


子育てをマインドフルネスで生ききろう
親はなぜ子どもを叱るのか?
勉強のことやしつけのことで子どもを叱っている人は多いと思います。
以前、ある雑誌の企画でフリートークをしていたとき、30代後半の女性が「子どもをもってはじめて、自分はこんなによく叱る人間だったんだとわかり、そのことに自分自身が驚きました」と言っていました。
お母さんたちからは、「もともと人を叱るようなタイプではなかったのに」「なるべく叱りたくないのに」といった声もよく聞きます。
なぜ親は子どもを叱るのでしょうか?
その理由はたくさんあって、複合的なものです。
1つには、自分自身が抱えているストレスが大きくて、弱い立場の子どもがそのはけ口になっている場合があります。
その証拠に、子どもが同じことをしても、自分の精神状態がよいときは笑って見逃せたりします。
「子どもが将来幸せになれるように」という願い
そして、もう1つの大きな理由として考えられるのは、親には「子どもが将来幸せになれるようにしてあげたい」という願いがあるからです。
これは子どもを思う愛情のあらわれであり、親としては当然の気持ちです。
でも、子どもの立場になってみてください。子どもにしてみれば、叱られている今現在はまったく幸せではなく、むしろ不幸せです。
つまり、子どもの将来の幸せのために、今の幸せを犠牲にしているのです。
私はこれこそが間違いの元だと思います。
なぜなら、「将来」は決してやってこないからです。
将来というものは、水平線と同じようなものです。
水平線に向かって舟を漕いでいるとき、水平線は目に見え、進んで行くとたどり着けるような気がします。
でも、「水平線」という地点は実在しません。
なぜなら、それは海と空の境目が線のように見えているだけだからです。
行けども行けども、常に水平線は遠ざかり、永遠にたどり着くことはできないのです。
「将来」は実在しない
将来というのも、水平線と同じで実在しません。
なぜなら、それがやってくるときは、今日の「今・ここ」としてやってくるからです。
実在するのは今日の「今・ここ」しかないのであり、「将来」も「明日」も永遠に遠ざかり続けるのです。
ですから、将来の幸せのために今の幸せを犠牲にしていると、永遠に幸せになれないということになります。
幸せになるためには、実在する唯一の時間である「今・ここ」において幸せであることが必要です。
幸せになる方法はそれしかないのです。
そして、子どもは今日の「今・ここ」が幸せなら自己肯定感も高まりますし、親子の関係もよくなります。
こういう状態を私は「幸せ体質」と呼んでいます。
将来の幸せのために、今の幸せを犠牲にするのはナンセンス
「幸せ体質」になれば、今の延長線上にある将来も幸せになるのです。
これが本当に大事なのです。
逆に、将来の幸せを願いながら今叱っていると、子どもは自己を否定するようになりますし、親子関係も悪くなります。
これは「不幸せ体質」が身についてしまったということです。
このままでは、延長線上にある将来も不幸せになってしまうわけです。
ですから、将来の幸せのために今の幸せを犠牲にするのはナンセンスなのです。
私はこれを水平線バイアスと呼んでいます。子どもの幸せを願いながら、めざす方向をまちがえてしまっている親は少なくありません。
みなさんにはぜひ気をつけていただきたいと思います。
子育てという二度とない得難い日々
最近、特に先進各国ではこうしたことに気づく人が増えています。
そのあらわれの1つとして、マインドフルネスへの関心が高まっているのです。
マインドフルネスとは、「今・ここ」に十全の意識をもって生きることです。
「今・ここ」自体を生のゴールとして余すところなく味わい楽しむ。そして、そういう自分自身を意識(メタ認知)している生き方です。
過去の重荷に引きずられたり、将来のことを心配しすぎたりして、肝心の「今・ここ」がおろそかになっている生き方への反省でもあります。
読者のみなさんにも、子育てという二度とない得難い日々を、マインドフルに生ききってほしいと思います。
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