勉強ハードルを下げる「取りあえず準備方式」とは?
叱られると、ますますやる気がなくなる
「勉強や宿題に自分から取り組んで欲しい」というのは、すべての親御さんたちの切なる願いです。
ところが、これができる子はとても少ないのが実状であり、どうしても親が叱ることになります。
「また勉強してない。自分からやらなきゃダメでしょ! 何度言ったらわかるの!」
「宿題やってないでしょ。どんどんやらなきゃダメでしょ。いつになったら自分からできるようになるの?」
こんな言い方をされて、やる気の出る子どもなど、いるはずがありません。
やる気が出るどころか、ほんの少しだけあった「そろそろやらなきゃ……」という気持ちすら、なくなってしまうのがオチです。
勉強に取りかかるハードルを下げることが大切
そこでオススメしたいのが、勉強に取りかかる時のハードルを下げることです。
というのも、取りかかりが最も大変で、取りかかってしまえば半分終わったようなものだからです。
まず紹介したいのは、私のメールマガジンの読者が教えてくれた方法です。
その家の子ども(男子)は、学校から帰ってきても、玄関に入らないそうです。
玄関の数メートル手前でカバンをおろし、ポーンと放り投げます。
家の中にカバンが入ろうが入るまいがおかまいなしで、そのまま遊びに行ってしまいます。
そして、遊びから帰ってきても、いつまでも宿題をやらず、さんざん叱られて、夜になって泣きながらやる、ということの繰り返しでした。
取りあえずカバンの中身を全部出しておく
ある日、お母さんが叱り疲れてボーっとしていたら、パッといいアイデアがひらめきました。
まず、玄関近くのテーブルの上に、広くて浅い箱を置きました。
そして、子どもが学校から帰ってきたら、カバンの中身を全部その箱に出してから遊びに行くように言いました。
子どもも「それくらいならできるよ」と言って、やり始めました。
その出し方がすごくて、カバンを開けて逆さにし、激しく振って出すそうです。
ですから、箱の中に乱雑な状態で広がるわけです。
でも、それでよしとしているそうです。
子どもが遊びから帰ってくると、箱の中にカバンの中身が全部出ています。
当然、宿題の算数プリントも、漢字ドリルも、書き取り帳も箱の中にあります。
一部あるいは半分くらいが、目に見える状態になっているのです。
これによって宿題を意識するようになったらしく、また、実際に手に取りやすくもなったようで、お母さんがガミガミ言う回数が半分以下になったそうです。
一歩でも1ミリでも宿題に近づいておく
これがまったく何もしてない状態で、ロックされたカバンの中にすべて入ったままだとしたらどうでしょう?
宿題に関する物が何も目に入ってこないので、宿題への意識が高まりません。
それに、まずカバンを持って来て、その中から宿題に必要な物を探して取り出さなければなりません。
それだけでも面倒です。
本人にやる気があるなら、ちっとも面倒ではないのですが、やる気がない場合は、こういうちょっとしたことがハードルになります。
ですから、事前にほんの少しでも、一歩でも1ミリでも宿題に近づいておくことが大切です。
それによって、取りかかるハードルを下げることができるからです。
必要な物をテーブルの上に並べておく
これをさらに一歩進めるなら、遊びに行く前に、箱の中から宿題に必要な物を取り出して、テーブルの上に並べておくとよいでしょう。
「これだけやればいいのだ」ということが、ひと目でわかります。
さらにもう一歩進めるなら、やるところに下敷きを敷いておくとよいでしょう。
あるいは、やるべきページに付箋紙を貼り付けておくという方法もあります。
問題集やドリルのやるべきページを開いて、開いた面を下にして置いておくという方法もあります。
つまり、人間でたとえると「うつぶせの状態」にしておくのです。
こうしておくと、漠然とですが、やるべき勉強の全体量がわかります。
このように、取りあえず準備しておくだけで、本格的に取りかかるときのハードルを下げることができます。
そして、実はもうひとつ、非常に効果の大きい方法があります。
それは次回に紹介させていただきます。
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