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受験勉強は、なかなか予定どおりには進まないものです。「学習計画を立てた、科目別対策もわかった、参考書もそろえた、あとは勉強するだけだ!」と意気込んではみたものの、途中でモチベーションが下がり、勉強に手がつかなくなってしまうことはよくあります。また、医学部入試は科目数が多く、受験勉強がうまくいっているときでさえ大きい負担がかかります。ましてや、調子が悪いときには、この状態が永遠に続くのではないかという絶望感に襲われがちです。
このコーナーでは、医学部対策について、「受験勉強のヒント」「くわしい入試情報」など、モチベーションの向上に役立つ小ネタ(Tips)を取り上げます。この記事で医学部受験のアウトラインを把握し、つらい受験勉強を乗り切ってください。

【医学部受験勉強Tips②】なぜ成績が伸びないのか(その原因と解決策をズバリ提示)

【医学部受験勉強Tips②】なぜ成績が伸びないのか(その原因と解決策をズバリ提示)

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質問


一生懸命に勉強しているのですが、全然成績が上がりません。勉強していると、途中で気持ちが途切れてしまい、その後勉強が手につかなくなってしまいます。ノートもたくさん書いていて勉強時間はそれなりに確保しているのですが、身についている気がしません。試験まで日が迫り、どんどん不安になっています……

……このように、「成績が伸びない」と嘆く受験生はたくさんいます。
成績不振には、以下に挙げるとおり、おもに7つの原因があります。もし自分に当てはまる原因が書かれていたら、アドバイスされている解決策を講じることが必要です。成績は、「勉強の質」を上げていけば必ず伸びていきます

原因① そもそも進路がハッキリ定まっていない
原因② 勉強を始める前に、その日にこなすべき範囲を決めていない
原因③ 決まったやり方で勉強していない
原因④ 「ノートづくり」が単なる「作業」と化している
原因⑤ テストで悪い点数をとってしまったことがずっと気になっている
原因⑥ スマホの誘惑に負けてしまう
原因⑦ 強制力が働く環境で勉強していない

「勉強の質」を高めるべく、以下で述べる解決策を実行し、成績不振を克服していきましょう。

原因①そもそも進路がハッキリ定まっていない☞解決策:「受験方式」と「志望校」を決める

「医師をめざすことは決めた。医学部を受けることも決めた。でも、受験校が決まっていない」……このような受験生は、非受験学年である高1生・高2生だけでなく、高3生にもじつはけっこういます。とくに、医師の保護者を持つ受験生の中には、「親も医師だから、当然自分も医師になるものだ」と、勉強もしていないのに安心しきってしまい、その先の進路まで想像力が及ばない、という人がしばしばいるのです。
物事は、ゴールがあるから、立てた目標に向かって前進できるからこそ達成できるものです。「いつまで・どこまで・どれくらい勉強すればよいか」という「学習計画」は、ゴールからの逆算によってはじめて決まります。指針なく、ただ無目的に勉強しても続きません。当然、「勉強の質」は上がらず、成績も伸びません。まずは自分の進路を決めましょう。
進路選びのポイントは2つあります。それは、「どういうルートを通るか」という点と、「どの大学を受けるか」という点です。つまり、「受験方式」と「志望校」です。
「受験方式」選びには、たとえば、「一般選抜/学校推薦型選抜/総合型選抜」「国公立大/私立大」「専願/併願」「一般枠/地域枠」などの観点があります。
「地域枠」とは、大学所在地域に住む受験生や、卒業後にその地域で医師になる意思のある受験生を優先的に合格させるための定員をさします。地域枠の受験で合格した場合には辞退することができないので、注意が必要です。
受験までに通るべきルートを決めたら、次は「志望校」選びに入ることとなります。「あなたにピッタリの『受験方式』と『志望校』の選び方」の記事で取り上げたとおり、志望校は、受験方式との相性を加味したうえで、「キャンパスの立地」「受験科目(種類・数・配点など)」「入試問題との相性」のような観点から決めていきましょう。
進路が決まれば、あとは一心不乱に駆け抜けるのみ。志望校合格というゴールへ着実に近づいていってください。

