学習計画と学習戦略

study plans and learning strategies

ここでのテーマは、「学習計画」と「学習戦略」です。「学習計画」とは、いつまで・どこまで・どれくらい勉強すればよいかを示す指針です。一方、「学習戦略」とは、どのような方法で勉強すればよいか、あるいは学習計画どおりに勉強が進まなかった場合にどう立て直せばよいのかを示す指針です。勉強の方向性を決定づける大切な2つの考え方を身につけていきましょう。

【医学部受験に関する「学習計画」の立て方と進め方②】中学生・高1生・高2生モデルプラン

【医学部受験に関する「学習計画」の立て方と進め方②】中学生・高1生・高2生モデルプラン

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中学生モデルプラン①:英語・数学は、「先取り学習」で進めていこう

以下、中高一貫校に通う、高校受験が不要な中学生を対象とした医学部受験勉強の進め方をお伝えします。
中学生のみなさん向けに医学部受験について「そもそも」のところから話しますと、医学部の個別学力検査で課される教科として一般的なのは、英語・数学・理科の3教科です。このうち、理科の場合には、物理・化学・生物から2科目を選んで受験するというパターンが主流です。また、2次試験である個別学力検査の前には、1次試験である共通テストが実施されます。国公立大では共通テストが必須で、個別試験教科である英語・数学・理科以外に、国語・地歴公民・情報まで受験しなければなりません。
中学生にとっても、また高校生にとっても、医学部入試における最重要教科は英語です。英語は、他教科以上に勉強すべき内容が多く勉強時間も長くかかるだけでなく、どの大学でも配点が高いからです。
英語の次に重要な教科は数学です。数学は、入試における得点差が開きやすいからです。
医学部受験を志す中学生は、中学範囲を完璧におさえたうえで、英語・数学の高校範囲の一部まで踏み込んで勉強しましょう。このように、本来習うべき時期よりも繰り下げ、全範囲を「薄く・広く」勉強することを「先取り学習」といいます。これは、先ほど述べた「対策の早期化」という方針に沿う、きわめて合理性が高い方法です。「先取り学習」には、受験学年におけるアウトプットの時間が長く確保できるというメリットがあるからです。
先取り学習には、難しい本や、ページ数が多い本を使う必要はありません。英語の場合には、高校生向けの参考書・問題集のうち、易しい本を選んでください。数学の場合には、もし入手可能であれば数学Ⅰ・Aの検定教科書、教科書傍用問題集、薄くて短期間で終わる計算ドリルなどを使いましょう。これらの本で「入試基礎固め」は十分可能です。

中学生使用参考書例

英語 先取り学習
  • 『英単語ターゲット1200』(旺文社)
  • 『大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション1 スタンダードレベル』(かんき出版)
数学 先取り学習
  • 『ドラゴン桜式 数学力ドリル 数学Ⅰ・A』(講談社)

中学生モデルプラン②:英語学習は、英検合格をペースメーカーにしよう

医学部入試における最重要教科である英語の「先取り学習」では、勉強のペースメーカーとして、英検合格を目標としてください。具体的には、中3・7月の英検準2級合格、中3・3月の英検2級合格をめざしましょう。
医学部の英語入試で求められる英語力の基準は、英検準1級合格レベルです。中学生の段階で英検2級までとれたら、高2夏までの英検準1級合格をめざしましょう。
前に述べたとおり、近年、臨床の現場では、英語をコミュニケーションのツールとして使いこなせる力が重視されています。実際、最近は、日本国内の医療現場であっても、医師どうしが英語で会話したり、カルテが英語で書かれたりするケースが増えています。そのため、多くの大学が、英語の入試問題を、英語のコミュニケーション力を測るための最もメジャーな指標である英検の出題に近づけています。つまり、英検対策は大学入試対策も兼ねるのです。

