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STEM(ステム)教育とSTEAM(スティーム)教育の違いは非常に大きい

STEM(ステム)教育とSTEAM(スティーム)教育の違いは非常に大きい

親野智可等

最近、非常に注目されているのが「STEAM(スティーム)教育」です。以前から「STEM(ステム)教育」というモデルがあったので、違いを意識しないまま使っている人が多いと思いますが、その違いは非常に重要です。

まずSTEM教育ですが、Science・Technology・Engineering・Mathematicsの4分野(科学・技術・工学・数学)を重視した理系中心の教育です。 目指すのは、ICT社会・AI時代・ロボット時代に活躍できる人材の育成です。

そのためには理系分野を重視し、客観的な事実にもとづく論理的な思考で問題解決する力(プログラミング的思考など)を養うことが大事だ、ということで出てきた教育モデルです。

STEMにAを付け加えたのがSTEAMです。AはArtsの略で、芸術・教養・文学・歴史・文化・法律・経済・心理学・倫理・哲学などが含まれる幅広いものです。

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STEM教育はHowの力、STEAM教育は What やWhyの力を育てる

なぜAが付け加えられたかというと、STEM教育だけでは不十分だという認識が世界的に広まってきたからです。

例えば物作りにしても、STEM教育を充実させればより便利で高性能のものをはやく作る理系の力を育てることはできます。

でも、実はそれだけでは不十分で、そもそも「何を作るべきか」「なぜ作るべきか」「作る意義があるのか」「人間を幸せにするのか」を考える力が必要なのです。そして、それを育てるのがAの部分です。

言い換えるとSTEM教育はHowの力、STEAM教育は What やWhyの力を育てるといってもいいでしょう。

芸術・教養・文学・歴史・文化・法律・経済・心理学・倫理・哲学の部分を深めることなく、理系の力だけを伸ばしても、作った物が人間の役に立たないかもしれません。それどころか不幸をもたらすかもしれません。

また、個人的なレベルにおいても、決められた正解を導き出すHowの力だけだと、急速に進歩するAIにいずれ代替されてしまう可能性があります。

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理系の研究者や技術者もAの豊かさが必要になる

Aの部分が必要だと認識されるようになったもう一つの理由は、社会課題が理系の力だけでは解決できないほど複雑化していることです。

環境問題、気候変動、国際関係、都市計画、貧困、差別、医療、教育、福祉など、現代の課題はどれをとっても複雑であり多方面から考える必要があります。

医療ひとつとっても、技術をどんどん進化させて病気やけがを何でも治せるようにして、人間の寿命をひたすら伸ばせばいいという単純なものではありません。

死ぬ権利をどうするか、生きがいをどうするか、医療資源の配分をどうするかなどの問題も切実です。そういう問題はSTEM教育で理系の力だけ伸ばしても解決できません。

今後はたとえ理系に進むにしても、そのどんな分野でもAの部分抜きには考えられなくなります。研究者や技術者になるにしても、専門分野を深めれば深めるほどAの部分の豊かさが重要になってきます。

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Aの部分「豊かな教養」は一朝一夕で身につくものではない

西洋の教育にはもともとリベラルアーツという概念があります。これは古代ギリシア・ローマの「自由7科」にルーツを持ち、自由な人間を育てるための広範な教養教育です。まさにAの部分を育てる教育であり、近年のその重要性が改めて再認識されているそうです。

このAの部分は一朝一夕で豊かになるものではありません。子ども時代からじっくり時間をかけて育てていく必要があります。そういうわけで日本でも注目度が上がっているのです。

と、ここまで書いてきて思い出すのが古文漢文不要論です。その主な意見は次のようなものです。

  • 大人として仕事や生活をしている中で古文漢文は役立っていない
  • 学校の授業や入試において古文漢文はもういらないのではないか?
  • 学校で学ぶとしても、もう少し時間を減らしてもいいのではないか?
  • その時間を数学や理科、英語、プログラミング、ICTやAIのリテラシー、金融リテラシーなどに割いたほうがいいのではないか?
  • 同じ国語でも現代文の読解力やプレゼンのリテラシーを高める時間に割いたほうがいいのではないか?

こういう意見は以前からあり、ときどきネット上でも熱心な議論がなされます。実際、今の時代、学ぶべきことがたくさんあり、あまり役だっていなさそうな古文漢文の時間を、そういうものに振り分けた方がいいという意見には一定の説得力があります。

とはいえ、ここまで見てきたようなAの部分の重要性を考えると、古文漢文が日本人のAの部分に多大な貢献をしてきたことも考慮する必要があり、難しい問題だと感じます。

古文漢文は日本人の文化的ルーツであり、先人が築きあげてきた情報・知識・知恵の宝庫です。そこに直接アクセスするために役立つのが古文漢文の力です。学校で学ばなくなったら、そうした宝庫に繋がりにくくなるのは目に見えています。

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著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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