原因②勉強を始める前に、その日にこなすべき範囲を決めていない☞解決策:事前に「分量」「時間」の目標を定める

受験生の中には、勉強をその日の気分に任せてしまう人がいます。気分が乗ればたくさんやるけれど、そうでなければサッサと切り上げてしまう……このような行き当たりばったりのやり方では、「勉強の質」の向上も成績の伸びも期待できません。もちろん、医学部合格という高い目標もクリアできません。
受験勉強の「学習計画」は、全体像を決めたら終わりではありません。1日単位のプランに落とし込んでいく必要があります。1日単位のプランでは、勉強する「範囲」を決めてください。
「範囲」として決めるべきことは2つあります。それは、「分量」と「時間」です。
「分量」は、「この本の○ページから△ページまで覚える」「あの本に載っている設問を□題解く」など、数字として具体的に決めてください。また、「時間」としては、トータルの勉強時間だけでなく、「この本の解説は◎分以内に読み終える」など、こなすべき内容の制限時間も決めてください。
学習範囲を決めるタイミングは当日の勉強開始時でもよいのですが、できれば前日までに決めておきましょう。分量と時間という定量的な目標をあらかじめ設定しておくと、「絶対にこの範囲まではやりきろう」という自己暗示にかかり、翌日からの勉強がスムーズに捗ります。

原因③決まったやり方で勉強していない☞解決策:1日内の「学習サイクル」を確立する

「きのうは得意科目だけ勉強した」「きょうは前日の復習をしなかった」……みなさんの中には、こういうふうに、その日の気分で勉強のやり方を変えてしまっている人はいないでしょうか。人間には、習慣化されていない行為を実行する際に不安感を覚えるという特性があります。不安感に襲われたままでは、勉強に身は入りません。これでは「勉強の質」は高まらず、成績が伸びる余地もありません。
「原因②」では、受験勉強における「学習分量の固定化」を提案しました。それと同様に、1日内の学習方法も固定し、習慣として定着させることが必要です。言い換えると、1日内の「学習サイクル」を確立すべきなのです。
受験勉強で重要なのは「学習順」と「時間の使い方」です。学習方法をルーティン化すれば、自分なりの「勝ち筋」が見えてきます。その日の気分に左右されるランダムな勉強法を改め、毎日定石どおりに進めていきましょう(「学習順」と「時間の使い方」については、「受験勉強の時間戦略(トータルの学習量/1日内での時間の使い方)」の記事でくわしく説明します)。

原因④「ノートづくり」が単なる「作業」と化している☞解決策:「ノートづくり」に対する発想を180°変える

「ノートづくり」を日々の学習に取り入れている受験生は多いはずです。ノートには、学校や塾で授業を受けたときに写した板書の「清書」や、今後の勉強で取り組むべき内容・項目を盛り込んだ「まとめノート」などの種類があります。
「清書」や「まとめノート」をつくることには、大きな達成感・充実感があります。しかし、自分がこれから覚えたい・理解したいことをノートに書き写すという勉強法は必ずしも正しくないのです。なぜでしょうか。それは、ノートづくりでは、手は動いているものの、頭は動いていない場合が多いからです。言い方を変えると、「清書」や「まとめノート」を作成している時間は「思考」しておらず、単に「作業」しているだけということが多いのです。ノートは、頭を使わずに手だけ動かしていれば書けてしまいます。つまり、集中力を働かせなくてもノートは完成してしまうのです。このようなやり方では、「勉強の質」はとうてい上がりません。当然、成績も伸びていきません。
ノートづくりにともなうこのようなワナを回避するため、みなさんにはここで、「ノートをとる」という行為に対する発想を根本的に改めてもらいます。これからは、ノートづくりの目的を、「覚えるため・理解するために書く」ことではなく、「覚えた結果・理解した結果を書く」ことだと考えてほしいのです。
「覚えるために書いたノート」をあとから見返すことは、まずありません。一方、たとえば、過去問を分析した結果を記した「対策ノート」や、一度勉強したけれど忘れがちな箇所を抜き出した「整理ノート」など、自分が必死で覚え問題と格闘した記録であれば、何度も読み返したくなるはずです。実際、医学部合格者の多くは、そのような「覚えた結果をまとめたノート」を活用することによって、志望校に受かっています。
「ノートづくり」を自己目的化せず、「自分の成長の記録」だととらえましょう。合格可能性は着実に高まっていきます。

