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大学入試の思考力や英語4技能の評価はどうなる?

大学入試の思考力や英語4技能の評価はどうなる?

文部科学省はこのほど、大学入試に関する全国の大学を対象としたアンケート調査の結果を公表しました。それによると、「大学入学共通テスト」で英語の民間試験の活用や記述式問題を出題することに否定的な考えを持つ大学が多いことが明らかになりました。しかし、英語力や思考力はこれからの社会を生きていくうえで欠かせない力の一つです。大学はどのように評価するのがよいと考えているのでしょうか。

全国の大学にアンケート調査

調査の結果は、10月27日、大学入試改革を検討している文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」で報告されました。

2019年秋に、大学入学共通テストに英語民間試験を活用することや、国語と数学に記述式問題を導入することが見送られました。

検討会議は、この一連の経緯を検証するために設けられたもので、大学入試の実態調査を明らかにするため、全国規模の調査を行ったのです。

実施時期は2020年7月から9月にかけて、全ての大学(学生募集停止の大学を除いた、国立大学、公立大学、私立大学の計771大学)を対象とし、うち699大学(2,222学部、46,007選抜区分)から回答を得ました(回収率90.7%)。

英語のスピーキング・ライティングの評価方法への意見を尋ねたところ、「大学入学共通テストに出題して評価すべき」「大学共通テストの枠組みで英語民間試験を活用して評価すべき」には、否定的な回答(「あまりそう思わない」「そう思わない」)が多く、それぞれ60%台後半となりました。

では、どのような評価方法に肯定的な意見が集まっているのでしょうか。

「個別入試(総合型、学校推薦型)において民間試験を活用して評価する」ことには57.6%が肯定的(「とてもそう思う」「そう思う」)ですが、それを上回ったのは「大学入学後の教育で各大学が独自に評価」(76.7%)や、「大学入学後の教育で民間試験を活用して評価」(69.0%)でした。

記述式は「個別試験で」が多数

記述式問題についてたずねたところ、「大学入学共通テストで記述式問題を出題すべき」に肯定的な回答をした学部は15.0%、否定的な回答をしたのは84.0%となりました。

また、「個別入試(一般選抜)の記述式問題を充実すべき」に肯定的なのは58.8%、否定的なのは40.3%となりました。記述式問題は、大学入学共通テストよりも、大学ごとの一般入試で充実させたほうがよい、と考えていることがわかりました。

大学入学共通テストに記述式問題を出題する話が持ち上がったのは、「思考力・判断力・表現力」を大学入学段階で身に付けているかを試すためです。

調査では、「大学入試において思考力・判断力・表現力をどこで評価すべきか」も尋ねています。

肯定的な回答の中で最も多かったのは、「入学後に充実」で90.8%、次に「個別入試(総合型・学校推薦型)で評価」が76.9%、「個別入試(一般選抜)で評価」が65.4%、「共通テストで評価」は53.5%にとどまりました。

私大の個別入試や国立2次には必要な力

日本に大学は約770あり、そのうち8割は私立大学が占めます。10月27日の検討会議では、日本私立大学連盟の芝井敬司常務理事が調査の結果を受けて意見を述べました。ベースにある考えは、大学入試は「各大学が自律的に行うべきものであり、多様な人材を育成するという高等教育の目的を実現するためには、その方法も多様であるべき」というものです。

英語民間試験に関しては、あくまで到達度を確認するものであり、「大学入学共通テストという枠組みにそのまま取り入れることについては慎重な検討が必要」と話しました。

また、記述式の出題については、原則的に進めていくことが望ましいとしながらも、日程や制度設計の問題から、採点方法や採点体制の整備に関して、公正性を担保するために慎重な準備が必要、との立場を明らかにしました。

今回の調査では、英語民間試験や記述式の導入に対して、現状では大学側が消極的な姿勢であることがわかりましたが、注意したいのは、これは「大学入学共通テスト」への導入に限ったものであることです。

各大学が独自で行う一般選抜や総合型選抜において、民間試験の結果を活用し、記述式の出題をすることまで影響されるものではありません。

早稲田大学では、2021年度の一般選抜において、民間試験の合否判定への利用を取りやめたのは、4学部のうち政治経済学部だけで、文化構想学部・文学部、商学部、国際教養学部では継続されています。

記述式問題に関しては、国公立の2次試験では記述式対策が必須ですし、私立大学でも個別試験で記述式の出題はすでに多く導入されています。

長い目で見て必要な力を付けるために

国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が行った、528の企業・団体を対象に実施した「英語活用実態調査2019」によれば、「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル」について、最も多かったのは「英語」で82.6%でした。

新型コロナ禍で海外への移動が制限される中、リモートを通じた海外とのコミュニケーション場面は、今後さらに増えていくでしょう。

私立中高の中にも海外研修に行けない代わりに、現地の姉妹校とオンライン交流を開催するところも出てきています。

英語の4技能運用能力を磨き、自分で主体的に考える「思考力」は、やはり大切な力です。

わが子が「社会人スキル」として身に付けるべき汎用的な力とは何か、それを学べる中学・高校の学びの環境とは何か、コロナ後を見据えた長期的で広い視野から考えることが大事です。


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