
さきよみ中学受験

世界標準でみた日本の教育は
経済協力開発機構(OECD)は毎年、世界各国の教育の状況をまとめた「図表でみる教育」を公表しています。その2021年版が9月に公開されました。
新型コロナウイルス感染症の教育への影響を最小限に抑えるための手当てはされたものの、国全体が教育にかける予算や、女子の理工系人材の育成には大きな課題があることがわかりました。
コロナ禍で教育にかけるお金は増えたが……
OECDのこの報告書は世界全体の教育の動向だけでなく、加盟各国の状況をレポートしています。
昨年度の大きなトピックといえば、新型コロナウイルス感染症の拡大とその影響です。
加盟国の多くは、教育にかける予算を増額しました。日本もその一つとして評価されています。
たとえば昨年度、前倒しで行われた、小中学生への1人1台端末の整備などがそれにあたります。
公平な教育の機会が与えられたとする評価がある一方で、その活用は自治体や学校ごと、また私立においても学校ごとに開きがあるのが現状です。
児童生徒のICTの活用、また教員のICT活用能力は世界で後れを取っている日本ですから、コロナ禍が収束しても学習活動にどんどん活用していくことが求められます。
そのためには、公立・私立を問わず国全体が教育にかけるお金を増やしていくべきですが、日本は小学校から高等教育までの教育機関にかける予算のGDP割合が、加盟国中で下位4分の1に入っていることがわかっています。
2018年には日本はGDPの4%を当てていますが、OECD加盟各国の平均支出はGDP比4.9%となっています。
女性の比率を引き上げるべき分野は
大学などの「高等教育」においては、理工系の女性の割合が低い分野があることも明らかになりました。
2019年の高等教育機関で「工学、製造、建築」の分野を専攻する女性の割合は、OECD加盟国平均は26%なのに対し、日本では16%でこれは加盟国中最低でした。上位の国はアイスランドやポーランド、ギリシャなどです。
「自然科学、数学、統計」の分野でもOECD平均は52%ですが、日本は27%とこれも最低でした。高い国はスロバキアやポーランド、チェコなどとなっています。
女性の先生の割合も、教育段階が上がるほど下がっていきます。高等教育では女性教員の比率はOECD平均で44%ですが、日本は28%と最下位で、大きな開きがあります。
理工系を学ぶ側、大学で教える側のいずれでも、日本は女性の割合が低いことが改めて浮き彫りになりました。
OECDは日本の女子は優れた成績を上げているにもかかわらず、「夢を与えたり、機会があることを十分に伝えていないのが課題」だと指摘しています。
STEM教育に力を入れる私立学校
これらSTEM(科学、技術、工学、数学)教育の重要性が近年、日本でも指摘され、私立中高一貫校を中心に先進的な授業や取り組みが広がりつつあります。
共学校、女子校に限らず取り組みを推進しているのは、こうした世界の潮流、女性の進出が少ない理工分野の学びを後押ししようとしていることのあらわれです。
AI(人工知能)やデータサイエンスなどはSTEM教育で育成する分野の一つです。その前段階としてアプリを開発したり、AIを使ったデータ分析をしたりする授業が受けられる学校も出てきました。
また、近年、ものづくりに強い伝統的な男子校や大学附属校が共学化を始めており、女子にも大変人気が高くなっています。将来、最先端の分野で仕事ができる道が開かれると予測してのことでしょう。
アメリカでは、データサイエンティストなどの技術系が高収入で満足度も高い職種として認知されています。
理工系というと医・歯・薬への進学をイメージするご家庭も多いかと思いますが、ぜひ、女子もSTEMの学びが将来につながる職業を目標にできる、そんな学校を選んでいきたいものです。
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