


新5年生になるということを考える
間もなく4月。進級・進学シーズンを迎えますが、一方で、中学受験界は2月が年度替わりとなりますので、既にそれぞれの学年では新学年のスタートが切られています。
今回は、新5年生に特化して、この1年間の注意点をお伝えしたいと思います。なぜなら、中学受験では5年生の時期が「肝」といわれているからです。
実際、「5年生が最大の難所」とおっしゃる塾の先生は多いのです。
5年生が本格的な受験準備に入る好機ととらえられているからなのですが、それまでの4年生の基礎内容を重視したカリキュラムに加え、入試に出題される単元学習という応用問題が加わることが特徴になります。
そのため、通塾日数も増え、学習時間も増えることになっていきます。
中学受験に向けて、親も子も一気に負担感が増した気がしてくる学年なのですが、ここを上手に越えて行くことが中学受験の必勝法でもあるといえます。
とはいっても、この時点から勉強漬けにしてしまうことは逆効果です。遊びと勉強のメリハリをつけながら、受験生としての自覚を徐々に持っていけるようにするため、親の誘導は大事です。
何はなくとも学習習慣の確立を
5年生の難所は、秋以降に訪れやすいです。その原因の多くは学習習慣がうまく身についていないためといわれています。
4年生までは、学習量が少ないために、「付け焼き刃」的な勉強のしかたでも対処することが可能なのですが、5年生の学習量はその比ではなくなってきます。そのため、やはり学習スケジュールに従って淡々とこなしていけるかが鍵になってきます。
具体的には、次の5項目が大変重要になります。
1. 計算と漢字学習の習慣化
基礎的な計算問題と漢字問題は、特殊な入試でない限りは必ず出題されます。これは入試問題のうちの、いわゆる落とせない問題になるのですが、逆にいえば、安定した点数が期待できるものでもあります。
応用問題に移る前のウォーミングアップタイムにも使えますし、両方やったとしても5分ずつくらいで足りますので、ルーティン化しやすい課題です。
毎日の歯磨き同様に、「やらないとなんだか気持ち悪い」と感じるような「習慣」にすることが目標です。軌道に乗るまでは、親にとっても頭の体操になりますので、親子で競争して取り組んでも楽しいと思います。
毎日毎日の地味な積み重ねが結局は大きな果実をもたらすことになりますので、ここは確実に習慣化できるよう頑張りましょう。
2. 学習スケジュールを子ども主導で立て、親が促す
中学受験は親の誘導が大きいのですが、それでも受験するのは子ども自身です。お子さんに「受験は自分事」という決意がなければ、長きにわたる受験生活を乗り越えることはできません。
そのためにも、子ども自身が「これはやる!」という学習プランを立てることが必要です。“やらされ感”が強いものよりも、自発的に動くほうがモチベーションは上がります。
「あれもこれも!」と思うのが親心ではありますが、「今やるべきこと」をしっかりと見極めて、基礎力を重視していく作戦(つまり復習重視)で軌道に乗せていくほうが効果的です。
それでも、スケジュールに狂いは生じてくるものですが、その場合はショートスパンで見直しを行い、学習スケジュールに無理はないか、優先順位は何かを都度、確認してみてください。
案外難しい作業になるので、困ったときには塾の先生に相談するとよいでしょう。そうすると、徐々にわが子にとって本当に必要なことが見えてきます。
塾との信頼関係を築くうえでも、塾の先生に頼ってみてくださいね。
3. 楽しいことや息抜きを大切にする
人間は鞭だけでは動けません。やはり生活の中には、ホッとする時間や、楽しいと感じる時間がなければ、ストレス過多となり、受験どころではなくなります。
中学受験を経てもなお、勉強自体はずっと続くわけですから、中学受験によって“勉強アレルギー”になってしまったら本末転倒です。理想は「勉強することが楽しい」となることですが、少なくとも「塾に通うことは楽しい」「勉強もそこまで苦痛ではない」と子ども自身が感じてくれることが大切です。
そのためには、生活にメリハリをつけることが必要です。この時間は集中して勉強するけれども、この時間は集中して遊ぶというように、子ども自身が時間のコントロールができるように、親は上手にサポートしてあげてください。
旅行もゲームも悪いことではありません。家族や友達とたくさん会話をして、「今日も充実して楽しかった!」といえる暮らしは、大人・子どもに関係なく大切なことです。
4. 目標を明確にする
受験の目的のひとつに「志望校合格」がありますが、この志望校は「目標地点」となります。ただ闇雲に勉強して、受験するというよりも、「この学校に入りたい」という強烈な動機づけがあったほうがやる気は満ちていくでしょう。
6年生になると、なかなか思うように時間が取れなくなりますので、どの学校を受験するかは5年生までに固めておくのがセオリーです。機会を逃さず、学校情報を集めてください。
コロナ禍で、なかなか通常規模の文化祭やオープンスクールが行われにくいご時世ではありますが、オンラインで発信している学校はたくさんあります。
親が情報を集め、「わが子にこの学校はどうかな?」と思う学校があれば、親子の会話に乗せてみるといいと思います。会話の中で、「この子は共学のほうに興味があるんだな」とか「こういう部活をやりたがっているんだな」などという好みが明確になってくるので、取捨選択がやりやすくなります。そのうえで、実際にお子さんと一緒に学校へ足を運んでみると、合う合わないがより明確になると思います。
コロナ禍であっても、たいていの学校では「個別訪問可能」を打ち出していますので、学校に相談してみてください。「夢の志望校」、すなわち目標が見つかると、受験生活に一層のメリハリがつきます。
5. 子どもの安心安全地帯でいつづける
中学受験生活は長きにわたります。1日の勉強時間が信じられないほどの長時間になることも決して珍しくはありません。偏差値だけを見ても、キープできれば御の字というほどに下降線を辿ることも「あるある」です。
子ども自身が、数字に一喜一憂しているうえに、親や先生からのプレッシャーをも受け続けるわけですから、小学生の年齢で過酷な暮らしをしていることになります。
大人だって、常時やる気に満ちている人はいません。子どもならばなおさらにそうです。それを理解したうえで、子どもの気持ちに寄り添っていくことが本当に大事なのですが、「言うは易し」です。もしかすると、ここが一番難しいことかもしれません。
もし、怒ってばかりの自分に嫌気がさしたら、初心に立ち返りましょう。
「どうして中学受験をさせたかったんだっけ?」と。
そして、考えてください。「わが家流の“いい受験”ってなんだっけ?」と。
中学受験は、親子関係を崩してまでやる必要がないということは、しっかりと意識しておいてください。
以上、5項目を挙げてみました。
中学受験への愛あるサポートは、親にとっては恐ろしく難しいミッションです。けれども、すべてが終了したときに、親子でしみじみと「いい受験だった」といい合えるご家庭は、その後もずっと幸せだということは申し添えておきたいと思います。
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