やる気を引き出す方法を考える
中学受験生の保護者が抱える悩みのうち、ダントツに多いのが、「子どものやる気がない」です。
特に模試などの結果が戻ってくると、その悩みは焦りに変わりがちです。
偏差値というリアルな数字が出るので、志望校合格への距離がはっきりわかってしまいます。
何とかこの距離を縮めなければいけないのに、親の目には、肝心の我が子は勉強に身が入っていないように見えてしまうのです。
子どもの「やる気」ですが、大人でも常に「やる気」が出ている人は稀です。
ましてや小学生です。「やる気」に波があるうえに、アップダウンが激しくなるのは仕方のないことでしょう。
それゆえ、中学受験での親の役割のひとつは、その波にうまく乗っていけるようサポート役になることです。
今回は、子どものやる気が急降下していると感じたときのサポートについてお話ししたいと思います。
1. ハードルを思い切って下げてみる
やる気がないときは、勉強自体に嫌気がさしているケースが多いものです。
「がんばったのに成績が上がらない」「以前は解けたのに、解けなくなった」「塾の講義が理解できない」などの状態に陥ったとき、「やる気メーター」はドンドンと下がっていくでしょう。
そんなときは、まず「自信回復」です。問題集の対象学年を下げても構わないので、基礎問題を中心にして、正答できる喜びを味わえるようにしてみましょう。
「この問題は解ける!」という手ごたえこそ、次の問題にチャレンジする気持ちにつながります。
「急がば回れ」の気持ちはとても大切です。
2. 一緒に問題に取り組み、どちらが早く解けるか競争する
中学受験生は勉強前のウォーミングアップとして、計算問題と漢字練習をすることが多いと思います。
このとき、親も一緒に同じ問題を解くことをおすすめします。ヨーイドンで同時にスタートし、どちらが早く全問正解にたどり着くかの競争です。
漢字は親の方が知っていますから、あまりに差がつく場合は、親は漢字検定の問題などに挑戦してもいいでしょう。
低学年のうちは、計算問題ならば親は2倍解答するなどのハンデ戦がいいかもしれません。親子でゲームのように競争して楽しみましょう。
そして、これを習慣化するとよいでしょう。高学年になると、子どもに負けることが増えると思います。「親に勝った!」という満足感が「やる気」を押し上げることもあるのです。
3. 集中できるタイムスケジュールづくり
1でお伝えした「ハードルを下げる」場合、勉強時間を減らしてみる作戦も「あり」です。
やみくもに勉強時間を増やしても、かえってやる気が持続しなくなります。
やる気は集中力でもあります。集中力を身に着けるために、まずは子ども自身にその日のタイムスケジュールを考えさせ、実行させましょう。
勉強のタイムスケジュールは、15分ごとに区切ってみてください。
子どもの集中力は長くは続きません。15分集中したら、5分休憩し、次の15分は違う科目をやる。このように短く緩急を織り交ぜることで、集中力が途切れてグダグダになるのを防げます。
また、自分でスケジュールづくりができるようになると、徐々に時間管理がうまくなっていきますよ。
4. 憧れの学校をつくる
人間は目的がないと「やる気」になれない生き物のようです。
何のために毎日勉強するのかという、明確な目標を持っている子はやはりモチベーションが違います。
そのためにも、憧れの志望校があるといいですね。
「この学校に入って、○○の部活をがんばろう!」でもいいですし、「あの学校の制服を着たい!」でも十分な動機です。
志望校の写真や切り抜きなどでコラージュをつくり、「憧れの学校」を壁に飾るのも効果的です。
5. 達成感を得させる
「やればできる、やろう」という気持ちは自己肯定感に支えられています。
そこでおすすめしたいのが「花丸手帳」です。花丸手帳は、精神科のあるドクターがすすめている自己肯定感を養う方法です。
1日の終わりに今日を振り返り、小さなことでいいので「やるべきことリスト」のどれかを達成したら、大きな花丸をつけるというものです。
中学受験生の場合、「模試の見直し」「基礎問題1ページ」「ことわざ語句の復習」など、その日の予定を終了できたら、自分で大きな花丸をつけるか、またはお気に入りのシールを貼ります。
「7個たまったらアイスクリーム券と交換」というように、ワクワクする仕組みを取り入れるのもひとつのアイデアです。
こういった「ご褒美」はとても嬉しいものですので、やる気が出るご褒美を設定すると効果的です。「できた」という達成感とご褒美の一石二鳥を楽しみましょう。
中学受験は「やる気」との戦いという側面もあります。上記の方法を参考にしながら、我が家流の「やる気アップ」の方法を編み出してくださいね。
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