有名中学校 校長先生ロングインタビュー

第13回 早稲田大学高等学院中学部 本杉 秀穂 学院長

-2018.12.03

エラーを許容、トライを引き出し、
主体的に行動できる人材を育てる

駒場東邦中学校・高等学校 平野 勲  校長

Profile

早稲田大学高等学院学院長
本杉 秀穂先生
もとすぎ・ひでほ●1958年東京都生まれ。早稲田大学高等学院、早稲田大学政治経済学部卒業。早稲田大学政治学研究科修士課程修了。民間企業、東京都等の公立高校教員を経て、98年早稲田大学高等学院公民科教諭。2016年より学院長。

2010年に一期生が入学し、今年で9年目を迎えた。
中学部の設立により早大学院にはどのような変化が起きているのか。
教育方針、留学制度、研究支援、大学との接続、
そして入試まで、学院長の本杉先生に話をうかがった。

※この記事はTOMAS会員誌「冊子版Schola」第7号(2018年冬号)の特集を再編集したものです。

中学で鍛えた力を高校で開花させる

高校は来年で70周年を迎える伝統校ですが、2010年に中学部を設置してどのような変化がありましたか?

 当校ではトライ(挑戦)とエラー(失敗)の機会を多く提供することをとても大事にしています。中学でさまざまなことに挑戦し、ときに失敗しながら蓄えた力を、高校で一気に爆発させている生徒が多くいますね。以前、中学部のある生徒が韓国のトップ校であるハナ高校で行われる国際シンポジウムに参加したのですが、現地の学生の英語力に歯が立たず悔しい思いをして帰ってきました。そのときの悔しさをバネに高校に進んでからStanford e-Japanというスタンフォード大学のプログラムに参加し、最優秀生徒に選出されました。
 高校進学直後に行われるオリエンテーション合宿でも生徒の成長を実感することがあります。くじ引きで班を決めたところ、内部進学者が集中する班ができてしまいました。この年頃の生徒は仲間内で固まりたがるものですが、内部進学者が均等に散らばるように彼ら自身が言い出してくじ引きをやりなおしたのです。教員が口を挟まなくても、高校入学組と内部進学組が親睦を深めるという目的を考えて主体的に行動する姿に感心しました。

宿泊研修を数多く実施されていますね。

 宿泊研修では生徒たちが数名のグループに分かれ、グループごとに研修のテーマやスケジュール、宿泊先から目的地までのルートなどを事前に調べて研修計画を立てます。
 中1の奈良研修では3日間の行程のうち1日を自主行動の日にしていますが、まだ計画の立て方などに慣れていないため、電車やバスが定刻で来る前提でスケジュールを組んでいたり、お店の定休日を把握していなかったりと、不完全な研修計画が提出されることも少なくありません。しかし、危険がない限り教員たちは計画に口を出しません。失敗から学ぶ機会を大事にしているのです。

たくましく育ちそうですね。中2の長野研修、中3の長崎・佐賀研修についても教えてください。

 長野研修では、農業体験や農家へのホームステイを通じて自分たちが日頃食べているものがどこでどのように作られているのか、どんな思いで作られているのかを学びます。長崎・佐賀研修では平和学習のほか、大隈先生の出身地佐賀県の観光課と提携し、地元の観光資源をどのようにPRするかを考える課題に取り組みます。自分たちがこれまで育ってきた環境とは異なる地域で、現地の方と交流しながら多様性や地方創生などを学ぶ機会になっています。

留学について中学部での実施はありますか?

 留学は高校からになりますが、中学ではオーストラリアでの海外研修制度があります。対象は中2、3生で毎年20人ほどが2週間滞在します。お互いの国の文化を紹介し合うのですが、今年の生徒たちはコマをもっていきました。参加した生徒によると、現地では英語を頭の中で日本語に変換して解釈している余裕がなく、自然と英語を英語のまま解釈する習慣がついたそうです。

高校で新しい留学制度が設置されたそうですね。

 昨年度から始まった制度で、1年間の留学をした上で3年で卒業できる制度があります。早ければ高1の9月から留学が可能なので、中3の秋冬に留学準備を進めることが可能な中学部生にぜひ利用してほしいですね。

短期留学、交換留学もかなり盛んだと伺いました。

 視野を広げるうえで、高校生という多感な時期の留学には大きな意味があります。そこで2週間程度の短期留学や交流を積極的に実施しています。協定校も増えており、オーストラリアやドイツ、フランス、韓国、イギリス、ロシア、中国、台湾などへの短期留学や研修プログラムを実施してきました。交換留学生も積極的に受け入れており、留学に参加しない生徒にも異国の学生と共に学べる機会を提供しています。

#

オーストラリア、ロシア、ドイツなど多くの国に協定校がある

中1から大学見学へ
進路は6年かけて検討

大学との連携はどのようになっているのでしょうか?

