おかあさんの参考書
中学生になるということを考える

中学生になるということを考える

鳥居りんこ

今年の中学入試も、新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者を対象とする追試も含め、全国的に終了を迎えつつあります。
2022年もコロナ禍での受験でしたので、感染対策も加わり、メンタル面でも相当ハードだったのではないかとお察しします。現6年生のお母さんたち、本当にお疲れ様でした。

この時期の受験家庭の様子を想像するに、当事者であった子どもたちは小学生らしい日常生活にすぐ順応していき、母はその変わり身の早さに感心しつつ、塾に行かなくていい毎日に戸惑っている状態ではないでしょうか。
今までの緊張が一気に解けるので、受験結果が良くても悪くても、母のほうが放心状態になるのはむしろ普通です。それほどまでに、中学受験は母にとっての「大仕事」なのだと思います。

まずは頑張り抜いた自分を褒めてあげてください。
あなたという存在があったからこそ、お子さんは「受験」という大勝負に挑むことができたのですから。
たとえ結果が満足いくものでなかったとしても、“受験道”をわが子とともに歩んだことは、ある意味、母としての勲章です。長きにわたった苦しく、また楽しかった日々を経て、受験会場へ無事に送り届けたという事実は、母として誇っていいものだと思います。

中学生活へ向けて、良いスタートを切るために

さて、そろそろ中学校の制服が到着するころでもあります。
真新しい制服に袖を通したわが子を見ると、その成長にびっくりするのではないでしょうか。小学生時代とは明らかに違う姿に、「中学生になるんだなぁ……」と感無量になること請け合いです。親なればこその喜びに十分に浸れると思います。

そして、受験終了後はやれやれとばかりに「もう中学生なんだから」と、手を離してしまいたくなるものです。ただ、手を離すにあたって「ここだけ、ちょっと気をつけたほうがいいよ」という点がいくつかあります。今回はそれをご紹介しましょう。

親のもっとも大切な仕事は子どもを自立させること。自立に向けては、子どもが自分自身で勉強も含めた日常生活を回していけるようになるのが目標になります。ところが、中学受験は「親子の受験」ですので、親が子どもにずっと伴走してきており、それが日常だったために、親も子ども自身もその状態に慣れ切っている場合が多いのです。
「今日からは自由ですよ。ひとりで考えて、頑張りなさい」と言い渡されても、逆に戸惑ってしまう子どものほうが多いでしょう。
ですから、しばらくの間は要の部分だけをサポートするイメージでいくと、中学生活に向けて良いスタートを切ることができます。

入学前のアドバイス3つ

多くの先輩ママたちからの「入学前のアドバイス」は、大きく分けると次の3つです。

(1) 英語学習の先取り
(2) 学習も含めた生活習慣の維持
(3) 提出物への取り組み強化

(1)の英語は、小学校でも授業を受けていますが、中学生になると本格的な学習が始まります。中高一貫校では、ほとんどが先取りカリキュラムを組んでいるので、英語の進度も速いです。文法の導入部分、「一般動詞」「be動詞」の使い分けなどを事前準備として少し予習しておくと、スムーズに授業に入れるでしょう。

(2)の生活習慣の維持も大切です。
長かった塾生活から解放された今、ゲームに夢中で寝不足気味の子もいるかもしれません。多少は大目に見てあげたいところですが、中学生活は電車通学、重いかばん、7時間授業、部活などで、想像するよりもずっとハードです。
塾時代ほど厳密にやることはありませんが、例えば早寝早起き、決まった時間を学習にあてるなど、基本的な良い習慣はキープした方が、中学生活が円滑に回っていきます。
もちろん、塾生活から解放されたのですから、その空いた時間で、家族の一員としてお手伝いをやってもらうことも、とても良いことだと思います。
受験終了後の乱れた生活習慣はできるだけ早期に整えることが、新しい環境となる中学生活に馴染む大事なポイントです。

(3)は提出物についてです。たいていの中高一貫校では、毎週のように期限つきの課題が出されます。課題をきちんと提出していけない場合、中高一貫校であっても併設高校に進学できないこともあり得ます。
受験勉強時代にせっかく身につけた時間管理と学習習慣です。いきなりゼロにするのではなく、まずは進学先の中学から出された課題を計画的に仕上げるなど、暮らしのリズムを乱さないようにするのが大切です。
母はさり気なく「見張り」を続け、必要があれば声掛けするなどで、うまく誘導します。中学生活が本人の力で回るようになるまでは、後方部隊としてサポートしてあげてください。

「子育て時代」のカウントダウン

子育てはよく「手をかけ 目をかけ 心をかけ」と言われます。中学生から高校生になる間に、親は「目をかけ」から、徐々に「目を離し」、「心をかける」というステップへ進んでいく必要があるのではないでしょうか。

子どもが自立するまでが子育てですが、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わります。すなわち18歳は法律の上でも正式に「大人」として認められるということになります。
いよい4月からお子さんは中学生。つまり、「子育てはあと6年間だけ」です。
カウントダウンは始まっています。徐々に徐々に目を離しながら、あとは子ども自身の力を信じるのみという心境になるまで、残る子育て時代を楽しんで欲しいと願っています。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

ブログ:湘南オバちゃんクラブ

Facebook: 鳥居りんこ

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