
さきよみ中学受験

無意識の思い込みが、子どもの将来に影響を及ぼす
性別による無意識の思いこみ「アンコンシャス・バイアス」が、個人の活躍を妨げる要因になるのではないか、ということが内閣府の調査でわかりました。
異性に対してだけでなく、自分自身の性に対する思い込みもあり、性別による固定観念はまだまだ強いのが日本の現状といえます。
保護者自身がこうした思い込みに気づくことが、中学受験に向けた新たなヒントとなり、子ども達の将来を拓くきっかけになるかもしれません。
根強い性別による固定観念
戦後に制定された教育基本法により、学校は男女共学が原則となりましたので、保護者の多くは男女共学の環境で過ごしてきたはずです。1999年には男女共同参画社会基本法が施行され、社会的にもジェンダー平等の取り組みが進んできました。
しかし、性別による無意識の思い込みはまだ根強くあることが、内閣府の調査から明らかになっています。全国の20~60代の男女10,330人を対象に、2021年8月に行った調査によると、回答者全体の76.3%に、性別による無意識の思い込み「アンコンシャス・バイアス」が見られたのです。
調査では、家庭や職場などでの性別に基づく役割や思い込み36項目について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の4段階でたずねました。
「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計が5割前後と高い割合になった項目は、次の2つでした。
「女性には女性らしい感性があるものだ」 男性51.6% 女性47.7%
「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」 男性50.3% 女性47.1%
また、
「女性は感情的になりやすい」 男性35.6% 女性36.6%
「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ」 男性29.8% 女性23.8%
というように、異性に対する思い込みだけでなく、男女双方が、無意識のうちに異性よりも強く自身の性別による役割意識を抱えていることが明らかになりました。
年代別にみると、特に50~60代の男性で性別による役割意識が強く、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」は、女性でも年代が高いほど強く意識されていました。
また、20~30代の男女では、「共働きでも男性は家庭より仕事を優先するべきだ」は、男性のほうが女性より思い込んでいる割合が高く、女性では低くなっていて、男女間の意識の差が生まれています。
無意識の思い込みは、個人にも社会にも損失となる
なぜ無意識の思い込みが問題視されるのでしょうか。
内閣府は調査の結果を受け、2021年12月に無意識の思い込みを啓発する「事例集」を発行しました。その中で、性別による役割の考え方を前提にした働き方や慣習・慣行が残っていると、一人ひとりが力を発揮できず、社会の損失につながる、と述べられています。
例えば、経営者や管理職が「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ」という考えのもと、共働き世帯で育児期間中の男性を多忙な部署に配置すると、育児や家事の負担は女性が負うことになり、家庭の不和や離婚などの原因になる可能性があります。
そうなると、女性だけでなく男性も以前のような力を発揮することができず、結局は組織や社会全体に影響を与えてしまうのです。
保護者の思い込みは大丈夫?
教育の分野でのアンコンシャス・バイアスは、「男性であればいい大学を出て出世を目指すべきだ」「女性には高い学歴やキャリアは必要ない」などが該当します。
「女性に理系の進路(学校・職業)は向いていない」という項目に賛同する率は、男女とも1割を切っています。しかし、女性の2割が直接・間接的に言われた経験をしていることから、周囲の価値観の押しつけが、女子に理系進学をあきらめさせているのではないか、と解説では指摘しています。
周囲の大人が思い込みを発信することで、子どもの進学や職業選択を左右する可能性があるとしたら、その責任は小さくありません。
アンコンシャス・バイアスに気づくためには、理由を知るのが有効です。「事例集」に合わせて、内閣府は「チェックシート」も作成していますので試してみてはいかがでしょうか。
職場や家庭、地域などの場面を想定した23項目に、1つでも「Yes」と思えば、バイアスがあることになります。
私立中高一貫校には、共学校をはじめ、男子校、女子校など多様な選択肢があります。
「女の子だから」「男の子だから」といった枠にとらわれず、「その子らしさ」を基準にした中高6年間をイメージすることが、将来の子どもの可能性を拓くことにつながりそうです。
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