おかあさんの参考書
返されたテストは宝の山。間違いの分析と対策を文章化

返されたテストは宝の山。
間違いの分析と対策を文章化

親野智可等

学校や塾で、先生からテストの答案が返されたとき、子どもはその点数を見て一喜一憂しがちです。そして、丸のついたところばかりを見てニヤニヤしていたりします。

もちろん、それは自然なことですが、それだけで終わってしまってはもったいないのです。大事なのは、間違えたところに注目することです。

間違い直しは絶対にするべきですね。でも、ただ直すだけだと、またすぐ同じ事を繰り返してしまいます。

そうならないためには、さらにもう一段階深掘りをするといいでしょう。

間違いの分析と対策を文章化する

私がオススメしたいのは、次のようなことです。

  1. なぜ間違えたかを分析する
  2. 同じ間違いをしないように対策を考える
  3. その2つを文章化する

いろいろな具体例

具体的には次のようになります。

▼文章問題の意味がわからなかった。
↓↓↓↓↓
文章問題がわからないときは、図を描いて考える。

▼文章問題の意味はわかったけれど、解き方がわからなかった。
↓↓↓↓↓
類似問題でおさらいをしておく。
同じ文章問題の数字だけを変えた問題を3枚つくって、「間違え宝箱」(後述)に入れておく。

▼公式を間違えた。
↓↓↓↓↓
公式を声に出して100回言う。
公式をノートに20回書く。

▼計算ミスをした。
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頭の中だけでやらないで、途中の補助計算を書く。

▼自分が書いた数字の「0」を「6」だと思ってしまった。
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数字はしっかり書くこと。

▼筆算は合っていたのに、書き写すときに間違えた。
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もったいないから慎重にやる。
見直しをすればよかった。

▼通分の途中で間違えた。
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見直しをすれば気づける。

▼式も計算も合っていたのに単位を間違えた。
↓↓↓↓↓
これも見直しが大切。

なぜ文章化が大切なのか?

ミスを分析して対策を考えても、これらの作業を頭で考えるだけだと、またすぐ忘れてしまいます。

専用のノートを用意して、自分の手と鉛筆を使って書いておくこと(文章化)で、心により深く刻まれます。

それによって、次の機会には意識して取り組むことができるようになります。

また、文章化して残しておくことで、自分が毎回同じような失敗を繰り返しているこ

とにも気づきます。

「見直しすればよかった」という文章を何度も何度も書いて、それを何度も何度も目

にしていれば、さすがに自分の愚かさに気づくようになります。

「間違え宝箱」と「おみくじ方式」

テストの扱いについて、埼玉県の石川さん(仮名)からとても参考になるお話を伺ったので紹介します。

石川さんのお宅では、間違えた問題をA6くらいのカードに書き写して、「間違え宝箱」という名前の箱に入れてあります。

なぜ、そういうネーミングにしたかというと、間違えたところこそ大事であり、それは伸びるための宝物だからです。

そして、おみくじを引くようにそこからカードを引いて、おさらいします。

具体的には、次のようなやり方です。

  • テスト直しをしたとき、おみくじ(カード)を作る。
  • 作った日付を入れる。
  • あえて科目ごとに分けない。
  • 解ければそのおみくじに〇、解けなければ×をつけ、〇が2回つけば捨てる。
  • おみくじは順番でなくランダムに引く。

子どもは、この「おみくじ方式」を喜んで、毎日2、3枚引くそうです。

こういうちょっとした楽しい演出で、やる気が出ることもあるのですね。

もちろん、どの子も必ず乗ってくるとは限りません。

でも、叱ってやらせるのではなく、遊び心のある演出でやる気を引き出そうというポジティブな発想が素晴らしいと思います。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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