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中学に入る前からチェックしたい高大連携の取り組み

中学に入る前からチェックしたい
高大連携の取り組み

「高大連携」という取り組みをご存知でしょうか。

高校生が大学を訪問して体験授業を受ける、大学の先生が高校に出向いて講義をするなど、高校と大学とが連携して教育を行うことを指します。

大学付属校でなくても高大連携に積極的な私立中高一貫校はたくさんあります。

子どもの大学への進学意識を高め、将来のキャリアをイメージするためにも、高大連携という視点から学校をリサーチしてみてはいかがでしょうか。

見学・体験から共同研究や単位認定まで

高大連携は今から約20年前、大学進学率が向上し、高校での学び方が多様化する中、「大学生の学力や意欲が低くなっているのでは」という問題意識を背景に始まりました。

大学に合格することだけを高校の勉強の目的とするのではなく、生徒が一人ひとりの能力や意欲、関心にあった進路を選択できるようにするのが狙いです。

当初は大学の教員が高校に出向き、専門とする領域を高校生向けにわかりやすく話す講演形式が主なスタイルでした。しかし、今では、以下のようにさまざまなスタイルの高大連携が誕生しています。

  • 高校生が大学を訪問してキャンパスを見学する
  • 高校生が大学を訪問し、講義を聞いたり、研究室の実験・実習を見学したりする
  • 大学が開く公開講座に高校生が参加する
  • 大学生と高校生が共同プロジェクトを立ち上げ高校生も研究に加わる
  • 高大連携の授業で取得した単位を、大学の卒業単位として認める
  • 大学と高校の教職員が交流して授業研究をする
  • 図書館や施設を大学が開放し、高校生が利用する  など

付属校だけでなく、進学校も積極展開

もちろん、大学付属の私立中高一貫校では、その環境を活かして高大連携教育に積極的です。

高校では経験できない大学での専門的な学びにふれ、文理のコース分けや併設大学に進学する際の学部選択の参考にしてもらうためです。

中には、「高大連携授業で簿記について学んだのをきっかけに、会計に興味を持ち、商学部に進学。公認会計士試験対策を大学入学直後から始められた」といったような、高大連携事業が将来の仕事に直結するケースもあるようです。

付属校に入学したからといってのんびりするのではなく、高大連携授業に積極的に参加することで、未来のキャリアにつながるきっかけが得られます。

では、付属校ではない私立中高一貫校では高大連携が難しいかといえば、そうではありません。併設大学がない分だけ連携先に縛られないメリットがあり、積極的な連携が可能です。

ある共学校では、最先端の研究者を学校に招き、本格的な実験やハイレベルの講義を行うなど、理系の生徒の進路希望に沿う高大連携授業を企画しています。

海外からの留学生の多い大学と連携して「多様性を学ぶ」ワークショップを英語で行うなど、グローバル教育を意識した取り組みをする学校もあります。

企業と大学のプロジェクトに高校生が参加し、高校生ならではのアイデアや発想を活かした「探究型の学び」を提供する例もあるのです。

連携のきっかけはさまざまです。

その学校の卒業生で、いまは研究者として活躍している大学教授が、「母校のために」と一役買ってくれるケースがあります。

同じエリア内にある複数の大学と独自に「連携協定」を結び、組織的に高大連携事業を推進する学校もあります。

また、理数教育に力を入れる「スーパーサイエンスハイスクール」やグローバルリーダー育成教育に力を入れる「スーパーグローバルハイスクール」の指定を受けている私立中高一貫校では、大学との連携は先進的な学びを提供するのに欠かせないものになっています。

10年後の自分をイメージするために

少子化が進む中、高大連携を推進して、高校生を「早期に囲い込みたい」という学生確保戦略の意味合いを見出している大学も中にはあるでしょう。

ですが、本来の高大連携は、生徒がいわゆる受験偏差値やブランドだけで大学を選ぶのではなく、本当に学びたいことに気づき、未来のキャリア形成につながる機会を得るためにあります。

高大連携の取り組みをきっかけに、生徒たちは「こんな分野の研究があったんだ」「こんな勉強をするとこういう仕事ができるんだ」と、新たな発見をすることができ、進路をより幅広く考えることができるのです。

付属校でないからといって、必ずしも高大連携が進んでいない、というわけではありません。

また、付属校であっても取り組みには濃淡があります。

中学から高校に進学する際のコースや文理選択などにより、参加できる高大連携が異なる場合もあります。

中学受験段階では、「高大連携」をなかなかイメージできないかもしれませんが、学校説明会などの機会に、「高大連携でどんな取り組みをしているのか、生徒たちはどのような学びができるのか、その狙いは……」と、つっこんだ質問をするのは、子どもの10年後の生き方の幅を広げてあげることにもつながるでしょう。


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