中学受験をして伸びる子を考える
首都圏では約5人に1人が挑んでいるといわれる中学受験(公立中高一貫校の場合は受検)ですが、少子化にもかかわらず、2025年度の受験者数はさらに増えると予測されています。
実際、中学受験関連のニュースは毎日のように流れているので、気になってチェックしているご家庭も多いことでしょう。一方で、まだ本格的に受験対策を始めていないご家庭では、わが子に中学受験をさせるべきかを迷っている親御さんも多いのではないでしょうか。
言うまでもなく、中学受験は小学生の受験。義務教育時代の選択肢のひとつですので、やってもやらなくてもいい受験です。それをあえて挑戦してみようというご家庭がそろう受験になりますので、逆に言えば、生半可な気持ちで参入すると危険ということでもあります。
そこで、今回は「中学受験をしたほうが、より伸びていくタイプ」というテーマでお話ししましょう。
中学受験に向いている子とは
わが子に中学受験を経験させようと決断する際には、ご家庭の教育方針の確認は必須ですが、それと同じくらい大切なポイントがあります。
それは、ズバリ「わが子は中学受験に向いているか?」ということ。まずは、向いていると思われる子のタイプを5つ、お伝えします。
1.負けず嫌い
2.好奇心がある
3.粘り強い
4.同年代と比較して精神年齢が高く、ある程度、自律している
5.自分の意見を持っている
「1」の負けず嫌いな性格かどうかは大きなポイントになります。
受験はやはり1点を取りに行く戦いという面もありますので「この問題をクリアしたい!」「来月は上のクラスに行きたい!」「何が何でも、第1志望校に行くんだ!」という強い気持ちがある子は伸びていきやすいです。
ある母は小学校の縄跳び大会がキッカケで中学受験に踏み切ったそうです。
長男が、同級生であるA君との技のデッドヒートを繰り広げながらも、惜しくも準優勝。その後、A君が中学受験塾に通うようになると、自分も行きたいと志願し、入塾。A君に負けまいというよりも、一緒に切磋琢磨したいという思いが強かったそうで、その気持ちどおり、3年間の受験生活を頑張り抜き、結果、長男もA君も同じ最難関校に入学したとのことです。
もし、お子さんが何かの目標を立てて(例えば、逆上がりが出来るようになるなど)、それに向かって、地道な努力ができるタイプであるならば、中学受験は向いています。
「2」の好奇心。知らないこと、わからないことに興味を持つタイプかどうかということも、とても大事です。
「これは何だろう?」「どうしてこうなんだろう?」という問いを持ち、それに対して自分自身の仮説を立て、さらに正解が何かを自分なりに追い求めることを自然とやっている子は学ぶことに前向きです。
ある女の子は小2の時にお母さんに向かって、こう言ったそうです。
「なんで、夏みかんの皮は、こんなに厚いんだろう? 子孫を残すためには、鳥に食べられたほうがいいはずなのに、皮が厚いと鳥がついばめない」と。
それから、女の子は自分で仮説を立て、果物のことをいろいろと調べていったといいます。
その子のお母さんいわく「気になったら、調べずにはいられない性格」だそうです。彼女は好きなことを好きなだけ学ぶ時間が欲しいという理由で、中学受験を経て、最難関の大学附属校に入学しました。
やはり、学ぶことに貪欲な子は本人が意図せぬ間に知識をどんどん吸収していくので、中学受験の勉強は楽しいものになるでしょう。
「3」の粘り強い性格の持ち主も中学受験では花開くタイプといえます。
ある有名中学受験塾の算数の先生がおっしゃっていた話があります。
入試には、専門家を唸らせるほどの「名問」という問題があるのだそうです。答えは「3」なら「3」で決まっていても、解き方はひとつとは限らないらしく、毎年、模範解答とは違う解法を思いつく子どもが出てくるといいます。
これには、ひらめきのようなものもあるのでしょうが、その先生によると「粘り強く問題に取り組む力」というものが不可欠とのこと。今年の教室でも「もっと別の解き方があるはず!」と根気強く取り組んだ子から発信されたといいます。ベテラン講師ですら、思いもしない解法が教室で披露されると、そのクラスは拍手喝采で「知の翼」が一斉に広がるかのような空間が出来上がるそうです。
簡単にはあきらめず、自分なりに試行錯誤しながら、ひとつの物事に取り組む姿勢がある子は中学受験を経て、より伸びていくように思います。
「4」の精神年齢が高いというのは、12歳の受験ということが影響します。12歳はまだまだ発達の途中なので、自分を律して何かを頑張るというにはハードルが高い面もあります。
しかし、小学生の段階で、親に何も言われなくても、あるいは軽い声掛け程度で、自分から机に向かう習慣がある子は中学受験についても強みを発揮します。
ある子は就学前より小学生新聞の愛読者でした。彼の日常は習い事で忙しく、学校が終わってからも分刻みのスケジュールだったために、なかなか落ち着いて新聞を読む時間が取れなかったそうです。
そこで、彼は自分のタイムテーブルを計算し、朝一番で新聞を読むことを決めたといいます。どちらかと言えば、朝が弱いタイプだったそうですが「決めたことはやる!」と宣言し、小6終了まで毎朝、新聞を読み続けたといいます。もちろん、彼も第1志望校である難関中学に入学しました。
今やるべきことは何かが分かっており、さらに、先送りを良しとしないタイプは中学受験に向いているといえるでしょう。
最後の「5」ですが、自分の意見を持っているということは親が思う以上に大切なポイントです。
「こうしたい!」「やってみたい!」という気持ちを持ち、それを親や先生、友だちに自分の言葉で伝えることができる子は大袈裟にいえば未来が広がっていきます。
ある気鋭のドクターに聞いた話です。
そのドクターは幼稚園時代に「自分は医者になる!」と決意したそうです。それで、どうすれば医者になれるのかを親に聞いたといいます。
親は「医学部に行けば医者になれる」と答えたそうで、小学校3年生の頃には、医学部に行くためには、難関中学に入った方が早いという情報を掴んでいたといいます。
ドクターが言うには「人間、夢や目標が大切。それがあれば、あとは、どうすればそれに近づけるのかを逆算すればいいだけ」。
もちろん、背中をそっと押して応援する親の存在は大きいのですが、子どもの人生は子どものもの。子ども自身が「自分の考え」を持つことが出発点なのでしょう。
以上、5項目をお伝えしましたが、これは「間違いなく中学受験を楽しめる」タイプということで羅列しています。この5項目に当てはまらないからといって、「伸びない」「やらないほうがいい」という意味ではありません。
これ以外であっても、もし親御さんが「ウチの子、向いている!」と感じることがあるならば、中学受験という選択は悪くないでしょう。
子どもの才能を開花させるキッカケにも
先述したように、中学受験はやってもやらなくても、どちらでもいい受験です。6年一貫校に行かせたほうが、わが子の人生が充実すると信じるならば、偏差値の上下に関係なく、突き進んでいいと思います。
中学受験は、子どもの才能を開花させるための、ひとつのキッカケという側面もあります。やってみなければ、わからないことも沢山あるのが実情です。
「よし! やってみよう!」と親子で決意したのならば、その選択は、お子さんの人生にとって素晴らしい経験をもたらすことになると思います。
もし、中学受験を選択したならば、親子で勉強を楽しみながら、受験生活を過ごして欲しいなと願っています。
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