


児童期・青年期は女子の方が男子より優秀! その理由とは?
現在、学業において世界中で男子より女子の方が優勢です。例えば、大学の学位取得率で女子の方が優勢です。高校の成績でも女子が圧倒していて、成績優秀者の上位2/3が女子で下位2/3が男子です。
中学3年生(15才)時点で理科は女子がやや優勢。数学でも女子が優勢。言語能力や読解力では大差をつけて女子が優勢です。
小学生でも女子が優勢です。特に言語能力や読解力では女子が圧倒的に優勢です。
こうしたことについて、世界中の学校や塾の先生たちは以前から何となく気づいていました。それが、アメリカのブルッキングス研究所のリチャード・リーブス博士の著書『OF BOYS AND MEN』で明確に指摘されてから、大きな問題であることがはっきりしました。
前頭前野の成熟において男子は女子に比べて1〜2年遅い
今まで男子はいろいろな意味で下駄を履かせてもらっていました。息子は大学に行かせるけど娘は行かせない。行かせても短大にさせる。息子は都会の大学に行かせるけど娘は県外の大学には行かせない。
2018年には、大学医学部の入試で女子が不利に扱われるという不正まで発覚しました。以前は、こうしたことが高校入試でも普通によくあったのです。
でも、そうしたことは「あるよね」で済まされることではなく、差別であり不正であると認識されるようになりました。そうした差別がなくなって(まだ完全にではありませんが)、公平に比べたら児童期と青年期においては女子の方が成績優秀であることがわかったのです。
その理由は脳の成長の仕方に男女差があるからです。もちろん個人差も大きいのですが、平均してみたとき、脳の前頭前野の成熟において男子は女子に比べて1〜2年遅れをとることがわかりました。つまり、男子の多くは晩熟型の脳を搭載しているのです。
私の経験でいえば、男子の8割と女子の2割は晩熟型の脳で、女子の8割と男子の2割が早熟型の脳です。
成人済みの男女では脳に違いはない
前頭前野が司るのが実行機能(非認知能力の1つ)です。実行機能とは自分の気持ちや行動をコントロールする力です。平たく言えば自制心です。
実行機能(自制心)が成熟していれば次のことができます。
- 勉強や宿題をやりたくないけどやる
- 生活習慣的なことでも、やらなければならないことはやる
- 期限までに課題を提出する
- サボりたい気持ちを抑えて努力する
- 定期テストに向けて計画的にコツコツ勉強する
実行機能が未成熟だと次のようになります。
- 口では「勉強がんばる」「練習がんばる」と言いながら、いざとなるとやらない
- 自分がやりたいことはやるが、やりたくないことはやらない
- 生活習慣で面倒なことはやらない
- 衝動や欲求を抑えられずにやってしまう
これらのことができないのは、その子がダメな子なのではなく、その子が搭載している脳というハードウェアがまだ成長過程であって、自己コントロールという高度な処理に対応できる状態になっていないということにすぎません。
もう一つ重要なのは、晩熟型の脳の子は能力がないわけではなく、成熟するのが遅いというだけだと理解しておくことです。やがてちゃんと成熟するので安心してください。
実際に、研究でも、成人済みの男女では脳に違いはないことがわかっています。
「やることをやらない」晩熟型の脳の子を叱るのはやめよう
こうしたことを親や先生が理解しておくことが必要です。それでないと、晩熟型の脳の子(男子の8割と女子の2割)を不必要に叱ってしまいます。その結果、親子関係や先生との人間関係が悪くなってしまいます。
同時に、「自分はダメな子だ」という思いがすり込まれて、自己肯定感が下がってしまいます。これだとよけいにがんばりにくくなります。
研究者のリチャード・リーブス博士は、こうした諸問題を個人の問題としてではなく、システムの問題として捉えるべきだとして次のような提言をしています。
- 1.男子の就学を1年遅らせる(アメリカの一部では既に実施)
- 2.男性教員を増やして、男子がよいロールモデルが持てるようにする
- 3.男子を女子の基準で評価しないで個々の困難に配慮する
- 4.ゼロサム思考(どちらか一方だけ支援する考え)を避け男女両方に必要な支援をする
1は日本においてすぐに実現するのは難しそうですが、2・3・4などは可能だと思います。すぐにできるのは3と4だと思います。
これは私がいつも言っていることですが、子どもの苦手なことやできないことを叱るのではなく、少しでもやりやすいようにハードルを下げる工夫をしたり、やる気が出るような言葉がけを工夫したりなどが大事です。
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