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「女の子らしく」「男の子らしく」より「自分らしく」が大事

親野智可等

「女の子らしく」「男の子らしく」より「自分らしく」が大事

●日頃から何気なく使ってしまう「女の子なんだから……」

先日、駅の構内で、「あなた女の子なんだから、そんな乱暴なことしちゃダメでしょ!」と叱っているお母さんを見ました。

叱られていたのは、中学生とおぼしき女の子で、どうやら弟に体当たりのようなことをしたようです。

事情はよくわかりませんが、「女の子なんだから」という言い方には非常に違和感を持ちました。

これでは、男の子なら乱暴なことをしてもよい、ということになってしまいます。

 

でも、あらためて考えてみると、私たちは、「女の子だから」「女のくせに」とか「男の子だから」「男のくせに」などという言葉を、日頃から何気なく使ってしまうことがあります。

 

「女の子なんだから、そんなことしないの」

「女の子なんだから、そんな色はやめて赤とかピンクとかにしなさい」

「うちの子は女の子なのに、サッカーやりたいって言うのよ」

「あの子は女の子なのに、人形よりブロックや鉄道のおもちゃがいいんだって」

「女のくせに、あぐらなんかかいてる」

「男の子なんだから、メソメソ泣かないで」

「男なんだから、もっと大きな声で言いなさい」

「男のくせに、人形なんかで遊んでる」

「あの子、男の子なのに、裁縫や折り紙が好きなんだって」

「もっと男らしくしなさい!」

●無意識のうちに封建主義を引きずっている

こういう言葉の裏には、「女の子は女らしく、男の子は男の子らしく育てなくてはならない」という思い込みがあります。

「女の子は静かで控えめで、優しくてかわいらしい。男の子は元気で行動的、強くてたくましい」という思い込みです。

このような思い込みの土台にあるのは、何百年も続いたかつての封建主義的な考え方です。

それを21世紀の今になっても、無意識的に引きずっているのです。

もう、そろそろ、そういう思い込みから抜け出したいものです。

●本当はもっと大きく羽ばたけたはずなのに

「女の子なんだから、そんなことしないの」と言われて育った子は、どうなるでしょうか?

 

やりたいと思ったことがあっても、自分でブレーキを踏んでしまうかもしれません。

本当はもっと大きく羽ばたけたはずなのに、ちょっと飛んだだけでやめてしまうかもしれません。

「女なんてつまらないな。女の子は、やりたいと思ったことをやってはいけないんだ」と考えるようになってしまうかもしれません。

すると、女の子であるというだけで自分に対する自信も持てなくなり、将来への夢もしぼんでしまいます。

「うちは女の子だから、ブロック、積み木、自動車や電車のおもちゃより、○○や□□を買ってやろう」と考える親がたくさんいます。

空間認識が苦手で図形問題に苦労する女の子が多いのは、それが原因だという説もあります。

 

一方、「男の子なんだから、メソメソ泣かないで」と言われて育った男の子は、どうなるでしょうか?

 

「男は泣いたらダメなんだ。正直な気持ちを出してはいけないんだ。すぐ泣いてしまう僕は弱くて情けない子だ」と考えるようになってしまうかもしれません。

「男のくせに」と言われてしまったことで、刺繍や裁縫、料理が好きで才能があったのに、十分伸ばせないままになってしまうかもしれません。

これでは、自分らしい人生を生きることはできません。

●人は誰でも「一人の人間として」存在している

本当は、「男らしく」や「女らしく」ではなく、どの子も「自分らしく」生きられるようにしてあげることが大切です。

 

どの子にも生まれ持った自分らしさがあります。

どの子にも好き・嫌いや得意・不得意というものがあるのです。

ですから、その自分らしさを活かしながら伸ばしてあげてください。

 

杉の木はひたすらまっすぐに伸びたいのであり、松の木はあちらこちらに曲がっていきたいのです。

松の木を杉の木のようにしようとすると、親子で苦しむことになります。

杉の木は杉の木として育て、松の木は松の木として育てましょう。

 

女の子があぐらをかいても、男の子がめそめそ泣いてもいいじゃないですか。

男の子が人形で遊んでも、女の子が戦いごっこをしても、何ひとつ問題はありません。

人は誰でも、「女性の一人として」「男性の一人として」などという形で存在しているわけではなく、「一人の人間として」存在しています。

どの人も自分らしく存在すれば差別も生まれません。

「女の子らしく」とか「男の子らしく」という言葉で、「自分らしさ」を伸ばすのを妨げないようにしてほしいと思います。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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