高1生モデルプラン①:英語の勉強では「音読」を習慣化する

高1における英語学習のポイントは、先ほど述べた「入試基礎」の1つ目の要素である「知識」の習得にあります。
英語における「知識」は「語彙」と「文法」です。「語彙」、つまり英単語と英熟語を覚えるための単語集は、受験用ではなく、基本用の本でかまいません。高2以降に出てくる語彙を覚えるためには受験用の本が必要だからです。
一方、「文法」は、高1の段階から受験用の本を使っていきましょう。「文法」学習では、「覚えるための本」と「調べるための本」の両方が必要です。
語彙と文法は、「音読」を通じて習得していきましょう。単語集・参考書・問題集に載っている例文や教科書の英文を、声に出して読み上げるだけで十分です。「音読」には、英文を読むスピードを上げるという効果があります。英文を目で追うだけでなく口も耳も使うため、多くの分量が読み込めるようになるからです。
「音読」に慣れてきたら「読解」用の初歩的な参考書・問題集を使い、語彙と文法が身についているかどうかを確認してください。英語の「読解」には、大きく「英語長文」(長い文章の読み取り)「英文解釈」(英文和訳)の2通りがあります。前者と後者ではそれぞれ別の本を用意してください。
前に説明したとおり、医学部受験における最重要教科は英語です。高1の段階から得意にしておきましょう。たとえ数学や理科が好きで得意であっても、学習は英語メインで進めてください。

高1生モデルプラン②:数学Ⅱ・B・Cに手をつける

中高一貫校の高1生であれば、先ほど述べたように、中学生の段階で数学Ⅰ・Aの「先取り学習」に入っているはずです。一方、高校から入ってきた高1生は、入学後からはじめて数学Ⅰ・Aを習うこととなります。しかし、高校で数学Ⅰ・Aを習い始める高1生であっても中高一貫校の高1生であっても、前述の「対策の早期化」という方針にもとづき、高1の途中から数学Ⅱ・B・Cの「先取り学習」に進んでください
これも先ほど述べたことですが、医学部受験の勉強においては、「基礎の徹底」が重要です。高1は「入試基礎固め」として「知識」「解法」を習得する時期ですから、数学Ⅱ・B・Cの先取り学習に難しい参考書・問題集を使う必要はありません。数学Ⅰ・Aの先取り学習と同じく、使うのは検定教科書・教科書傍用問題集・計算ドリルです。先取り学習では、難しい問題を解くことではなく、教科書レベルの「知識」「解法」の「抜け漏れ」をふさぐことに注力してください。
先ほど、数学における入試基礎の知識・解法以外の要素として「計算力」があるといいました。この「計算力」は、数学だけでなく理科でも不可欠です。計算力としては、「正確さ」だけでなく「スピード」も求められます。この2点を意識し、毎日20~30分程度の計算トレーニングをルーティンとして自分に課していきましょう。高2以降の勉強で絶大な効果を発揮します。

高1生モデルプラン③:理科を1つ仕上げる

ここまでお話ししたように、理科の「やり残し」は命取りとなりかねません。そこで、高1で理科を1つ仕上げてください。一般的には、化学が選ばれるケースが多いようです。
英語・数学の「先取り学習」との同時進行で大変ではありますが、1年間で基礎科目(2単位)と発展科目(4単位)の両方を終わらせてください。高1で順調なスタートダッシュを切ることができれば、現役合格の可能性は格段に上がります。
使う参考書・問題集は、英語・数学と同様、易しい本、ページ数が少ない本でかまいません。ただし、とくに視覚的な理解が必要な化学と生物の勉強では、資料集も活用しましょう。じっくり時間をかけて勉強するよりも、全範囲を短期間でカバーするという方針で学習を進めてください。
なお、上に挙げた参考書・問題集以外に、「調べるための本」も用意しておくと万全です。

