おかあさんの参考書
自分の人生物語を子どもに話してあげよう

自分の人生物語を子どもに話してあげよう

親野智可等

私は教師だったときに、自分が子どものころの話を子どもたちによくしていました。
名づけて杉山少年物語です。

これは大いに受けました。
普段はろくに先生の話を聞かないような子も、この話には耳をかたむけてくれるのです。

親御さんたちも、自分自身が子どものころの話をわが子にしてみてください。
よい思い出も悪い思い出も含めて話すのがいいと思います。

子どもは大人の失敗談が大好き

だいたいにおいて、先生も親も子どもに何か話をするときは、お説教めいた話が多いと思います。

つまり、「○○してはいけません。○○しないといけません」といった話です。
子どもたちはそういう話を聞き飽きているのです。

でも、話す人が子どもだったときの話なら、普段のお説教とは違うことが聞けます。

そして、私の経験ですと、特に子どもが喜ぶのは失敗談です。
私も、自分が子どものころの失敗談をいっぱい話しました。

運動が苦手で、運動会でビリになった話。
音楽も苦手で、放課後になってもリコーダーの居残り練習をさせられた話。

勉強も苦手だった話、ウソをついた話、そろばんの試験に落ちた話、給食のマーマレードが食べられなかった話、先生に叱られた話。

なかでも一番受けたのは、近所の友達とかくれんぼをしていて肥だめに落ちた話です。

こうした話を聞くと、子どもはその人に対して人間的な共感を覚えるようです。

いつも偉そうなことをいっていばったりしている人にも、自分同様に子どものころがあったし、案外いろいろな失敗をしていたことがわかるためでしょう。

ときにはがんばった話も

ときには、がんばった話もしました。
例えば水泳の話です。
私は水泳が苦手で、小学生のころはまったく泳げませんでした。

何とか泳げるようになりたいという思いで、中学1年生の夏休みに、同じく泳げない友達と一緒に学校のプールに頻繁に通いました。

顔を水につけなくてもよく、息継ぎも必要ない「犬かき」がいいだろうということで、一生懸命練習しました。

犬かきの手のかき方、かいた手の戻し方、足の動かし方などを試行錯誤しているうちに、かなりの距離を泳げるようになりました。

これで自信がついて、クロール・平泳ぎ・背泳ぎなどもできるようになりました。
この話には子どもたちがけっこう感動してくれました。

子どもに語る「生きた文学」

失敗談もがんばった話もすべて、生きた文学として子どもの栄養になります。
そこから生きるヒントや自分をふりかえってみる材料を得たり、何らかの教訓を学んだりするからです。

話を聞いた子どもは、例えばこんなふうに受け取るでしょう。
「パパも子どものときには、いたずらして叱られたことがあったんだ」
「ママも○○が苦手だったんだ。でも自分で工夫して乗り越えたんだな」
「パパはこういうとき○○していたんだ。なるほど、いい方法だな」
「ママは○○して後悔したんだ。私も気をつけよう」
というように。

ぜひ、折に触れてみなさんの人生物語を話してあげてください。
ただし、いつもがんばった話や成功した話ばかりだと、子どもは聞かなくなりますので、その点には気をつけてください。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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