おかあさんの参考書
「中学受験を経験させるべきか?」を考える

「中学受験を経験させるべきか?」を考える

鳥居りんこ

中学受験の世界では、4月を待たずして新年度に切り替わっておりますので、「新6年生」はいよいよ最終学年としての自覚が求められるようになります。

一方で、低学年のお子さんを持つ保護者の中には、「我が子に中学受験を経験させるべきか、否か」で迷っておられる人もいるでしょう。

中学受験を選んだ理由を聞きますと、多くの保護者から以下のような答えが返ってきます。

中学受験に足を踏み入れる前に、やるべき3つのポイント

「公立中学の内申制度に納得がいかない」

「通わせたいと思うような教育方針を持つ学校には中高一貫校が多い」

「小学校の授業がつまらないと子どもが言う」

「中高一貫校のほうが大学受験に有利」

「中高一貫校は高校受験がない分、ゆとりのある6年間を過ごせる」

「6年間、好きな部活に没頭でき、充実した生活が送れる」

「似たような家庭環境の子が集まるので、とにかく安心」

「OB・OGの繋がりが強固なので、卒業しても縦の繋がりが期待できる」

「6年間という時間で、一生の友だちを作ることができる」

「設備や行事が充実しており、我が子を通わせる環境として申し分ない」

「海外プログラムも豊富で、シラバスもよく練られている」

このように、多くの人が、我が子をどの環境下に置けば花を開くのかという視点に立って、中学受験を視野に入れていると言えるでしょう。

今回は、「中高一貫校進学のほうが我が子に合っているのでは?」と漠然と考えているご家庭が、本格的に中学受験に足を踏み入れる前に、必ずやっておかなければならない3つのポイントについてお話ししましょう。

1 家族で受験に対する意見を一致させておく

中学受験は多くの場合、3年間の学習計画のもとに、家族が一致団結して合格を掴みに行く「長期戦」を強いられます。

時に親子間、夫婦間でバトルを繰り返し、過酷な毎日に辟易することも多いでしょう。

この時、夫婦間に受験も含めた「我が家の教育方針」の不一致があると、子どもはどちらの親の方針に従って良いかが分からず、大混乱になってしまいます。

こうなると、「合格」からはどんどん遠ざかりますので、参入前に「受験は家族全員の総意」であるとの確認が必須です。

中学受験は「なんとなく」参入するにはリスクの大きい出来事ですので、始める前に「我が子をどういう環境で育てるのか」を夫婦間で話し合うことが、何よりも大切なのです。

そして、夫婦のコンセンサスが一致した後に、肝心要の我が子に向かって「受験する意思」を確認しなければなりません。

中学受験は小学生の受験ですので、同学年といえども、その精神年齢には差がありますし、受験に向く子と向かない子がいることも事実です。

中学受験が良い、逆に高校受験が良いということの「正解」はありません。ご家庭ごと、そのお子さんごとに答えは違いますし、そこに「絶対」は存在しません。

しかし、受験勉強をがんばるのも、受験するのも、そして、たいていの場合、中学から地元を離れて通学するのも、お子さん本人なのです。

中学受験に本格的に参入する前に、本音の家族会議を何度も開くことをお勧めします。

2 教育費について、冷静な判断をくだす

大雑把に言えばですが、4年生から3年間、中学受験専門塾に通塾する場合の費用はおよそ200万円。

その後の私立中高一貫校では、毎年100万円ほどかかり、その後の大学では私立大で年間120万円は必要であると言われています。

つまり、留学費用、部活遠征費、塾・予備校代、大学受験料等を含めない、大学卒業までの教育費だけで、最低でも1300万円弱はかかるという試算になるのです。

これに加え、ほかにもきょうだいがいる場合は、その子の教育費の見積もりも必要になります。

まずは、この教育費について、シミュレーションを重ねることが大切です。

3 我が家の教育方針を話し合う

中学受験のメリット・デメリットを「見える化」しておくことも大事です。

中高一貫校のメリット以外にも、勉強習慣がつく、知識が爆発的に増えていく、思考が深くなる、目標を持つ毎日で充実する、ライバルとの切磋琢磨が期待できるなどのメリットが挙げられるかもしれません。

逆にデメリットとして、夕飯を家庭で食べなくても良いのか? 塾漬けの毎日になるが、それでも受験すべきか? 偏差値の数字に一喜一憂する日々になりはしないか? など、気になることをドンドンと書き出していけば良いでしょう。

さらに、以下のようなことについても、真剣に考えなくてはなりません。

「なぜ、近所の公立中学ではいけないのか?」

「大学進学、または大学院進学までを考えるべきか?」

「私立中高一貫校に行くと何が良いのか?」

「中学受験を経験させることの意味は何か?」

「高校受験と中学受験はどう違うのか?」

我が子にとって、本当に望ましい環境はどこにあるかという視点で、冷静に分析していかなければならないのです。

このように、メリット・デメリットを含めた「我が家にとっての中学受験」を総合的に見ることによって、その是非を冷静に判断できるようになるでしょう。

本格的な参入前に、この3つのポイントで家族会議を開催されることをお勧めします。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

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