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私立学校も無縁ではない「不登校」

私立学校も無縁ではない「不登校」

文部科学省の調査によると、2020年度には、不登校だった子どもの数が過去最多となっています。私立学校においても不登校の生徒の数はゼロではありません。
ひとくちに不登校といっても、新型コロナウイルスの影響で自主的に登校を見合わせる家庭や、自宅からオンライン授業に参加する生徒などもいるため、従来の不登校の捉え方では不十分になってきています。
学校選びでは、わが子に合いそうかどうか選ぶ視点を持ち、また、入学後も、学校に行きたくないと思った場合の相談相手や居場所のあり方を、学校と家庭とがともに考えていく必要がありそうです。

小中学生の不登校は過去最多の約20万人

不登校とは、文科省の定義では、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にある場合を指します。
文科省が公表した「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査」によると、年度間に30日以上登校しなかった長期欠席の小中学生のうち、病気や経済的理由ではない「不登校」の児童生徒数は全国で19万6127人に上りました。
前年度から1万4855人増え(前年比8.2%増加)、8年連続増加で過去最多となっています。

中学生を見てみると、公立では12万7671人で、在籍生徒数に対する割合は4.3%です。国立では437人で1.4%、私立では4669人で1.9%でした。

188の私立中学校がある東京都でも独自に調査しています。
2020(令和2)年度の都内私立中学校の不登校の生徒数は1219人です。都内私立中の総生徒数は7万6707人ですから、割合としては1.59%となっています。私立中学校であっても不登校になる生徒はいるのです。

「誰にも相談しなかった」、中学生は42%に

さて、子どもたちはどのようなきっかけで学校に行きづらくなるのでしょうか。
文科省は先ほどの調査とは別に、2020年12月、不登校経験のある小学校6年生と中学校2年生を対象にした調査を行っています。

約2000人の回答によると、「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答)は、「先生のこと」(小学生30%、中学生28%)、「身体の不調」(小学生27%、中学生33%)、「生活リズムの乱れ」(小学生26%、中学生26%)、「友達のこと」(小学生25%、中学生26%)など、特定のきっかけに偏らず多岐にわたることがわかりました。

また、「休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの期間」(単一回答)では、「1か月未満」(小学生27%、中学生32%)、「1か月以上6か月未満」(小学生20%、中学生23%)を合わせて、5割程度が1か月~半年程度で休み始めています。

「学校に行きづらいことについて相談した相手」(複数回答)は、「家族」(小学生53%、中学生45%)が一定の割合を占めているものの、「誰にも相談しなかった」(小学生36%、中学生42%)も多く、早期に家族以外に相談できている割合は低いことが明らかになりました。

保護者が回答した「欠席時の子どもの状況」(複数回答)は、約半数に「極度に落ち込んだり悩んだりしていた」「原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱などがあった」など、精神・身体面の不安定な状況がうかがえます。

また、保護者による「子どもとのかかわり」(複数回答)では、約8~9割の保護者が「日常会話や外出など、子どもとの普段の接触を増やした」「子どもの気持ちを理解するよう努力した」と回答した一方で、「子どもの進路や将来について不安が大きかった」「子どもにどのように対応していいのかわからなかった」と不安や困難を抱える姿も明らかになりました。

多様化する不登校の様子

不登校になる子どもが増加する中、新型コロナウイルス感染症の拡大や学校のICT環境が進んだことで、不登校のありようも変化してきています。
冒頭の文科省の調査では、2020年度は新型コロナウイルスの感染を避けるため、子ども本人または保護者の意思などの理由で、長期欠席した児童生徒が約2万人に上ることもわかりました。
こうした「自主休校」の場合、子どもを休ませる合理的な理由があると校長が判断した場合は「出席停止・忌引き等の日数」として、欠席にも出席にもならない扱いとなります。

一方、コロナ禍の一斉休校をきっかけに、学校でオンライン授業が推進され、それに用いるタブレットや通信環境が整備されたことで、不登校の子どもが自宅からオンラインで学校の授業に参加した例も報告されています。
こうしてみると、従来のように、登校の有無や出席日数だけでは不登校を捉えるのは無理がある時代に入りつつあるようです。

私立を選ぶからこそ気を付けたいこと

私立中高一貫校を選ぶときに、「面倒見のよさ」「学習や生活面の手厚いフォロー」「全人格的な教育」など、保護者も受験する本人も学校に期待するところは大きいでしょう。
たしかに私立は公立学校と違い、教職員の異動が少なく、一人ひとりの生徒とじっくり向き合える環境にあります。また、ICT環境なども整い、授業のオンライン配信に積極的な学校も増えています。

しかし、不登校の生徒への対応など、いわゆる生徒指導に関しては、学校の考え方や教育方針が前面に押し出されることも少なくありません。
公立学校のように教育委員会が開く一斉の研修会などはなく、学校に任されている状況なので、先生の不登校についての認識が古いままだったり、スクールカウンセラーやほかの相談機関との連携が十分とは言えない学校もあります。

また保護者も、「せっかく入学できたのだから、何とか通えるようになってほしい」と子どもに無理強いさせてしまう場合もあるようです。

志望校を選ぶ際には、偏差値や大学進学実績、通いやすさも重要ですが、少なくとも校風や教育理念についても「この学校に通いたい」と感じられるかどうかを考慮することが求められるでしょう。

中学・高校の6年間は多感な時期です。受験前の学校見学ではいいと思っていたけれど、実際に入学してみると違う、と感じる場合もあるでしょう。
そうしたときに、登校や出席だけにこだわるのではなく、子どもが相談しやすい相手がいるか、学校以外の居場所もあるかなど、保護者とともに支えられる学校を選ぶことが、何より子どもの幸せにつながるのではないでしょうか。


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