を知っている受験生は案外少ないのではないでしょうか。「鉄壁」は、このような点までしっかりフォローしています。
高1生・高2生、あるいは中学生は授業の予習・復習だけで手いっぱいであり、入試対策までに頭が回らないかもしれません。しかし、入試用の英単語・英熟語の習得には、高3から着手しても間に合いません。高2までに主要語彙をおさえておかなければ、志望校の過去問はおろか、典型問題を解くことすらままなりません。学校の勉強と並行し、入試対策を計画的に進めていってください。

「英文法」の学習について

語彙(英単語・英熟語)は、「覚えていなければどうしようもない」要素です。未知の語彙を見て日本語の意味を類推するということは、少なくとも受験勉強の初期段階では不可能です。したがって、語彙については、ある程度までは機械的・形式的な暗記が求められます。
一方、ここで取り上げる「英文法」は、単なる暗記だけでは習得できません。たしかに、覚えるべきことはたくさんあります。しかし、それと同様、理解すべきこともたくさんあります。つまり、英文法は、「覚えているだけではどうしようもない」要素を多数含むのです。
みなさんが医系英語対策として取り組まなければならない英文法の要素は、大きく2種類に分けられます。以下のとおりです。

  • 覚えるべき要素:問題を解くための英文法
  • 理解すべき要素:文章を読むための英文法

以下、それぞれにつき説明していきます。

「問題を解くための英文法」の学習では、語彙の使われ方と例文をおさえる

「問題を解くための英文法」は、「語法」とも言い換えられます。「語法」は、「語彙に関する文法」です。この要素の学習は、語彙と同じく、基本的には暗記中心で進めていく必要があります。
「語法」をおさえていく際には、使われ方を意識しましょう。一例を挙げると、入試には、remind「~を思い出させる」という英単語の語法が頻出します。しかし、「~を思い出させる」という日本語の意味をただ覚えても、入試では通用しません。remindがremind+O+that+S+V「OにSがVすることを思い出させる」という形をとること、remindthatSVという形はとらないことなど、ほかの語との組合せが問われるからです。このように、「語法」を勉強する際には、単語自体の意味だけでなく、ほかの語とのセットでどう使われるかという点までつかんでいきましょう。
また、「語法」は、例文とともに覚える必要があります。上で取り上げたremind+O+that+S+Vの形は、これだけ単独で覚えたとしても入試では役立ちません。たとえば、I reminded him that he owed his amazing feat to me.「彼がすばらしい偉業を達成したのは私のおかげだと、彼に思い出させてあげた」などのように、例文の形で生きた表現としておさえていきましょう。
このような、「問題を解くための英文法」は、『英文法・語法 Vintage』(いいずな書店)などで高1までにはひと通り仕上げておき、高2の期間はおもに復習にあててください
千葉大や日本医科大など、大問で単独の文法問題が出る大学を受ける人は、高3に入ってから、文法事項が学習順配列ではなくランダム配列をとっている参考書で実践対策を行いましょう。使用参考書としては、『竹岡の英文法・語法ULTIMATE究極の600題』(Gakken)などが適します。

「文章を読むための英文法」では、「後置修飾」と「省略」に注意

「文章を読むための英文法」は、暗記だけでは通用しません。多くの文章に当たる経験の積み重ねによって理解していかなければならない要素だからです。「文章を読むための英文法」は、「問題を解くための英文法」とは異なり、設問で直接問われることはありません。しかし、もし知らないと、1文の意味をとることすらできません。ましてや、段落(パラグラフ)単位、あるいは文章単位で意味をおさえることなど、とうていできません。
「文章を読むための英文法」にいくつかある重要項目に、「後置修飾」と「省略」があります。「後置修飾」とは、前に置かれた名詞が後ろに続く語句によって説明されている形です。「省略」とは、文章を簡略化するため、文中になくても文意を成立させる語句が省かれている形です。
「後置修飾」で頻出するのは、以下の2パターンです。これらの区別をおさえておきましょう。

「後置修飾」のパターン例

 (  )は、形容詞のかたまりを意味する。

パターン 例文・訳
① 名詞(関係詞+S+V)
 関係詞が省略される場合もある。
(SがVする)名詞  The man (I met the day before yesterday) was very smart.
(私がおととい会った)男性はとても賢明だった」
 このでは、関係詞が省略されている。
② 名詞(同格のthat+S+V) (SがVするという)名詞  He may miss the possibility (that he will pass the university entrance examination).
「彼は、(その大学入試に合格する)可能性を逃すかもしれない」

