


過保護・過干渉が子どもに与えるリスクを考える
ONETES株式会社(旧:株式会社首都圏中学模試センター)の集計によると、今年の首都圏の中学受験者数は5万2050人(前年比99.5%)で、4年連続で5万2000人を超え、過去40年で4番目の受験者数の多さとなっています。受験率も18.6%と過去3番目の高さとなっており、中学受験人気は続いています。
こういう現状ですので、メディアでも盛んに取り上げられるトピックになるということも加わり、まだ小さなお子さんをお持ちのご家庭であっても「低学年のうちから入塾しなければ間に合わない」といった焦りにも似たお気持ちでいる方も少なくありません。
また、教育熱が高い地域にお住まいの場合は、中学受験をすることはむしろ普通なので、周りに合わせて何となくそのレールに乗ってしまうというケースも見受けられます。中学受験が親側から見た子育ての「安心・安全」のルートとして捉えられている側面もあるのでしょう。
中学受験はよく「親子の受験」と評されます。高校受験や大学受験とは違い、まだまだ小さな小学生の受験なので、親のサポートが欠かせないという意味で使われる言葉です。
実際にやるとなると、お金もかかる、時間もかかる、宿題の管理やスケジュールの差配なども含め、親の負担は増すばかりなのですが、ほぼすべての親御さんが「わが子のため!」と頑張り抜くのも事実です。
もちろん、親子で頑張るという経験は中学受験の醍醐味のひとつでもあるので、子育ての中でも大きな出来事になるのは間違いありません。
「中学受験をして良かった」「親子で頑張ってきた経験は宝物」とおっしゃるご家庭は本当に多く存在します。
このように良い面も沢山あるのが中学受験ですが、一方でこの「親子の受験」という言葉の裏には大きなリスクが隠れていることも理解しておくほうが良いかと思われます。
親が「コーチ」ではなく、「プレイヤー」になっていないか?
「親子の受験」のリスクとは、親が「子どもの自走力へのストッパーと化す」こと。つまり「サポートをし過ぎること」=過保護・過干渉によって、子どもが子ども自身で生きていく力を削いでしまう可能性が隠れているのです。
子どもは小学校高学年にもなれば、中学受験をする・しないに限らず、親の口出しを嫌がる傾向が出てきます。
しかし、親から見ればまだまだ子ども。危なっかしいことこの上ない存在です。
それゆえ、ついつい口を出す毎日になりやすいです。素直に聞いて改善できる子は稀ですので、親子バトルに発展するのは「あるある」です。
ましてや中学受験は合格か不合格の2択の中での戦いですから、親は「失敗はさせられない」「このままでは受からずに子どもの人生がダメになる」などというネガティブな発想に囚われやすく、心配と不安のあまり「子のやる気のなさ」を責める言動をしがちになるのです。
もちろん、受験時代は、特に高学年になると、どうしても暮らし自体が受験勉強中心になりますし、親はお子さんのタイムスケジュールを監督しなければならない立場になるので、口うるさくなったり、指示・命令を繰り返すことも多くなるのは否めないところです。
極論すれば、どの親であってもそうなります。しかも、そのほとんどが「良かれと思って」出る言動です。
そういうものではあるのですが、問題はその塩梅です。何事もバランスですので、「過ぎたるはなお、及ばざるがごとし」。中学受験であってもちょうど良い加減が大事で、度を越してしまうと逆効果になります。
中学受験に舵を切る親御さんは、非常に真面目で愛情豊かな方が多いです。「子どものために」と思えば頑張り抜けるポテンシャルをお持ちです。
これ自体はとても素晴らしい能力であるのですが、往々にして「子どもの合格のためには自分が頑張らねば!」と、親御さん自身が「合格」の2文字に強く縛られてしまう傾向があるのです。
そうなると、時に、目の前にいるわが子を通り越して、中学受験成功のためには「〇〇をさせなければ」あるいは「〇〇をやめさせなければ」という意識が強くなり、それを子どもに強いてしまいがち。これが逆に子どものやる気を削ぎ、自主性を奪う原因になりやすいので注意が必要です。
私は拙書の中で「中学受験は親のポケモン代理戦争」と称したことがありますが、「親子の受験」という言葉を重く受け止め過ぎて、親が「コーチ」ではなく「プレイヤー」になっていないかを、時々はご自分に問いかけてみてください。
親の熱心過ぎる指導や指示は、過保護・過干渉に当たり、たとえ合格を勝ち得たとしても、その後に失速していきやすいので注意が必要です。
「口出しポイント」が生じた場合こそ一旦、冷静に
中学受験で親の過保護・過干渉が「毒」になってしまう学習面でのリスクは主に下記3つです。
①指示待ち学習の定着
親が「ここはこう解く」と先走って教える、「次はこれをやる」などと指示ばかりしていると、子どもは自分で考えることを放棄します。
基礎学習のうちはどうにか対処できたとしても、応用問題や初見の問題には対応できなくなるので、成績が伸び悩む一因になります。
②精神的プレッシャーで潰れていく
親の期待値が高過ぎたり、管理が厳し過ぎると、子どもは親をガッカリさせたくない、あるいは「怒られたくない」という一心で答えを写す、カンニングする、やったふりをするなどでその場を逃れようとしやすいです。
自分で理解して正答にたどり着くという「快感」からドンドンと遠ざかるので、勉強の目的が「親の機嫌を損ねない」にすり替わることになりかねません。
③入学後に燃え尽き症候群に陥る
親の牽引力だけで合格を勝ち取った場合、入学後に「自分は何のために勉強するのか」を見失いやすいので、成績が低迷してしまったり、将来の目標を見出せなくなったりするケースは思うよりも多いです。
それでは、過保護・過干渉気味になっている親のチェック項目を5つ挙げてみましょう。
□ 「順位」や「偏差値」で子どもを評価し、その多くが減点法
□ 子どもの話を遮る
□ 子どものスケジュールを分刻みで決めている
□ わが子を塾の子や兄弟・親戚と比べて、それを子どもに言う
□ 子どもが解く前にヒントを出したり、間違えると「前に習った単元だ」などと指摘したりする
中学受験は子どもが自分自身の力で、自分の人生を力強く生き抜くことができるようにする「自走」の種まきです。
子どもは子どもの人生を生きるのであって、親が子どもの人生を乗っ取ってはいけません。そのためには親は「プレイヤー」ではなく、やる気を引き出す「コーチ」になる必要があります。
とても難しいミッションにはなるのですが、まずはテストでのケアレスミス、宿題の未提出などの「口出しポイント」が生じた場合こそ一旦、冷静になりましょう。
「コーチ」として、どのように振舞うべきなのかを考えてから言葉にしたほうが、結局は子どもの「やる気」を育てるからです。
勉強の内容を教えるよりも、「今日は何から始める予定?」と本人の意思を問う声掛けを優先する。ケアレスミスであれば「これがなければ偏差値が3は上がった。どうすれば防げるのか?」ということを本人に考えてもらう。宿題の未提出であれば、怒るよりも出せなかった理由を一緒に考えるなど、過去を責めるのではなく、未来志向の声掛けのほうが、効果が出ます。
中学受験の本当の目的は「合格」ではなく、その後に続く人生を自分の足で歩む力をつけること。中学受験を終えた時に、わが子に「合格はあなたが自分で頑張ったから」と心の底から言えるように、過保護・過干渉の自覚がある親御さんは、今よりも少し「手」を放し、けれども「目」は離さないという勇気を持ちましょう。
その勇気が親子二人三脚の中学受験をうまく走らせる潤滑油になっていくでしょう。
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