 高校では、大学で行われる一部の正規授業を履修することができます。高2、3生あわせて毎年60名ほどがこの制度を利用しています。理工学部や政治経済学部の教員が担当する講義や、大学の最先端の研究内容に触れる機会もあります。研究内容のレベルの高さに感銘を受け「身が震えた!」「大学に進学したらあの先生のゼミで学びたい!」と言っていた生徒もいました。

早大への進学についても教えてください。

 基本的に全員が早稲田大学へ進学することを想定しています。進学したい学部が早稲田大学にない場合、他大学へ進学することもありますが、全13学部で非常に幅広い学問を扱っているため、そのようなケースは稀です。各学部の推薦枠の合計は高3生の総数より多く設定されており、多くの生徒が第一、第二希望の学部に進学できています。
 学部選択について高校では6月に理工3学部、9月にそれ以外の全学部の説明会を設けており、いずれも生徒・保護者が対象です。
 中学部では中1で早稲田(本部)キャンパス、中2で人間科学部とスポーツ科学部のある所沢キャンパス、中3で理工3学部がある西早稲田キャンパスを見学するキャンパスツアーがあります。

中学生の段階でキャンパスツアーに行くのですね。早い段階から自分の目指す道を決めるよう指導しているのですか?

 あくまで進路について考えるきっかけを与えているだけで、決めるのはゆっくりで良いと考えています。急いで進学先を絞り込むのではなく、自分は何を学びたいのか、学んだ先の将来どんなことを成したいのか、トライやエラーを繰り返しながら考えていってほしいですね。

学術研究奨励金というものがあると伺いました。

 同窓会の支援により学術研究奨励金が設置されています。選考を通過すれば最大で10万円の補助を受けることができます。研究資金の援助と聞くと「成果を出さなければいけない」と思われがちですが、当校の場合「失敗してもいい」のです。また、大学の研究設備を使用することもあります。中学部の生徒がシャープペンシルの芯を研究テーマに選び、大学の研究室の電子顕微鏡を使用して論文にまとめて賞を受けたこともありました。

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生徒の研究成果などをまとめた論文・作品集

入試についてもお聞きしてよろしいでしょうか。

 「入試は学校からのメッセージ」と言われます。その学校が求めている人材、その学校に入ったら成長・活躍できる人材かどうかを見るために入試が行われていると考えれば、鍛えるべき力も見えてくるのではないでしょうか。中学では各教科満遍なく基礎力を身につけさせる指導をしております。高校や大学、そして社会に出て通用するように土台をしっかりと固める教育です。受験においても各教科しっかりと基礎を身につけて臨んでいただければと思います。

グループ面接について意識すべきことはありますか?

 しっかりと自分の考えを話してほしいですね。グループ面接という形式ですが、ディスカッションなどを行うわけではありません。「うまく話さなければ」「良いことを言わなければ」とプレッシャーを感じている受験生もいるかもしれませんが、あまり構え過ぎずに、自然な自分を見せてください。服装も普段の服装で構いません。

最後に御校を目指している受験生の方に向けてメッセージをお願いします。

 中学生になるということは、自立の第一歩を踏み出すということです。早稲田大学高等学院中学部を目指すからには、進学先を自らの意志で決めたという自覚をもってください。入学後も自らの意志で考えて決断し行動するチャンスはたくさんあります。トライ&エラーを繰り返しながら成長していく過程を見守り、伴走していきますので、皆さんからの挑戦を待っています。

取材を終えて―

TOMAS入試対策本部 本部長 松井 誠

p8各学年で実施される宿泊研修やオーストラリア研修など見聞を広める機会が豊富に用意されていることや、トライ&エラーを繰り返して成長させる教育方針など、受験勉強に時間を取られない大学附属校の強みを活かしたすばらしい環境が整っていると感じました。


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