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MARCHの附属校に行くメリット・デメリットを考える

MARCHの附属校に行くメリット・デメリットを考える

鳥居りんこ

先日、とある模試会場で講演をしておりました際に、保護者の方から以下のようなご相談を受けました。

「MARCHの附属校に行ける実力ならば、入学しておいたほうがいいでしょうか?」

実はこのご質問、最近、増えている印象があります。「大学附属かそれ以外か」で悩むのではなく、「早慶・MARCH以上の附属校か、大学附属ではない難関校か」という選択で悩まれるご家庭が少なくないのです。

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MARCH附属校が人気を集める背景

以前であれば、わが子を附属校に入れたいというご家庭は「大学受験のプレッシャーを感じずに、部活や留学・趣味などに打ち込み、6年間を伸び伸びと有意義に過ごさせたい」という理由で志望されており、受験スケジュールも大学附属校を軸にすることが多かったのです。

ところが、近年は定員厳格化による難関私大入試の難化、それに伴う一般入試枠の減少という大学側の事情が強く影響しているようで、中学受験の段階で最終学歴を確保しておきたいという層が以前よりも増えている傾向があるように感じます。

大学側も中高一貫校側も、それを見越したがごとくに高大連携に力を入れているのですが、附属校(大学附属校・系属校・系列校)化する学校も増えています。

近年、MARCHで附属校化した例でいえば、中央大学附属横浜(2013年)、青山学院横浜英和(2016年)、青山学院大学系属・浦和ルーテル学院(2019年)があり、いずれも大人気校になっていますが、2026年度の首都圏中学入試では、何と言っても明治大学附属世田谷が大きな話題になりました。日本学園中学校・高等学校が明治大学の系列校となり共学化、校名を明治大学附属世田谷中学校・高等学校に変更したのです。

日本学園は伝統ある男子校でしたが、2023年度中学入学生から附属校推薦入試で明治大学への入学が可能になったことから、この正式発表を受けた段階で入試難易度は大幅に上がっており、今後もこの傾向は続いていくと予想されています(2022年度偏差値40、2023年度偏差値60、2026年度偏差値68/ONETES株式会社のデータより)。

このように、MARCHの附属校は「大学受験の負担軽減という安心感」の上に「最低でもMARCHにはしっかりとつながっておきたい」という保護者の思いを満たす進学先であるのは間違いないでしょう。

この「最低でもMARCH」という言い方ですが、以前から保護者はもとより中高一貫校側からもよく発せられていました。
大学進学先として「早慶は無理でもMARCHのどこかには入ってもらいたい」という意味になるかと思いますが、MARCHというくくりはとても興味深いもので、一昔前までは中高一貫校の中堅校が「MARCH100」(=「本校はMARCHに最低でも100名合格させます」)というような具体的な数値が入った教育目標を掲げていたものでした。

もちろん、ひとくくりにMARCHと言えど、学部学科も様々で難易度にも差があるのは当然なのですが、大学の学術的なレベル、就活などの面も考慮に入れて、世間的に見てひとつの基準になっているとは言えそうです。
つまり、保護者の立場から見れば「わが子がMARCH以上の大学を卒業できれば、とりあえずは安心」ということなのでしょう。

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「大学受験をどう考えるのか?」─わが家に最適だと思える選択を

では、冒頭の保護者の質問である「MARCHの附属校に行ける実力ならば、入学しておいたほうがいいでしょうか?」を考えてみましょう。

まずはメリット。

先ほど挙げたように、大学レベルとして世間的に高評価を得ている大学であるということは大きいです。この事実があるので、中学生の段階から一定の評価がある高レベルの大学を最終学歴として確保しやすいというのが一番のメリットになるかと考えます。

さらに付け加えれば、大学附属校になりますから、大学受験競争からはある程度守られた「安全地帯」的な環境を得られやすい。ゆえに、過度な予備校通いなどをする必要がなく、自分の好きなことに時間を使うことができ、落ち着いた環境の元、伸び伸びと学べるという利点があります。
また、多くの大学附属校の合格発表は年内に出ますので、卒業までの日々を進学先の大学の専門分野の勉強に充てることも可能です。