原因⑤テストで悪い点数をとってしまったことがずっと気になっている☞解決策:結果のとらえ方を変える

学校の定期考査や大手予備校主催の模試などでひどい点数をとってしまったことに落胆してしまい、勉強が手につかない……そんな悩みを抱える受験生はたくさんいます。成績が伸びないことへの不安と焦りは、集中力やモチベーションの低下、「勉強の質」の低迷など、受験勉強への悪影響や成績の伸び悩みにつながります。メンタル面の早急な手当てが必要です。
受験生は、テストの結果を振り返る際にしばしば、「あの問題は、時間さえあればとれた」「得点できなかったのは、単なるケアレスミス。本当はできていた」などと考えます。しかし、ここで発想を転換してください。「できなかったところを悔やむ」のではなく、「できたところをほめる」のです。具体的には、たとえば、「とれていないと思っていたところが得点できていた。ラッキー」「あそこはできなかったけれど、ここはとれた。次は、あそこでも得点しよう」などと考えましょう。このように、ネガティブな結果でも、見方を変えればポジティブに受け止めることできるのです。
大学入試は、ほかの受験生との戦いであると同時に、自分との戦いでもあります。ライバルたちとの戦いだけでなく、自己否定したくなる弱い心との戦いにもぜひ打ち勝ってください。

原因⑥スマホの誘惑に負けてしまう☞解決策:スマホを保護者に預ける

「勉強の質」が高まらず成績が伸び悩むことの最も大きな原因はスマホの使用にある、といっても過言ではありません。スマホの誘惑に屈し、勉強そっちのけで動画を何時間も見てしまった、友達と何時間もチャットしてしまった、ゲームに夜通しハマってしまった……そんな経験を持つ受験生はたくさんいるはずです。スマホには、受験情報や勉強法など有益な情報が調べられるというメリットがあります。しかし、一方では勉強時間を容赦なく奪っていくというデメリットがあり、そのデメリットはメリットを全部帳消しにしてしまいます。スマホは受験勉強の「敵」だと考えてください。
受験の世界ではよく「スマホと賢く付き合おう」というアドバイスがなされます。たとえば、「制限時間を設けて使う」「調べ物だけに用いる」などです。しかし、それらのアドバイスは、スマホの魔力を過小評価しています。「使用条件をつければスマホ断ちできる」という考えは甘すぎるといわざるをえません。
スマホ断ちの最適解は、自分の視界から消し去ることです。勉強時間中は、スマホを保護者に預けてしまいましょう。スマホが手元にある限り、使わずにはいられなくなります。手を伸ばしても届かないところにスマホが置かれていれば、あきらめがつくはずです。
勉強が終わるのは、夜遅い時間であるはずです。勉強が終わり、保護者からスマホが返却されたら、すぐに電源を切ってください。画面に何かが表示されている状態のままだと、結局ダラダラと夜中まで見てしまいます。しかし、画面を一度シャットダウンすると、「電源をわざわざ入れ直さなくてもいいか」という気持ちになっていき、スマホから案外すんなり離れられます。「スマホ沼」にハマり睡眠時間が削られる危険性を回避しましょう。
スマホは、「うまく使いこなそう」と考えてはなりません。スマホに向き合うためには、「元から断つ」という強い覚悟が必要です。

原因⑦強制力が働く環境で勉強していない☞解決策:他人から見られている状態をつくり出す

勉強を、自分の部屋で行っている受験生は多いはずです。たしかに、個室で勉強することには、外からの雑音を遮断できるというメリットがあります。しかし、一方では、「だれも見ていない」ことからくる安心感から、ついだらけがちになるというデメリットもあります。
「だれかが見ている」という状況は、勉強への集中力と「勉強の質」を高めます。受験勉強は、極力、他人からの視線が感じられる場所で行うことをおすすめします。
「勉強しなければならない」という強制力が働きやすい場所には、たとえば塾の自習室や学校の図書館などがあります。また、地域の図書館や公共施設内に設けられた学習スペースなども、ほかの受験生がたくさんいますから、心地よいプレッシャーが味わえます。
また、通学・帰宅で使う電車やバスの中で勉強することもおすすめです。乗り物の心地よい揺れが気分をリラックスさせ、勉強の効率を上げてくれます。車内のアナウンスや乗客の声、あるいは振動音などは聞こえてきますが、勉強に集中していればさほど気にならないはずです。
自宅でも、「勉強しなければならない」という強制力を働かせることは可能です。たとえば、自室で勉強する場合には、カギをかけず、ドアを開けておくという方法があります。あるいは、自室ではなく、居間やダイニングなどで勉強するのもよいやり方です。家族が見ている環境では気が抜けませんから、おのずと集中力が高まり、「勉強の質」が上がって、成績不振の状態から脱出できます。

まとめ


成績不振には、「目標の不確かさ」「勉強法の不徹底」「メンタルの弱さ」「環境の不備」などの原因があります。これらの原因を取り除き、適切な対策を立てれば、勉強はスムーズに進んでいきます。自分に当てはまるケースを確認し、「勉強の質」を高めていきましょう。

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