質問

受験が近づいてきたので、「がんばろう」と決意してなんとか机に向かい、参考書を開いてみるのですが、やる気が起きません。勉強しなければならないと考えれば考えるほど、「しんどいなあ」「つらいなあ」という気持ちがわいてきます。どうすればよいでしょうか。

「小分け目標」のクリアでやる気を高める

「やる気が出ない」という悩みは、受験勉強に関して最もよく起きる問題です。その原因には共通点があります。それは、「はじめから大きな目標を立ててしまい、途中からできなくなって挫折する」というものです。
たしかに、自分で目標を設定すること、およびそれを達成しようと努力することは大切です。しかし、目標は、立てることではなく、かなえることに意義があります。たとえどれだけすばらしい目標を立てても、実現できなければ無意味なのです。
いきなり大きな目標を立ててしまうから、途中で挫折し、やる気がなくなってしまうのです。学習の目標を立てる際には、はじめから「大風呂敷」を広げず、さほど苦労せずに達成できそうな目標、あまりがんばらなくても実現可能な目標を設定してください。
大きなケーキは、ひと口では食べられません。ナイフで何等分かに切り分けられることによってはじめて口に運べるサイズまで刻まれ、小さくなっていきます。いってみれば、目標もケーキと同じです。いきなり大きな目標から始めてはなりません。最初は小さいサイズの目標、すなわち「小分け目標」から入るべきなのです。
目標は、たとえば、「英単語を1日10個覚える」というような少ないボリューム・低いハードルでかまいません。そのように、「これならできそうだ」というささいな目標を、「スモールステップ」によって少しずつクリアしていきましょう。そうして少しずつ達成感を味わっていくうちに、やる気はだんだん高まっていくのです。
その代わり、いったん立てた目標は、たとえ部活で疲れていようが、たとえどれだけ眠気に襲われようが、意地でも達成しましょう。ここで、「きょうは疲れているから」「もう眠いから」などと自分に言い訳し、立てた目標をご破算にしてしまったら、ここまで歩んできたプロセスはすべて水の泡と消えていきます。勉強には本来、精神論は不要ではありますが、この局面だけは「気合い・根性」が必要です。疲れていたり眠かったりしたら、「仮眠をとってから勉強を開始する」「勉強の合間に15分間ほどの休憩をはさむ」など工夫して、初志を貫いてください。

医学部受験の勝者は、やる気に頼らず勉強できた人

じつは、やる気に頼る勉強は危険です。やる気をあてにして勉強している人は、やる気がなくなると途端に勉強しなくなるからです。
やる気がなくても勉強できる習慣は、「小分け目標」の設定☞「小分け目標」のクリア☞達成感☞別の「小分け目標」の設定☞……という好循環によって身についていきます。
医学部に合格した受験生の多くは、やる気の有無によらず勉強する習慣、すなわち、勉強に「自動化」を達成できた人たちです。いったん「自動化」モードに入ると、勉強していないときには「なんだか気持ち悪い」と思えるようになり、たとえ疲れていたり体調がすぐれなかったりしても自然と机に向かい、気がつくと何時間も勉強していた、という経験が増えていきます。
みなさんも、目標を地道にクリアし達成感を少しずつ味わいながら、「自動化」の境地をめざしていきましょう。

まとめ

やる気は、小さな目標を「スモールステップ」によってクリアしていく過程で高まっていきます。達成感を積み重ねていくと、やがて、やる気に頼らなくても勉強できるようになるという「自動化」の境地に到達しますよ。

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