高1生使用参考書例

英語 語彙
  • 『システム英単語Basic』(駿台文庫)
文法(覚えるための本)
  • 『英文法・語法 Vintage』(いいずな書店)
文法(調べるための本)
  • 『総合英語Evergreen』(いいずな書店)
読解(英語長文)
  • 『関正生のThe Rules 英語長文問題集 2入試標準』(旺文社)
読解(英文解釈)
  • 『リンケージ英語構文100』(旺文社)
数学 先取り学習
  • 『ドラゴン桜式 数学力ドリル 数学Ⅱ・B・C』(講談社)
物理 先取り学習
  • 『物理のエッセンス』「力学・波動/熱・電磁気・原子」(以上、河合出版)
調べるための本
  • 『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学]が面白いほどわかる本』『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[電磁気]が面白いほどわかる本』『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[波動・原子]が面白いほどわかる本』(以上、KADOKAWA)
化学 先取り学習
  • 『リードLight』「化学基礎/化学」(以上、数研出版)
資料集
  • 『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)
調べるための本
  • 『理系大学受験 化学の新研究』(三省堂)
生物 先取り学習
  • 『リードLight』「生物基礎/生物」(以上、数研出版)
資料集
  • 『フォトサイエンス生物図録』(数研出版)
調べるための本
  • 『生物合格77講【完全版】』(ナガセ)

高2生モデルプラン①:めざせ、英検準1級合格!

先ほど述べたとおり、英検対策は大学入試対策も兼ねます。高2の夏までに英検準1級に合格するという目標を立ててください。
高2における「語彙」の学習では、高1で使った基本用の単語集以外に、受験用の単語集を追加してください。
高2における「読解」の学習では、「英語長文」「英文解釈」とも、高1以上に高い負荷をかける必要があります。高1で使った本以外の参考書・問題集を追加してください。
すべての単元・分野を履修し終えないと「過去問演習」に入れない数学・理科とは異なり、特定の単元・分野に分かれていない英語は、高3の新学期開始期から過去問に手をつけることが可能です。その土台を高2のうちに築く必要があります。したがって、高2から実践対策を見据え、英作文対策用の参考書に取り組みましょう。なお、英作文には「和文英訳」と「自由英作文」がありますので、志望校の過去問で試される出題形式に合わせて購入してください。

高2生モデルプラン②:数学Ⅲをがんばって進める

数学Ⅱ・B・Cの「先取り学習」を高1で終えたら、高2では数学Ⅲの「先取り学習」に入ってください。数学Ⅲは内容が多いため高2のうちに勉強が終わらない可能性はあるものの、極力、高3のゴールデンウィークを数学Ⅲの「先取り学習」のデッドラインとしてください
これまで述べたことの繰り返しとなりますが、数学Ⅲの先取り学習で使用する本は、易しい本およびページ数が少ない参考書・問題集です。
ここで留意してほしいことがあります。それは、数学Ⅲの先取り学習だけに集中してしまうと、数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・B・Cの知識・解法が頭から抜けてしまう、ということです。そのような「入試基礎固め」の穴を埋めるため、数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・B・Cの先取り学習で使った本を定期的に復習してください
また、入試基礎固めとあわせて「典型問題」の演習も行いましょう。先取り学習用とは別の参考書・問題集を使ってください。

高2生モデルプラン③:2つ目の理科を仕上げる

高2では、高1で選んだ基礎科目・発展科目以外の理科を選んで「先取り学習」を進めましょう。数学Ⅲの「先取り学習」と同様、高2のうちに勉強が終わらなかった場合でも、デッドラインは高3のゴールデンウィークに定めてください。使うのは、先述の「高1生使用参考書例」の中の、高2で選ぶ理科の科目用の本です。
先ほど言ったとおり、理科の「やり残し」は医学部合格における致命傷となりかねません。高2のうちに理科を2つ仕上げておきましょう。

高2生使用参考書例

英語 語彙
  • 『英単語ターゲット1900』(旺文社)
読解(英語長文)
  • 『関正生のThe Rules 英語長文問題集 3入試難関』(旺文社)
読解(英文解釈)
  • 『徹底攻略 基礎英文解釈の技術100』(桐原書店)
英作文(和文英訳)
  • 『英作文基本300選』(駿台文庫)
英作文(自由英作文)
  • 『大学入試英作文ハイパートレーニング 自由英作文編』(桐原書店)
数学 先取り学習
  • 『ドラゴン桜式 数学力ドリル 数学Ⅱ・B・C』(講談社)
典型問題演習
  • 『入試数学の基礎徹底』(東京出版)
物理・化学・生物 —— 「高1生使用参考書例」の中の、高2で選ぶ理科の科目用の本

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