おかあさんの参考書
「取りあえず1問方式」なら、 勉強に取りかかるのが楽になる

「取りあえず1問方式」なら、 勉強に取りかかるのが楽になる

親野智可等

1問だけなら取りかかれる

前回、勉強に取りかかるハードルを下げる方法として、「取りあえず準備方式」を紹介しました。

今回は、それをもう一歩進める「取り敢えず1問方式」です。

例えば、次のように子どもに言います。

「算数プリントの宿題があるの? 1問だけやったら遊んでいいよ」

「漢字の書き取りがあるんだね。ひと休みする前に、1文字だけ書いておこう」

1問だけなら、かなり取りかかりやすくなります。

もちろん、1問やるときに、他の問題は全部隠して1問だけ見てやる、ということはあり得ません。

当然、全体が目に入ります。

1問やることで見通しがつく

すると、漠然とですが、「だいたいこれくらいだな」という見通しがつきます。

これが、とてもよいことなのです。

というのも、見通しがついていると、本格的に取りかかるときのハードルがぐんと下がるからです。

大人の仕事でもそうだと思いますが、見通しがないときはたいへんです。

何か仕事をしていても、見通しがないと、出口が見えない、現在地もわからない、あとどれくらいやればいいのかわからない、という状態です。

こういうときは、苦しくてやる気がわいてきません。

ところが、出口がぼんやりとでも見えたとき、現在地もわかり、あとどれくらいかもわかります。

それによって、気が楽になって、やる気がわいてきます。

子どもが宿題や勉強をやるときも、まったく同じなのです。

長い休みのときも使える

夏休みや冬休みなどの長い休みのときも、「取りあえず準備方式」と「取りあえず1問方式」が使えます。

例えば、朝食のあとで勉強と決めたなら、朝食の前に、今日やる勉強に必要な物を全部テーブルの上に並べておきます。

あるいは、一歩進めて、その日にやるページを開いて、開いた面を下にして置いておきます。

そして、取りあえず1問やっておくのです。

これによって、朝食のあとで勉強に取りかかりやすくなります。

スイッチが入ると、ついでに2問、3問、あるいは……

前回紹介した男の子も、この「取りあえず1問方式」でかなり楽になったそうです。

そして、この子の場合、「取りあえず1問」ということでやり始めると、軽くスイッチが入るようで、ついでに2問、3問、あるいは半分、ときには一気に全部やってしまうこともあるそうです。

とにかく、取りかかりが大変なのです。

取りかかってしまえば半分は終わったようなものです。

寝る前に1問。お風呂の前に1問。テレビの前に1問

神奈川県のS君という子は、塾の宿題を次の日の朝やることにしているそうです。

ですから、夜寝る前に、塾の宿題に必要な物を机の上に出して、1問やってから寝ます。

同じように、お風呂のあとにやる子は、お風呂に入る前に準備して、1問やってから入るといいでしょう。

テレビを観てからやる子は、その前に準備して、1問やってからテレビを観るようにするといいでしょう。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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