『いい学校』とは何かを考える
いい学校ランキングの実態は?
中学受験を頑張っている保護者の方からの質問に、「いい学校を教えてください」というものがあります。
多分それは「良質な環境、充実した学習環境、校風のよさ、好ましい大学合格実績などを総合的に網羅したランキングを提示せよ」というご要望なのだと思います。
もちろん、そのようなものも存在します。中学受験塾の塾長や、大手塾の教室長へのアンケート結果をもとにした「エキスパートが勧める中高一貫校一覧」という順位表などがそれに当たります。
長年、多くの学校を見てきた業界のプロならではの目で選んだランキング表ですので、参考になることはいうまでもありません。
ただ、難しいのが、それが本当にわが子の志望校になり得るのか? という点です。
「いい学校」は当然ながら人によって違います。大勢のプロが勧める学校が、わが子に合っているとは限らないのです。
どんな学校がいい学校? 責任重大な学校選び
中学受験の学校選びは保護者主導なので、親の責任は重大です。
そのため、親はインターネットで各学校のホームページなどを確認しながら、様々な角度で、どの学校がいいかを検討するでしょう。
建学の精神、校風、教育方針、偏差値、大学合格実績、通学経路、通学時間、コロナ対策、災害対策、部活動の有無など、検討項目は多岐にわたります。
そうして様々な視点から各校を比較検討した上で、ピックアップした学校の説明会に参加することになります。
ここで「ピンときた!」という学校に巡り合えれば一番いいのかもしれません。
ところが実際は、どの学校も甲乙つけがたい状態になり、さらに迷うことがなきにしもあらずです。
中学受験では併願校も含めた学校選びがもっとも難しいといえるのです。
迷ったときは、子どもの「良いところ探し」を
もし、迷いに迷って決められない、あるいは、どう判断していいのかわからない場合、原点に戻ることをお勧めします。
すなわち、我が子を学校に合わせるという見方ではなく、我が子そのものを見ていくやり方です。
我が子はどんな持ち味がある子で、何が好きで何が得意か? 集中しているのは何をしているときか? どんなときに楽しそうにしているか? 我が子の長所は何か?
つまり、我が子の「良いところ探し」から始めるのです。
この場合、子どもの短所や、親から見て直してほしいところを考える必要はありません。
よくあるケースが、
「ウチの子は自分からは勉強しないから、手厚く補習をしてくれる学校がいい」
「ウチの子はだらしないから、厳しめに対処してくれる学校を選びたい」
などというものです。
これは、親が思う子どもの短所を、学校で矯正してほしいという願望の表れだと思います。「社会に出たときに困らないように」という親心かもしれませんが、とても危険な発想です。
長所と短所は裏表の関係です。それゆえ、長所側から眺めるのが大切です。
中高一貫校は思春期のほぼ全ての時間を過ごす場所です。そこに行く意味は、わが子の良いところが伸びていくことであって、決して短所を矯正するためではないということです。
たとえば、自由闊達な性格の子どもを厳しい校則で知られる学校に行かせた場合、もしかすると、その子にとっての6年間はとても苦しいものになるかもしれません。
逆に、真面目な性格で、ルールを順守することに居心地のよさを感じる子どもには、そういう学校のほうが合っている場合もあります。
いい悪いではなく、学校ごとに違う空気が流れており、その空気が呼吸しやすいかどうかの問題です。
長所を伸ばしてくれる学校は、自分らしく生きるためのよりどころになる
学校は行って楽しい場所であることが一番です。
中学受験は、我が子の性格に合う学校を選べるのが最大のメリットです。自分のよい部分や得意なことを、そのまままっすぐに伸ばしてもらえる学び舎で過ごせたなら、子どもはその先の人生を能動的に生きていくことができます。
もし「いい学校」の基準がわからなくなったなら、まずは我が子の長所をリストアップしてみて、その長所を歓迎してくれそうな学校を探してみてください。
「あなたは本当にいい子ね」と、我が子そのものを肯定してくれる学校が、あなたのお子さんにとっての「いい学校」なのです。
そういう観点でピックアップした学校に実際に出向いて、先生方と話をして来てください。その労を惜しまぬ行動が、どの学校が我が子に合っているかを「感じる」アンテナを磨いていきます。
ここだけは「親のお仕事」なので、面倒がらずに頑張ってみてくださいね。
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