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「学歴が高いと職業の選択肢が広がる」というのは本当?

「学歴が高いと職業の選択肢が広がる」というのは本当?

親野智可等

中学受験を考える親御さんたちから、「偏差値の高い中学・高校から難関大学に進学すれば、将来の職業の選択肢が広がる」という話を何回か聞いたことがあります。

私はこの考え方に疑問を感じざるを得ません。
「職業の選択肢が広がる」というのは、何を意味するのでしょうか。

ざっくり言えば、職業や就職先を決める段階になって「さあ、あなたはどんな仕事でも選べます。弁護士、会計士、建築家、キャリア官僚、医者、パイロット、何にでもなれます」と言えることなのだと思います。

でも、それは「選択肢が広がった」というより、むしろ「特にやりたいものが見つけられなかった」ということではないでしょうか。

もし、「どの仕事にしようかな? 特にやりたいわけでもないけれど、とりあえず医者になろうかな」という発想で医者になった人がいたとしたらどうでしょう。

私は、できればそういう医者には診てもらいたくないと思います。

「就職した後」の長い人生を考えよう

どんな職業でも就職はゴールではなく、スタートです。
職に就いてから後の人生のほうがはるかに長いですし、仕事に必要な実践的な勉強も含めて、より一層の努力が必要になります。

主体的な努力を続けていくには、その仕事に向いていることも必要ですし、何より一番大事なのは、その仕事が好きで情熱を持ち続けられることです。

その仕事にずっと就きたかったとか、本当になりたくてなったという人ならば、努力を続けることも可能でしょう。
でも、多くの選択肢から選んだだけという人には難しいのではないでしょうか?
第一、仕事をしていても楽しくないのではないかと思います。

学歴の高さと自己実現力、どちらが大事?

以前、次のような話を聞いたことがあります。
ある小学生の男の子が、古代文明を紹介するテレビ番組を見て、インカ文明に興味を持ちました。
自分で図鑑やインターネットで調べて、さらにその面白さに惹かれ熱中していきました。

ちょうどその頃、上野の博物館でインカ文明展が開催され、その子は連れて行って欲しいと親に懇願しました。
でも、親は中学受験の勉強に集中させたいと考えていたので、その子の願いは叶いませんでした。

親に言わせれば、インカ文明など中学受験には出ないから時間のムダだ、というわけです。
そんな暇があったら過去問を1問でも多く解きなさい、と言ったそうです。

これはほんの一例ですが、自分がやりたいことに蓋をされ続けていると、子どもは自分がやりたいことを自力で見つけてどんどん展開していくという、主体的な生き方ができなくなります。

言い換えると、自分で夢を持って挑戦していく「自己実現力」が育たないということです。
その結果、「難関大学に入ったけれど特にやりたいことはないし、就きたい仕事もない。でも、せっかく偏差値が高いのだから医者になろう。キャリア官僚になろう。○○になろう」という形で仕事を決めることになりかねません。

変化の大きい時代、子どもにとって本当に必要なものは

中学受験を考えている親御さんには、本当に子どものためになるやり方を考えて欲しいと思います。

親に叱咤されながら、ほかのやりたいことを投げ打って中学受験の勉強に邁進し、つま先立ちでやっと入れるような学校を目指すのはやめたほうが良いと思います。
このような無理のある受験だと親子関係が悪化します。
合格しなかった場合、子どもの自己肯定感が下がる可能性が高いです。

たとえ合格できたとしても、入学後にさらなる苦難が待っています。
みんなについていくのが大変で、ちょっと油断するとたちまちクラスの最下位になったりします。

そうならないためには、やりたいことに熱中したり、子どもらしい健全な生活を楽しみつつ、親子の関係を良好に保ち、子どもに見合った範囲のがんばりでできる中学受験がよいと思います。

私は以前、「6年生の夏は関ヶ原ですよ。ここで人生が決まりますよ」と塾の先生が煽っているのを聞いたことがありますが、ナンセンスだと思います。
そんなことありませんから、大丈夫です。

中学受験で人生が決まるなどと思わないでください。
そんな単純なものではありません。
今までもそうでしたし、多様性(ダイバーシティ)と流動性が加速して急激な変化を迎えている時代においては、なお一層です。

子どものときに本当に大事なのは、自己肯定感と他者信頼感を持てるようにしてあげることです。
この2つがあれば、変化の大きな時代にもたくましく生きていくことができます。

そして、この2つは良好な親子関係によってもたらされます。
良好な親子関係を維持するためには、否定的な言葉は極力避けて、肯定的な言葉と共感的な言葉を増やすことが大切です。

無理な受験をさせて子どもを叱りすぎると、本当に大事なところが損なわれてしまいます。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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