おかあさんの参考書
わが家は中学受験に向いているのかを考える

わが家は中学受験に向いているのかを考える

鳥居りんこ

今年の首都圏での中学受験者数は約5万3500人。受験率は2割に近づき、過去最高の数字になっています。
中学受験をする割合が多い地域では入塾年齢が早まっている傾向が見られるので、低学年のお子さんをお持ちのお母さんの中には、「ウチの子も中学受験を考えるべき?」と焦る気持ちの方もいらっしゃるでしょう。

ご承知のように、中学受験は「どうしてもやるべき受験」ではありません。中学受験を見送って高校受験に照準を合わせるという選択肢もあるので、余計に迷うところだと思います。
今回は、中学受験と高校受験のどちらを選択するべきか、判断のポイントになる「中学受験に向いている家庭と子ども」について説明します。

その前にお金の話をしておきます。中学受験対策には通塾がスタンダードですから、その費用を見積もってみましょう。
小学4年生から3年間通うとして、平均で約250万円。その後、私立中学に通学すると、3年間で約300万円。年にならすと、100万円超が必要という計算になります(もちろん、塾なし受験、あるいは公立中高一貫校進学という選択肢もあります)。

この費用に問題がないとして、話を進めましょう。

1. 家庭の教育方針が決まっている

夫婦の間で、早い段階から「わが子にはこういう教育を受けさせたい」という教育方針が固まっている場合は、私学のほうが結果的に満足のいく子育てになる可能性が高いでしょう。
私学はそれぞれの学校にオリジナルの教育理念があるので、わが家の教育方針と一致する学校を選べるというメリットがあります。

2. 事実上、学校と塾の往復となる小学校生活をプラスにとらえられる

中学受験は通塾とセットになりがちなため、小学生には精神的にも体力的にも苛酷な生活になる場合があります。これを親が「かわいそう」と思うか、「ワクワクするような知的体験」ととらえるのか、それによって子育ては全く違った方向へ向かいます。
「知る喜び」「理解できた楽しみ」を大切に考えているご家庭にとっては、中学受験は向いているといえるでしょう。

3. 受験生活に親も伴走できる環境である

中学受験は「親子の受験」といわれるほど、親の関わりの度合いが強い受験です。塾や模試の送り迎えをはじめ、日々の学習管理、志望校調査など、親のやるべきことは多岐にわたります。ここが本人の自主性に任せてもOKな高校受験とは決定的に違う部分です。
「親子で頑張る!」という気持ちが必要なことはいうまでもありません。

4. わが子の性格から向き不向きを見極められる

「中学受験は精神年齢が高い子が有利」とよくいわれます。これには理解力、集中力といった特性が大きく影響してきます。幼いころから「なぜそうなるのか?」という疑問を持ち、自分なりに疑問を解こうと粘り強く試行錯誤を重ねるタイプのお子さんは中学受験に向いています。
あるいは、何事もコツコツと努力できる子、自分の得意なことを究めたいと望んでいる子、ライバルがいると燃える負けず嫌いな子なども向いていると思います。
友と一緒に塾生活を楽しめそうか、ということも大事なポイントでしょう。

5. 体力と根性がある子

受験生活は学校と塾とのダブルワークになるため体力的にきついのですが、合格後のことも考えてみましょう。中高一貫校に通うとなると、徒歩通学者以外は通学時間がかかるという問題があります。慣れるまでは相当ハードに感じられるでしょう。
それに、中高一貫校はどの学校でも先取り教育をやっているので、学習の進み方は相当早いのが普通です。予習復習は必須、課題提出、その上に部活や各種行事が加わり、かなり忙しい学園生活が待っています。
子どもは成長していくため、徐々に体力もついていきますが、ハードな環境に耐えられる心と体があったほうが有利といえます。

以上、5項目を挙げてみましたが、各家庭の事情、そして地域差が大きいのが中学受験の実態です。例えば事業をしているご家庭で、将来、子どもが事業を継承する可能性を考えて、地元中学に進学したほうがよいと判断されることもあるでしょう。
中学受験をする、あるいは高校受験に向かうという選択はどちらが正しく、どちらが間違っているというものではありません。
しかし、先述した通り、お金・時間・体力・気力・努力ともに、長期に渡って継続しなければならないのが中学受験です。「隣の子が受験するみたいだから」というような生半可な気持ちで参入すると、どこかで無理が生じかねません。

中学受験に参入する前に、学区公立中学の高校受験が、今現在どのように行われているのかを調べることも必要です。
地元公立中のレベル、卒業生の進路進学先、内申重視地域か否か、内申点のつけ方なども含め、お住まいの地域の事情を知ったうえで、中学受験、高校受験のメリット・デメリットを冷静に分析しましょう。そうして、わが子の笑顔がたくさん見られる方向に舵を切ってほしいと願っています。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

ブログ:湘南オバちゃんクラブ

Facebook: 鳥居りんこ

Youtube:鳥居りんこちゃんねる


鳥居先生 記事一覧

ALL

オススメ記事

記事一覧

ALL

お近くのTOMASを見学してみませんか?

マンツーマン授業のようすや教室の雰囲気を見学してみませんか?
校舎見学はいつでも大歓迎。お近くの校舎をお気軽にのぞいてみてくださいね。

首都圏駅前103校 校舎検索はこちら

校舎名をクリックすると、詳細をご覧になれます。

ひばりヶ丘校 大宮校 阿佐ヶ谷校 柏校 本八幡校 二子玉川校 津田沼校 錦糸町校 千葉校 成増校 北浦和校 川越校 南浦和校 所沢校 志木校 西日暮里校 池袋本部校 教務本部 八王子校 川口校 練馬校 大泉学園校 松戸校 高田馬場校 メディックTOMAS 市ヶ谷校 立川校 荻窪校 巣鴨校 三鷹校 府中校 赤羽校 飯田橋校 国分寺校 中野校 渋谷校 三軒茶屋校 調布校 笹塚校 目黒校 麻布校 聖蹟桜ヶ丘校 成城学園校 大森校 自由が丘校 町田校 本厚木校 武蔵小杉校 たまプラーザ校 蒲田校 横浜校 川崎校 門前仲町校 新百合ヶ丘校 千歳烏山校 青葉台校 藤沢校 新浦安校 下北沢校 上大岡校 千歳船橋校 葛西校 東戸塚校 日吉校 日吉校 南大沢校 四ッ谷校 田町校 浅草橋校 戸越校 センター北校 国立校 戸塚校 向ヶ丘遊園校 武蔵境校 メディックTOMAS横浜校 白山校 大崎校 石神井公園校 市川校 吉祥寺校 綱島校 海浜幕張校 下高井戸校 桜新町校 学芸大学校 多摩センター校 宮崎台校 スペックTOMAS自由が丘校 上尾校 メディックTOMAS大宮校 大船校 流山おおたかの森校 二俣川校 浜田山校 尾山台校 海老名校 大井町 中目黒校 勝どき校 月島校 メディックTOMAS渋谷校 御茶ノ水校 船橋校 用賀校