「省略」で頻出するのは、andやorによって前後に並べられたS(主語)とV(動詞)を含む語句の「かたまり」(=節)のうち、後ろの節に含まれる動詞が省略されるパターンです。
一例を挙げると、たとえば、She majors in French and he Germany.「彼女はフランス語を専攻していて、彼はドイツ語を専攻している」という文では、andの後ろの節は、本来であればhe majors in Germanyという形をとります。しかし、majors inという動詞がなくても文意は伝わるため、ここでは省略されているのです。もちろん、実際の入試にこんな易しい英文は出てきませんが、使うルールは、文の難度によらずいつも同じです。「文章を読むための英文法」として汎用性の高い考え方を習得していきましょう。
「文章を読むための英文法」の対策には、「調べるための本」と「演習のための本」を用意してください。前者としては『総合英語Evergreen』(いいずな書店)、後者としては『音声ダウンロード付 大学入試 肘井学の 読解のための英文法が面白いほどわかる本[必修編]』(KADOKAWA)などが適します。
「文章を読むための英文法」の理解には、たくさんの文章に触れる経験が必要です。そのため、「問題を解くための英文法」とは異なり高1までに終わらせることは困難です。高2に入ってからも学習を継続してください。ただし、高3まで引きずらないよう、一定のペースで進めていきましょう。

英文法習得の近道は「音読」

現在、多くの指導者によって推奨されている「音読」は、英文法の学習についてもきわめて有益です。文法の勉強に「音読」を取り入れると、英文が「かたまり」ごとに読めるようになっていくからです。
英文は、複数の「かたまり」から成り立っています。先ほど取り上げた「節」は、SとVという文要素を含む「かたまり」です。一方、SとVという文要素を含まない「かたまり」もあり、それは「句」と呼ばれます。「音読」すると、目からだけでなく耳からも英文の情報が入ってきます。その結果、黙読時よりも、英文中に含まれる「句」と「節」が強く意識されるのです。
「音読」の活用によって、頭で理解した内容を体にも染み込ませていってください。

「英文和訳」の学習について

正しい和訳は「構文」の把握から

医学部英語入試の華である「英語長文」において、長文全体の意味をつかむ大前提となるのは1文ずつの意味の把握です。
1文ずつの意味を正確につかむためには、「語彙」「文法」の知識にもとづいて、文要素、つまり「構文」を分析する作業が必要です。文要素には、ここまでに出てきたS(主語)とV(動詞)だけでなく、O(目的語)とC(補語)もあります。また、文要素に含まれないパーツはM(修飾語)として扱われます。
このような文要素と1対1に呼応していない「英文和訳」は0点です。「構文」分析のトレーニングを積み重ね、正しく訳出できるようになっていきましょう。

入試には「似た形の異なる構文」の識別が頻出する

古文の学習では「紛らわしい語」の識別が必須であるように、「英文和訳」の学習でも「紛らわしい構文」の識別が欠かせません。
たとえば、「形が似ている違う構文」として頻出するのは、「It is+名詞+that ~ .」の形をとる文の識別です。この形の文は、that ~(=that節)の文要素の違いによって「形式主語構文」「強調構文」などに分けることができます。識別法をおさえておきましょう。

「It is+名詞+that ~ .」の識別法

パターン ポイント 例文・訳
① It is+名詞+that完全な文.
☞形式主語構文
  • 「形式主語構文」とは、Itが形式主語、that節が真主語となっている文。
  • 「完全な文」とは、文要素が欠けていない文。
 It is a shame that he failed the entrance exam.
「彼が入試に落ちてしまったのは残念だ」
② It is+名詞+that不完全な文.
☞強調構文
  • 「不完全な文」とは、文要素が欠けている文。
 It is Kazuya that should be criticized about that matter.
「あの件に関して批判されるべきなのはカズヤだ」
③ It is+名詞+that節.
☞①・②のどちらにも当てはまらない文
  • Itは前にある名詞を受けている。
  • thatは関係代名詞として働いている。
 It is a great reference book that leads you to passing.
「それは、あなたを合格に導くすばらしい参考書だ」
 この例では、thatが主格の関係代名詞として働いている。

「構文」対策用の参考書としては、『リンケージ英語構文100』(旺文社)などが適します。英語構文の主要パターンをおさえていくことによって、「典型問題演習」から始まる「英語長文」対策の足場を着実に固めていきましょう。

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