一方でデメリットも存在します。

一番のデメリットは、必ずしも自分の行きたい学部・学科に行けるとは限らないということです。
内部進学は大抵の場合、校内成績順です。成績が下位であれば希望学部に行けないどころか、附属校であるにもかかわらず併設大学へ推薦してもらえないというケースも少なくないのが実情です。難関学部、あるいは人気学部に推薦で行くためには、コンスタントに校内成績の実績を積み重ねておく必要があります。

また、「附属校あるある」ですが、併設大学への推薦数は学校によって違います。各校の内部進学条件である評定・テスト・学部学科配分などは確認が必須です。
先ほど挙げた明治大学世田谷は現時点では明治大学への推薦人数を約7割超としています。附属校だからといって、そもそも全員を保証しているわけではないのが普通です。
それに加え、推薦権を行使しない生徒(他大学受験)もいますので、どれくらいの生徒が、どの学部学科に何人くらい内部進学をしているのかの複数年度にわたる数字(学年によって幅があるケースもあり、その推移の把握は重要です)は必ず、各校に問い合わせて実態を正確に掴んでおいてください。

さらに、併設大学に自分が目指す進路に合う学部学科がないケースもあり得ます。医者になりたいのに医学部がないことに代表されますが、どちらかと言えば現時点では文系志向が強い学校が多く、理系志望には不利なケースもないわけではありません。
進路希望は小6時点と高3時点では変化している可能性があるので、この点については留意が必要です。

もちろん、附属校にいるからといって他大学を受験できないわけではありませんが、大学附属校は進学校と比べると大学受験対策は圧倒的に弱いです。大学受験の負担が少ないというメリットは他大学を受験する際のデメリットになり得るという事実は知っておく必要があります。
そもそも、一般受験あるいは総合型選抜入試を目指す生徒が少ないという事情がありますので、進学校にある「受験は団体戦」「全員がもっと上を目指す!」という空気は薄いです。よって、学習環境や進路の自由度がやや狭まるという面はあるでしょう。

ご家庭、そして本人が「MARCHを目指す」というのであれば効率的な選択ですが、東大や医学部をはじめとした難関大学の学部学科も視野に入れたいという場合は、進学校との比較検討をすることをお勧めします。

もうひとつ、蛇足として付け加えるならば「入口(中学受験)と出口(大学受験)のコスパ問題」があります。

先述したとおり、現在、どのMARCH附属校であっても大人気ですから、難易度はかなり高いのが現実です。
つまり、相当、優秀でなければ合格できないという事実があるのですが、これが入口の難度に比べると、出口のレベルが「釣り合っていないのでは?」という指摘がなされる場合があるのです。
大学がMARCHで納得できるのであれば、中学受験はオーバーワーク=中学受験は不要という説もあり、MARCHの附属校に合格できる実力があるのであれば、「大学はもっと上の大学に行くポテンシャルがあるのでは?」とする意見も多いです。

以上、メリット・デメリットをご説明しましたが、「大学受験をどう考えるのか?」を保護者が先に考えるほうが現実的と言えるでしょう。
MARCHレベルの私大文系を第1志望と考え、かつ、受験とは一度距離を取り、大学受験のストレスを減らす中で6年間を比較的自由に使いたいということであれば、MARCH附属校の選択は「有り」。
逆に、中学の段階から進路を固定したくないとするご家庭には、再考の余地があるかもしれません。

しかし、こればかりは、ご家庭の考え方、お子さんのタイプにもよりますので、申し上げてきたようなメリット・デメリットの両方をよく理解した上で、わが家に最適だと思える選択をするということに尽きるかと思います。
志望校選びの参考になりましたら嬉しいです。

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著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)、『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)など多数刊行。最新刊は、取材・執筆を担当した『黒い感情と不安沼 「消す」のではなく「いなす」方法』(やまざきあつこ著・小学館)。

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